ヒトパピローマウイルス(HPV)関連の中咽頭がんの再発を洗口液で予測/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

ヒトパピローマウイルス(HPV)関連の中咽頭がんの再発を洗口液で予測/ジョンズホプキンス大学

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ヒトパピローマウイルス(HPV)関連の中咽頭がんの再発を洗口液で予測/ジョンズホプキンス大学

2015年7月30日

治療後にヒトパピローマウイルスが残留する患者はがん再発の可能性が高いことが、小規模研究で認められた。この知見が新たな検出プロトコルの策定につながるかもしれない。

がん治療後に、唾液中に微量のヒトパピローマウイルス(HPV16型が検出される中咽頭がん患者は再発リスクが高いことが、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛学部の研究者ら主導の研究により明らかになった。

中咽頭は、舌背、軟口蓋、扁桃、咽頭壁を含む咽頭上部の領域を指す。米国では、新たに発生するがんの2.8%を中咽頭がんが占めるが、手術が奏効する症例が多い。

ある小規模研究において、診断時に吐き出した洗口液からHPV16DNAが検出された中咽頭がん患者のうち7%(67人中5人)で、治療終了後に吐き出した洗口液からもHPV16DNAが微量に検出された。その後、この5人のいずれも中咽頭がんの局所再発をきたした。この知見は、今までに類を見ないものであると考えられるが、中咽頭がん患者を対象とする新たな追跡調査プロトコルの策定につながる可能性がある、と研究者らは述べる。

同研究記事は、JAMA Oncology730日号に掲載されている。

「再発が認められた患者は非常に少数です。したがって、われわれは少し慎重になる必要があります」と、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛学部疫学部門の准教授で、ジョンズ・ホプキンス大学シドニーキンメル総合がんセンターの一員であるGypsyamber DSouza博士は述べる。「治療終了後に採取した洗口液にHPV16DNAが残留していた患者全員がその後再発をきたしたという事実は、有効な予後診断ツールとなる可能性があることを意味しています」

同研究では、研究者らは、中咽頭がんと診断された患者124人を追跡し、診断時と治療終了から9121824カ月後に患者が吐き出した洗口液を採取した。患者は、Scopeという商品名の洗口液で口内洗浄とうがいをするよう求められた。患者124人のうち、がん診断時に吐き出した洗口液から口腔HPV16DNAが検出された患者はわずかに半数を上回っていた。治療終了後に採取した洗口液からHPV DNAが検出された患者はほとんどみられなかったが、一部の患者で検出された。

治療終了後に採取した洗口液にHPV16DNAが残留していたことは、がんが最初の段階で完全に根絶されていなかったことを意味するのか、あるいはがんが舞い戻ったことを意味するのかについては解明されていない。どちらにしても、今回得られた知見は、洗口液のみでHPV16型口腔がんの再発を予測するという強力な診断ツールとなり得ることを示唆している。

HPV
は複数のがん種に関連しており、子宮頸がんと口腔がんに著しく関連している。米国では、HPV関連がんの発症率が上昇しており、同国で発生している中咽頭がんの原因の多くがHPVである。HPV陽性中咽頭がんの予後はHPV陰性がんよりも通常良好であるが、他のがんと同様、再発の可能性があり、その確率は25%に達する。

HPV
関連中咽頭がんは外科的治療が奏効するが、体の他の部位に広がった後に外科的治療を施した場合は得られる効果が減少する。研究者らは、洗口液からHPV DNAを検出するという方法により早い段階で再発を発見でき、その結果、中咽頭がんが再発した場合でも全体的な予後が改善されることを期待している。

さらに、今回の研究では、再発したがんのほとんどは中咽頭がんに限局しており、体の他の部位に広がっていなかった。「治療終了後に口腔内に残留するHPVのDNAが検出された患者は、局所再発のリスクが非常に高かったことが認められました」と DSouza博士は述べる。

研究者らによると、今回の研究では、洗口液からHPV16DNAが検出された約7カ月後に疾患再発が診断されたという。洗口液中にHPV16DNAが存在している場合、他の臨床的な徴候や症状をきたす前に、がんの再発を発見できる可能性があり、それによって早期に治療オプションを検討することができる。

「洗口液からHPV16DNAを検出してから患者が再発したと診断されるまでに数カ月の猶予がありました」とDSouza博士は述べる。「もし、われわれが洗口液からHPV16DNAを検出した際に再発が分かっていたら、治療を行うための時間がより与えられていたかもしれません。」

D
Souza博士は、今回の研究で行った検査法は、これまでにないタイプのものであることを強調している。また、同氏は、中咽頭がんはまれながんであり、再発することはさらに珍しいことである点についても言及している。

HPV関連中咽頭がんの治療を受けた患者のほとんどは治癒しており、口腔内からHPV16DNAが検出されていないことは心強いことです。しかし、再発した患者では、口腔内のHPV16DNA検出が重要な予測因子となりました」とDSouza博士は述べた。

『ヒトパピローマウイルスに関連する中咽頭がんでは洗口液に残留するヒトパピローマウイルス16DNAの検出が予後に影響する』の著者は次のとおり。Eleni M Rettig医学博士、Alicia Wentz修士、Marshall R Posner医学博士、Neil Gross医学博士、Robert I Haddad医学博士、Maura L Gillison医学博士、Carole Fakhry医学博士、Harry Quon医学博士、Andrew G Sikora医学博士、William J Stott認定臨床試験専門職員、Jochen H Lorch医学博士、Christine G Gourin医学博士、Yingshi Guo科学博士、Weihong Xiao医学博士、Brett A Miles口腔外科医・医学博士、Jeremy D Richmon医学博士、Peter E Anderson医学博士、Krzysztof J Misiukiewicz医学博士、Christine H Chung医学博士、Jennifer E Gerber科学博士、Shirani D Rajan公衆衛生科学博士、Gypsyamber DSouza医学博士。

本研究は、ジョンズ・ホプキンスのリチャードゲルブがん予防大賞(GD)、口腔がん財団(GD)、米国国立歯科頭顔研究所(NIDCR)による助成金、米国国立衛生研究所(NIH)耳鼻咽喉科研修所助成金2T32DC000027-26EMR)による資金援助を受けた。

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原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院) 監修
重森玲子訳
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原文

 

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