前治療歴を有する転移性大腸がんに対するレゴラフェニブの有効性が複数の試験により裏づけられる―第17回世界消化器がん学会プレスリリース | 海外がん医療情報リファレンス

前治療歴を有する転移性大腸がんに対するレゴラフェニブの有効性が複数の試験により裏づけられる―第17回世界消化器がん学会プレスリリース

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前治療歴を有する転移性大腸がんに対するレゴラフェニブの有効性が複数の試験により裏づけられる―第17回世界消化器がん学会プレスリリース

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

 トピック:胃腸がん/抗がん剤および生物学的製剤

前治療歴を有する転移性大腸がん(mCRC)患者に対するレゴラフェニブの有効性が、第3b相CONSIGN試験により確認されたと、バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)第17回世界消化器がん学会2015で研究者らが発表した。安全性プロファイルおよび無増悪生存期間は第3相試験の結果と同様であった。

 

CONSIGN試験は、販売承認前に転移性大腸がん患者によるレゴラフェニブ使用に道を開き、主要評価項目である安全性の評価を行う目的で実施された前向き観察研究であった。すでにレゴラフェニブは、前治療歴を有する転移性大腸がん患者の生存を有意に延長することがランダム化第3相試験であるCORRECT試験によって示されており、規制当局の承認を得るに至った。

 

「CONSIGN試験は、規制当局の提案により、利用範囲拡大を願う患者や医師の要望に応える目的で開始しました」と、本研究の主著者であるルーヴェン大学病院(所在地:ベルギー)のEric Van Cutsem教授は語る。「本日は、重要な結果を示した登録制の臨床試験よりも実際の日常診療によく似た大規模な患者集団における安全性および無増悪生存期間について報告します」。

 

CONSIGN試験では、25カ国188施設で2800人を超える患者を組み入れ、患者は投与期間中央値2.5カ月にわたるレゴラフェニブ投与を受けた。グレード3を超える有害事象は80%の患者に発現した。推定無増悪生存期間は2.7カ月であり、KRAS遺伝子野生型と変異型のサブ集団間で結果は同様であった。

 

Van Cutsem氏は、「前治療歴を有する転移性大腸がん患者の現実的な集団を対象にした本試験で、ランダム化されたCORRECT試験で示された結果と同様の安全性プロファイルおよび無増悪生存期間が示されました。この知見は、患者選択および毒性管理の方法に関する知見の一部となります。患者が本薬を使用する際の忍容性を向上させるため、有害事象の管理に関する明確な指針を構築する必要があります」と述べた。

 

データに関し、ESMO広報でKlinik für Tumorbiologie(癌センター病院、所在地:独フェインバーグ)の内科的腫瘍学部門を統括するDirk Arnold医師は次のようにコメントした。「CONSIGN試験は、ランダム化第3相試験であるCORRECT試験およびCONCUR試験の有効性データと安全性データを裏づけています。CONSIGN試験は、患者特性と前治療歴がわれわれが日常診療で診る患者と類似しているため、第3相試験のデータを日常的臨床につなげられる点が優れています」。

 

CONSIGN試験で報告された有害事象は、予想の範囲内であり、CORRECT試験での有害事象と同様であったと、Arnold氏は補足した。「毒性に関して、意外な所見はありませんでした。有害事象はすべて本薬剤類に特有のもので、管理可能でした」。

 

「CONSIGN試験では、この設定の観察試験から期待できることが示されています。化学療法歴を有する転移性大腸がん患者にとって治療の選択肢がさらに増えることが、これによって示されました。本治療法は特有の毒性プロファイルを伴いますが、管理可能です」。

 

本研究領域での次の段階について、Arnold氏は「ランダム化試験で広範にバイオマーカーが探索されていますが、特定の患者集団に対するレゴラフェニブの有効性を予測できるマーカーは現在まで発見されていません。本治療によって高い効果を得られる可能性がある患者、あるいは有効性が低いとみられる患者を特定する臨床的特性があるかどうか、観察的なCONSIGN試験のデータを詳細に検討するよう提案するつもりです」と語った。

 

CORRECT試験に比してCONCUR試験でのレゴラフェニブによる全生存期間の大幅延長は、前治療歴の少なさに起因する可能性がある

前治療歴を有する大腸がん患者に対するレゴラフェニブの臨床効果が、CONCUR試験およびCORRECT試験の患者特性とその転帰に関する解析から裏づけられた。アジア人および非アジア人における全生存が延長し、有害事象は上記2試験で類似していた。

 

データに関し、Dirk Arnold氏は次のようにコメントした。「CORRECT試験の患者はCONCUR試験の
患者に比べ、多種類の前治療を受けていました。例えば、CORRECT試験の患者は全員VEGF阻害薬による前治療を受けており、また約50%はEGFR阻害薬による治療も受けていました。CONCUR試験では、約60%の患者が上記2種類の薬剤のうち、いずれかの前治療歴を有していましたが、40%は分子標的薬による前治療を受けていませんでした」。

 

「CORRECT試験に比べ、CONCUR試験において有効な治療を受けた患者の転帰が良好であったことは、前治療内容の違いによって説明できる可能性があります。この設定では、前治療の種類が少ないと、レゴラフェニブのような薬剤を追加することで全生存がより延長するという仮説を立てることができます」。

 

Arnold氏は結論として、「2件の試験間の主な相違点は、CONCUR試験の患者はすべてアジア人であったのに対し、CORRECT試験ではアジア系の患者は15%であった点です。有効性の相違をもたらしたのが、民族的要因なのか前治療内容の相違なのかは不明ですが、前治療内容である可能性が非常に高いでしょう」と語った。

 

TAS-102は転移性大腸がんにおけるKRAS遺伝子の状態にかかわらず生存を延長する

TAS-102はKRAS野生型腫瘍および変異型腫瘍を有する患者における全生存と無増悪生存を延長することが、転移性大腸がんを対象とした第3相RECOURSE試験のサブ集団解析により示されている。KRAS変異型腫瘍患者の全生存延長は、統計学的に有意ではなかった。

 

予定されていた解析では、転帰および毒性とKRAS/BRAF変異の状態との関連性が検討された。BRAF変異の患者群はサンプルサイズが小さく、意義のある結論を導くことができなかった。

 

Dirk Arnold氏は、データに関して次のようにコメントした。「全体としては、KRASの状態によって、有効性あるいは有害事象の発現率に大きな相違はありませんでしたが、野生型患者群では変異型患者群に比べて、転帰が良好でした。KRAS変異は予後不良をもたらすというわれわれの知見が、ほとんどの患者が前治療を有する集団でも明確に証明され、またその集団ではTAS-102は有効性が低いというわけではないことも明示されました」。

 

「変異型および野生型の間で有害事象の差は認められませんでした。TAS-102の作用機序とKRAS/BRAF変異の状態との間にはおそらく相関性がないことから、これもまた、順当な結果です」と補足した。

 

原文掲載日

翻訳菊池 明美

監修畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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