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オキサリプラチンによる化学療法にともなう嘔吐に対するNK1拮抗薬の予防効果を評価(SENRI試験)

テーマ:緩和医療、支持療法、消化管がん

 

オキサリプラチンを使用した化学療法を行う患者を対象に、NK1拮抗薬による嘔吐予防効果を評価する試みがSENRI試験によって行われたことが、制吐薬の専門家であり、ESMOの広報を担当するFausto Roila氏から発表された。この発表は、バルセロナで開催されているESMO第17回消化器がん学会2015において、本日(2015年7月1日)報告された日本の研究結果に注目したものである。性差を考慮した新たな解析を含む、SENRI試験結果の発表をうけ、Roila氏はコメントを発表している。「今に至るまで、NK1拮抗薬は、嘔吐を誘発するリスクが中等度であるオキサリプラチンによる化学療法にともなう嘔吐の予防には全く役に立たないと言われていました」。

 

多施設オープンラベルランダム化第3相SENRI試験では、日本人の大腸がん患者において、オキサリプラチンによる化学療法にともなう悪心、嘔吐に対するNK1拮抗薬アプレピタントの予防効果が評価された。1コース目の治療では、患者は対照群(5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン)またはアプレピタント群(5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン+アプレピタントまたはホスアプレピタント)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。2コース目の治療ではすべての患者にアプレピタントまたはホスアプレピタントが投与された。主要評価項目は嘔吐のない患者の割合であった。 今日の発表には、最新の解析結果として、治療効果に対する性差による影響も報告されている。

 

試験には日本国内の25施設で413人の患者が登録された。全体的にも、また遅発期においても、嘔吐のなかった患者はアプレピタント群のほうが対照群よりも有意に多かった。完全奏効率は、対照群とアプレピタント群のいずれにおいても、女性のほうが男性よりも低かった。女性では悪心のなかった患者の割合、さらに嘔吐が完全に防止された患者の割合はアプレピタント群の方が対照群よりも有意に高かった。

 

「アプレピタント、5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの3種の薬剤の組み合わせによる制吐療法により、嘔吐と悪心を阻止できた割合は有意に上昇しました」と、主著者である西村潤一大阪大学助教は述べている。「女性では抑制率が際立っています。大腸がんに対しオキサリプラチンによる化学療法を受ける患者では、3剤併用療法は制吐療法の効果的な選択肢になるものと思われます」。

 

急性嘔吐を防止する標準的予防法は5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用療法であり、遅発性の嘔吐には副腎皮質ステロイドが用いられる。オキサリプラチンによる嘔吐の予防に対し、NK1拮抗薬の追加効果を評価した、先行の唯一の無作為化試験では有用性は認められなかった。

 

「残念ながら、この2つの試験の結果は異なっています」と、国際がんサポーティブケア学会(MASCC)およびESMO制吐療法ガイドライン委員会の議長の一人であり、サンタ・マリア病院(テルニ、イタリア)の腫瘍内科部長であるRoila氏は述べている。「対照的な結果になっていることもあり、オキサリプラチンによる化学療法を行う患者において、NK1拮抗薬を5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用療法に追加すべきかどうかについては、他の試験から新たなデータが得られるまで結論を待つ必要があると思います」。

 

オキサリプラチンなどの催吐性が中等度である化学療法にともなう嘔吐の予防に対するホスアプレピタントを評価した試験では、ホスアプレピタントによりオンダンセトロン+デキサメタゾンだけの場合よりも嘔吐が完全に予防される割合は増加した。Roila氏は、「オキサリプラチンによる化学療法を実施する患者においてサブグループ解析を行い、5-HT3拮抗薬+デキサメタゾンにプラセボまたはホスアプレピタントを併用し、プラセボに対するホスアプレピタントの有効性を評価することが必要です」と、述べている。

 

本日発表されたSENRI試験による、性差を考慮した新規の解析をうけて、Roila氏は「一般的に女性は男性よりも化学療法によって嘔吐を起こすことが多いのですが、アプレピタントを追加することにより、全般的完全奏効率は女性では64%から78%、男性では81%から90%へと、男女ともに上昇しました」と、述べている。

 

「SENRI試験の結果は重要な意味をもっています。なぜなら、オキサリプラチンによる化学療法を受ける患者では、NK1拮抗薬により嘔吐を防止できる可能性があるということが指摘されているからです。オキサリプラチンは大腸がんの術後化学療法だけでなく、消化管、膵臓および胆管の多くのがんの転移性疾患に対しても広範囲に使用されている抗腫瘍薬です」と、結論している。

 

翻訳小縣 正幸

監修野長瀬 祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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