BMIが最も低い患者グループは生存期間が最も短い:ベバシズマブ投与の転移性大腸がん患者に関するプール解析結果ー第17回世界消化器がん学会プレスリリース | 海外がん医療情報リファレンス

BMIが最も低い患者グループは生存期間が最も短い:ベバシズマブ投与の転移性大腸がん患者に関するプール解析結果ー第17回世界消化器がん学会プレスリリース

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BMIが最も低い患者グループは生存期間が最も短い:ベバシズマブ投与の転移性大腸がん患者に関するプール解析結果ー第17回世界消化器がん学会プレスリリース

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

 議題:消化器がん

肥満指数(body mass index:BMI)が最も低い患者群では全生存期間(OS)が最も短いことが、転移性大腸がんにおけるベバシズマブの臨床試験の解析によって明らかになり、このほど初めて、2015年7月1日に第17回世界消化器がん学会(欧州臨床腫瘍学会(ESMO)主催、バルセロナ)で発表された。(1)

 

「肥満により大腸がんの発症リスクが増加する、そして、大腸がんの根治療法後の再発リスクが増加するという、十分な科学的根拠が存在します」と本研究の筆頭著者であるYousuf Zafar医師(デュークがん研究所(ノースカロライナ州ダーラム市)内科准教授)は述べた。「こうした結果以前に、私たちがわからなかったことは、転移性大腸がん患者における肥満と生存期間との関連の有無です」。

 

Zafar氏は続けた。「少なくとも米国では、肥満患者は化学療法薬の量が不十分なリスクがあるという科学的根拠があります。そこで、肥満により大腸がん患者の生存期間が短縮する可能性があるという仮説を私たちは立てました」。

 

本研究では、転移性大腸がんに対する一次治療としてベバシズマブを投与された患者を、BMI 毎に4群に分けて(25未満、25以上30未満、30~35、35超、単位:kg/m2)、OSと無増悪生存期間(PFS)を解析した。研究者らは、米国と欧州で実施された4大前向き登録試験である BEAT試験、BRiTE試験、AWB試験、およびCONCERT試験におけるベバシズマブ+化学療法を受けた前治療歴のない転移性大腸がん患者の統合データセットを使用した。

 

転移性大腸がん患者総数6,128人が本解析の対象になった。本解析により、BMIが最も低い患者(25 kg/m2未満)は他のBMI群の患者と比較してOSが有意に短い(表を参照)ことが示された。PFSは全BMI群で同様であった。

 

Zafar氏は述べた。「本研究の主な結果は、肥満は転移性大腸がんにおける生存期間の短縮と関連しないことでした。仮説に反して、BMIが最も低い患者は生存期間が最も短くなるリスクがありました。こうした結果は、臨床試験、年齢、ECOGによる全身状態、性別、および高血圧に応じて調整した後でも同様でした。BMIとPFSの関連性はみられませんでした」。

 

Zafar氏はこうした結果をどのように説明するかに関して、以下のように述べた。「肥満、ならびに大腸がんの発症・再発に関して言えば、このようなリスクを増加させる生物学的機序が存在すると思われます。なお、このようなリスクはインスリンやインスリン様成長因子などの因子と関連することがあります。しかし、転移性大腸がんにおける肥満と生存期間の関係において、がん悪液質は肥満による生物学的悪影響の可能性、または、肥満患者が経験することがある不適切な投薬の可能性よりも影響が大きかったと思われます」。

 

Zafar氏は言い添えた。「悪液質は転移性大腸がん患者に対して転帰不良に関する極めて強力な予測因子になることがこうした結果から示唆されます。これは生物学的影響や治療パターンの課題になる可能性があります。悪液質自体は予後不良因子ですが、悪液質と患者の治療に対する忍容性の関係も存在するかもしれません。本解析における最低体重の患者は治療を受けにくい、または、忍容性を示しにくいという仮説が立てられるでしょう」。

 

BMIが最も低い患者群のPFSは、他のBMI群の患者と同様であった。Zafar氏は以下のように説明した。「最低体重の患者は適切な一次治療を受けることがあるものの、次はがんが進行して一連の二次治療を受けることができなくなる可能性があります。これは、私たちが転移性大腸がん患者の転帰改善に対して、さらに着目することができる領域かもしれません」。

 

Zafar氏はこの研究領域の将来に関心を向けながら、以下のように述べた。「この研究における重要な次の段階は、悪液質が転移性大腸がんにおいて患者の転帰を悪化させる過程に関するより周到な研究になるでしょう。転移性大腸がん患者に害を及ぼしているのは悪液質の生物学であるのか、または、標準以下の治療法を受けることで転帰が悪化するのかどうかを、私たちは理解する必要があります。あるいは、その両方なのかもしれません」。

 

Roberto Labianca医師(オスペダーレ・ジョバンニ23病院 がんセンター長(イタリア共和国ベルガモ市)、ESMO広報)はこのデータに関して解説しながら、以下のように述べた。「本研究は重要です。理由は、私たちはいま、BMIを転移性大腸がん患者にとっての予後因子として考慮することができるようになったからです。この臨床上の意義から、BMIが低い患者はより悪性度が高いがん患者と同様に考えるべきであり、おそらく、さらに積極的な治療を受けるべきであるということになるかもしれません。具体的には、単剤療法ではなく多剤併用化学療法、または、化学療法だけではなく生物学的製剤+化学療法です」。

 

「当然のことですが、私たちはさらに追加研究を行う必要があります」とLabianca氏は続けた。「次の段階は、治療に関して患者を層別化することを目的としたBMIを用いる前向き臨床試験の策定でしょう」。

 

BMI(kg/m2)

合計N=6128

<25
n=2860

25-<30
n=2119

30-35
n=821

≥35
n=328

OS中央値(カ月)(95%信頼区間) 21.1 (20.2-22.0) 23.5 (22.5-24.7) 24.0 (22.5-25.8) 23.7 (21.6-25.2) 22.4 (22.0-22.9)
PFS中央値(カ月)(95%信頼区間) 10.0 (9.7-10.4) 10.6 (10.2-11.0) 10.5 (9.9-11.4) 10.9 (9.5-12.3) 10.4 (10.2-10.6)

BMI毎の全生存期間(OS)中央値と無増悪生存期間(PFS)中央値

 

1) Abstract LBA-01 ‘Survival outcomes according to body mass index (BMI): results from a pooled analysis of 5 observational or phase IV studies of bevacizumab in metastatic colorectal cancer (mCRC)’ will be presented by Yousuf Zafar during Session I: Opening, Selected Abstracts, and Keynote Lecture on Wednesday 1 July, 14:15.

原文掲載日

翻訳渡邊 岳

監修小宮武文(呼吸器内科/NCI Medical Oncology Branch)

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