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パルボシクリブがホルモン受容体陽性転移性乳がん女性の生存期間を改善/NCI臨床試験結果

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パルボシクリブがホルモン受容体陽性転移性乳がん女性の生存期間を改善/NCI臨床試験結果

2015年7月24日掲載

要約

ホルモン療法中に進行を認めたエストロゲン受容体(ER)陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の転移性乳がん女性は、パルボシクリブ(イブランス)+フルベストラント(フェソロデックス)を服用した方が、プラセボ+フルベストラントの服用よりも、疾患が進行することなくより長く生存できたことが、ランダム化第3相臨床試験の中間結果から示されました。

出典

2015年6月1日付、New England Journal of Medicine誌(ジャーナル抄録参照)

背景

ER陽性、HER2陰性の早期乳がんに対する治療の中心は、ホルモン療法です。この治療により再発率は減少しますが、再発してしまうと、それ以降の治療が難しくなります。有望な治療法になりうるものとして、ホルモン受容体陽性の乳がんで腫瘍細胞の増殖を促進させると思われるサイクリン依存性キナーゼ(CDK4およびCDK6)を標的とした薬剤を用いる治療法があります。

パルボシクリブは、CDK4およびCDK6を阻害する経口剤です。この薬剤は、PALOMA1と呼ばれる試験において無増悪生存期間を改善したことから、ホルモン治療薬レトロゾール(フェマーラ)との併用で、閉経後のHR陽性HER2陰性転移性乳がんに対する一次(初回)治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認されています。

フルベストラントは、レトロゾールと同様にホルモン治療薬です。しかしながら、この2剤の作用機序は異なります。レトロゾールはアロマターゼ阻害剤であり、卵巣やその他組織でのエストロゲンの産生を妨げます。これに対して、フルベストラントは抗エストロゲン剤であり、エストロゲン受容体に結合し、その機能を阻害します。

PALOMA3第3相試験は、ホルモン療法中に進行を確認したER陽性HER2陰性の進行性乳がん女性において、パルボシクリブをフルベストラントと併用した方が、フルベストラント単剤よりも、無増悪生存期間が長くなるかどうかを確認するために設計された試験です。

試験

ホルモン療法中に再発あるいは進行を確認したER陽性HER2陰性の乳がん女性520人以上が、PALOMA3試験に登録されました。この試験への患者の登録は、17カ国の140を超える施設で行われました。患者は、2対1の割合で、パルボシクリブとフルベストラントを服用する群(347人)と、プラセボとフルベストラントを服用する群(174人)へと無作為に割りつけられました。

試験に登録する前の転移疾患に対する化学療法は、一回のみ許可されました。各群に登録された女性の20%が、閉経前あるいは閉経期であり、卵巣機能を抑えるために薬剤ゴセレリンを投与しました。

この試験の主要評価項目は、無増悪生存期間としました。副次的評価項目には、全生存期間、奏効率、臨床的有用率、患者報告アウトカムおよび安全性を含めました。

ロンドンにあるがん研究所および王立マースデン病院のNicolas Turner医学博士がこの試験を主導し、パルボシクリブの製造元であるファイザー社より資金提供を受けました。

結果

この論文では、事前に予定されていた中間解析の結果が報告されました。この解析の時点で、パルボシクリブ+フルベストラント群の無増悪生存期間中央値は9.2カ月であったのに対し、プラセボ+フルベストラント群では3.8カ月でした。閉経状態の違いによる解析から、パルボシクリブをフルベストラントと併用することによって、閉経前あるいは閉経期 、および閉経後いずれの女性においても無増悪生存期間の改善が認められました。

(測定可能な)全奏効率は、パルボシクリブ群で10.4%、プラセボ群で6.3%でした。中間解析時点での臨床的有用率(病状が安定している期間が延長されること)は、パルボシクリブ群で34%、プラセボ群で19%でした。

重篤な有害事象(理由を問わず)は、パルボシクリブ群の患者で9.6%に、プラセボ群の患者で14.0%に認められました。血液学的副作用は、パルボシクリブ群でより頻繁に確認されました。

有害事象のため、パルボシクリブ群の患者の2.6%、およびプラセボ群の患者の1.7%で治療が中断されました。有害事象としては、好中球減少症、白血球減少症、貧血および血小板減少症などの血液異常があり、これらの多くが治療可能でした。PALOMA3試験で報告された有害事象は、PALOMA1試験で確認されたものと一致していました。

パルボシクリブ+フルベストラントを服用した女性は全体的な生活の質を維持していたのに対し、プラセボ+フルベストラントを服用した女性の生活の質は低下していました。

この解析の時点では、全生存期間データはまだ不十分でした。

制限事項

「これらのデータは、事前に予定されていた中間解析に基づいており、この解析によって、主要評価項目である無増悪生存期間の改善がこの試験で達成されたことが示されました」と、NCIのがん研究センターのStan Lipkowitz医学博士は述べました。「しかしながら、追跡期間中央値は5.6カ月と短く、全生存期間のデータは十分ではありません」。

「検討されていない問題点は、レトロゾールとの組み合わせで一次治療を行った後の、パルボシクリブとフルベストラントの併用です。PALOMA1試験のデータ、さらにFDAの迅速承認を機に、多くの患者が一次治療としてパルボシクリブとレトロゾールを服用するでしょう。パルボシクリブとレトロゾールを服用したこのような患者は、PALOMA3試験に登録するための基準を満たさないのです」と、Lipkowitz医師は付け加えました。「ますます、一次治療としてパルボシクリブとレトロゾールを服用するようになっていくでしょう。このように、一次治療にパルボシクリブとレトロゾールを使用した患者が、二次治療の際に、パルボシクリブをフルベストラントに併用することで、ベネフィットが得られるかどうかの指針がこの試験では示されないのです」。

コメント

「現在、二次治療として、パルボシクリブのフルベストラントとの併用は承認されていません」と、Lipkowitz医師は述べました。「フルベストラントは、二次治療における単剤使用で承認されています。しかしながら、無増悪生存期間が2から3倍に延長されるというデータが示されたことで、多くの腫瘍専門医がパルボシクリブ+フルベストラントを、ER陽性HER2陰性の閉経後転移性乳がん女性に対する二次治療として使用していくでしょう。この中には、閉経した女性または卵巣機能抑制により閉経状態になった患者が含まれることになります」。

原文

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田村克代 訳
小坂泰二郎(乳腺外科/順天堂大学附属練馬病院)監修
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