四重野生型転移性大腸がん患者における二次治療でセツキシマブの継続使用が有効(第17回世界消化器がん学会プレスリリース) | 海外がん医療情報リファレンス

四重野生型転移性大腸がん患者における二次治療でセツキシマブの継続使用が有効(第17回世界消化器がん学会プレスリリース)

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四重野生型転移性大腸がん患者における二次治療でセツキシマブの継続使用が有効(第17回世界消化器がん学会プレスリリース)

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

 テーマ:胃腸がん/抗がん剤および生物学的製剤

一次治療として化学療法と抗上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体薬の併用療法を受けたKRAS、NRAS、BRAF、およびPIK3CA遺伝子に変異のない転移性大腸がん(mCRC)患者において、抗EGFR療法の継続が有効であるという試験結果が、スペインのバルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)第17回世界消化器がん学会で発表された。

 

イタリア、ナポリ第2大学のFortunato Ciardiello教授は、転移性大腸がんを有する患者を対象に、FOLFIRIとセツキシマブを併用投与し、増悪後に二次治療としてFOLFOXとセツキシマブを併用した場合の有効性に関するCAPRI-GOIM試験の結果を発表した。

 

CAPRI-GOIM試験は、施設の分子病理学研究室で確認されたKRASエクソン2野生型腫瘍を有する転移性大腸がん患者340人を対象に実施した、非営利団体による学術目的の第2相試験である。以前報告されたとおり(Ciardiello他、Annals of Oncology誌2014年)、全患者に対し、一次治療の標準治療であるFOLFIRIとセツキシマブの併用療法を、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続した。

 

一次治療後に病勢進行が認められた患者を、二次治療としてFOLFOXとセツキシマブ併用投与群(アームA、n=74)とFOLFOX単独投与群(アームB、n=79)に1対1に無作為に割り付けた。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次的評価項目は全生存率(OS)、奏効率、および安全性であった。

 

Ciardiello氏は、「CAPRI試験の副次的な部分、いわゆる「継続使用(beyond progression)」についての評価として、PFS、奏効率、およびOSについての最終結果を発表します」と述べた。

 

全ITT(intent to treat)集団のデータ解析によると、アームAにおいてPFSの延長が認められたが、統計学的に有意な結果には至らなかった。PFS中央値はFOLFOXとセツキシマブ併用投与群(アームA)で6.4カ月だったのに対し、FOLFOX単独投与群(アームB)では4.5カ月であった(hazard ratio [HR] 0.81; 95% CI 0.58, 1.12; log-rank test, p = 0.19)。

 

Ciardiello氏は、「この結果を受け、患者背景が関連している可能性があると考え、患者の原発腫瘍から採取した保存組織サンプルを用いて、次世代シーケンサー(NGS)によって目的遺伝子を解析し、探索しました」と説明した。

 

以前報告されたように(Ciardiello他、Annals of Oncology誌2014年版、Normanno他、Annals of Oncology誌2015年版)、臨床試験責任医師は、22遺伝子における500ホットスポットの変異について包括しているIon AmpliSeq Colon and Lung cancer panelと、Ion Reporterソフトウェアを使用して解析した。次世代シーケンサーは117人(76.5%)の患者に適用され、66人がKARS、NRAS、BRAF、またはPIK3CA遺伝子に変異のない「全RAS」野生型腫瘍を有し、51人がこれらの遺伝子のうち少なくとも1つ以上に変異のある腫瘍を有していることが明らかになった。KRASエクソン2変異は、当初野生型とみなされた腫瘍のおよそ15%で認められた。

 

2つの患者集団を追跡

Ciardiello氏は、「今回の最も重要な発見は、患者のKRAS、NRAS、BRAF、およびPIK3CA遺伝子について考慮する際に、2つの患者集団に分けられたことです。一つは複数の野生型において4遺伝子すべて正常な患者集団、もう一つはこれらの遺伝子のうち少なくとも一つ以上に変異がある患者集団です。これらの遺伝子のうち少なくとも一つ以上の変異を有する患者では、FOLFOXとセツキシマブの併用により、無増悪生存期間、奏効率および全生存率に悪影響が認められました」との見解を示した。

 

変異のない四重野生型を有する集団においては、二次治療としてのセツキシマブ+FOLFOX併用によりPFSが有意に延長し、OSおよび奏効率についても改善された一方、EGFR経路における遺伝子変異を有する患者に対しては逆効果がみられた。セツキシマブおよびFOLFOX併用により、四重野生型腫瘍を有する患者におけるPFSは有意に延長されたが、4つのEGFR依存性の遺伝子のいずれかに変異がある患者では、アームAにおけるPFS中央値はアームBのほぼ半分であった。

 

二次治療としてのFOLFOXとセツキシマブの併用は、転移性大腸がんおよびEGFR依存性腫瘍を有する増悪後の患者に対し有効

Ciardiello氏は、「本試験において重要な所見は、複数の野生型腫瘍を有する(つまり、KRAS、NRAS、BRAF、およびPIK3CA遺伝子に変異のない)患者が、EGFR依存である可能性がもっとも高いということでした。実際に、これらの患者は、セツキシマブと化学療法を併用した場合に、単独の化学療法を受けた場合と比べて無増悪生存期間が有意に長く、ハザード比0.56(p=0.025)でした。奏効率および全生存率も改善し、ハザード比0.57(p=0.056)でした」と述べた。

 

本試験には参加していないが、ESMO広報担当であり、スペインにあるバレンシア大学のINCLIVA、生物医学研究所のAndrés Cervantes教授は以下のコメントを寄せた。「これにより、化学療法を変更して増悪後も同じ抗EGFR抗体薬によって治療が可能なKRAS、NRAS、BRAF、およびPIK3CA遺伝子の野生型を有する特定の患者群に対する新しい治療方法が分かりました。本試験におけるITT解析では有効な結果が得られていませんが、変異のない患者にとってこのアプローチは有効です」。

 

さらにCervantes氏は、「これは新しい知見であり、変異のない患者は同じ抗体を再投与できるという利点があります」と述べた。

 

結論

Ciardiello氏は、「CAPRI試験は、ランダム化第2相試験で、転移性大腸がん患者を対象とした二次治療としてのセツキシマブの継続投与について評価した初の試験です。試験結果は、KRAS、NRAS、BRAF、およびPIK3CA遺伝子の複数の野生型腫瘍において、化学療法とセツキシマブの併用療法が有効であり、化学療法単独に比べて無増悪生存期間、奏効率、および全生存率が有意に延長することを示唆しています」と述べた。

 

Ciardiello氏はさらに以下のように続けた。「注意すべきは、これらの結果が、1)病勢増悪確認後に治療の骨格部分が変わったとしても抗EGFR抗体の併用を継続することに価値があるかどうかを確かめたり、2)その継続治療の効果と腫瘍のEGFRへの依存性(つまり、KRAS、NRAS、BRAF、PIK3CA遺伝子が野生型であること)に関連があるのではないかという仮説を確認したりすることは、より大規模なランダム化第3相比較試験で検証する価値があるという重要な問題を提起してくれたことにあります」と述べた。

 

原文掲載日

翻訳小石 みゆき

監修高濱 隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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