腹腔内化学療法は進行卵巣がん患者の生存を改善する/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

腹腔内化学療法は進行卵巣がん患者の生存を改善する/ダナファーバー癌研究所

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腹腔内化学療法は進行卵巣がん患者の生存を改善する/ダナファーバー癌研究所

2015年8月3日

卵巣がん患者で、腹腔内化学療法(化学療法を直接、腹腔内投与で行う方法)により利益を得られる可能性があるにも関わらず、実際にこの治療を受けているのは半数に満たないことが、ダナファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンター(DF/BWCC)の新たな研究によりわかった。

腹腔内(IP)化学療法と、静脈内(IV)投与による化学療法を併用した治療は、ステージ3の卵巣がんの手術を行った女性に対する臨床試験では有効性が示された。今回の研究では、このIP/IV併用療法の臨床現場での利用について調査した。

研究者らによると、臨床現場の結果は臨床試験の結果と合致するものであったが、施設によって併用療法の利用にかなりの差があることがわかった。この結果は201583日のJournal of Clinical Oncology誌で発表された。

2003年から2012年の間にステージ3卵巣がんの治療を受け、IP/IV併用化学療法に適用となる女性823人の医療記録を分析したところ、治療から3年後の生存率は、IP/IV併用化学療法で81%であったのに対し、IV単独化学療法群で71%であったことがわかった。しかし、IP/IV併用化学療法を行ったのは患者の41%にすぎなかったということも明らかになった。

「これは、IP/IV併用化学療法が、臨床試験から離れた臨床現場で生存率が改善することを示した初めての研究です」と本論文の筆頭著者であり、ダナファーバー癌センターのSusan F. Smith Center for Women’s CancersAlexi Wright氏(医師、公衆衛生学修士)は述べる。「残念なことに、IP/IV併用化学療法の適応となる女性のうち、実際にこの治療を行った女性は半数以下でした。これは、IP/IV化学療法を行う機会が増えると、卵巣がん患者の生存率が改善する可能性を示唆しています」。 

併用療法に関する毒性や副作用は、臨床試験で報告されたものより重症度が低い傾向があることがわかった。臨床試験では、副作用が許容できないほど厳しかったことから患者の多くが脱落したことにWright氏は注目する。それとは対照的に、今回の新たな研究では、追跡したIP/IV併用化学療法の患者の大多数は、化学療法の全6サイクルを完遂できた。

2006年に報告された臨床試験の結果では、IP/IV併用化学療法を受けた卵巣がん患者は、IV化学療法のみを受けた患者よりも平均16カ月生存期間が延長した。この結果により米国国立がん研究所は、適応となる卵巣がん患者に対してIP/IV化学併用療法の利用を強く推奨するとの、めったにない臨床報告(Clinical Announcement)発表した。この治療では、抗がん剤パクリタキセルを腕の静脈内に、そしてシスプラチンとパクリタキセルを埋め込まれたカテーテルを通して腹腔内に投与する。

今回の新たな調査では、患者を追跡した6施設間で、IP/IV併用化学療法の利用に大きな差があることが明らかになった。ある施設では、この治療の利用率が適応患者のわずか4%であったのに対し、別の施設では68%であった。

「この治療の利用については、臨床現場の責任者の、腹腔内投与に対する熱意が影響している可能性もあります」と、Wright氏は見解を述べる。「私達の結果は、IP/IV併用化学療法は重要なアプローチであること、そして卵巣がんの転帰を改善するこの方法が有効活用されていないことを示しています」。

本論文の統括著者は、オハイオ州立大学総合がんセンターおよび Arthur G. James Cancer Hospital、Richard J. Solove Research Institute (USOCC – Ames)David O’Malley医師である。

共著者は以下のとおりである。Angel Cronin, Dana Milne, Nancy Keating, Ursula Matulonis, MD, and Jane Weeks, MD, of the Dana-Farber/Brigham and Women’s Cancer Center; Michael Bookman, MD, of University of Arizona Cancer Center; Robert Burger, MD, of the University of Pennsylvania; David Cohn, MD, of USOCCC – James; Mihaela Cristea, MD, and Joyce Niland, PhD, of City of Hope Comprehensive Cancer Center; Jennifer Griggs, MD, of University of Michigan Comprehensive Cancer Center; Charles Levenback, MD, and Larissa Meyer, MD, MPH, of University of Texas MD Anderson Cancer Center; and Gina Mantia-Smaldone, MD, of Fox Chase Cancer Center.

本研究は、米国国立がん研究所により資金援助を受けた(K07 CA166210)。
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平沢沙枝 訳
勝俣範之(腫瘍内科、乳癌・婦人科癌/日本医大武蔵小杉病院) 監修
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原文

 

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