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血液腫瘍治療薬の現行価格は妥当ではない/MDアンダーソンがんセンター

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血液腫瘍治療薬の現行価格は妥当ではない/MDアンダーソンがんセンター

MDアンダーソン ニュース・リリース 2015年6月22日

がん治療薬の価格に関する費用は、この15年で劇的に上昇しており、多くの一流の腫瘍医が懸念している。最新の解析において、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、米国の既存の血液腫瘍に対する治療薬の大多数が、現在非常に高価であり費用対効果が高いとは言えないと結論づけた。彼らの研究結果はCancer誌の最新号に掲載されている。

近年、血液腫瘍における治療後の生存率や生活の質は大幅に改善されてきたが、薬価も急騰している。特に家計収入が減少することを考慮すると、高価格はこれらのがんと向き合う患者にとって大きな経済的負担となっている。実際に、2014年の研究によると、最大20%の患者が高い薬価が原因で治療を諦めたり治療計画を大幅に妥協したりする可能性がある。

MDアンダーソンの研究者であるJagpreet Chhatwal博士(筆頭研究者、Health Services Research助教)とHagop Kantarjian医師(統括著者、白血病科教授兼部長)は、血液腫瘍の治療薬は支払う金額に見合うだけの価値があることを示唆する2015年の研究報告に懸念を示した。

以前に行われたその研究では、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫(MM)などの血液腫瘍に対する9種類の治療薬に関する29件の研究に基づき、これらの薬剤の費用対効果を計算した。その結果は、米国においてこれらの薬剤には価格に見合うだけの十分な価値があったというものだ。

しかし、これらの費用対効果の計算は、最初に研究が行われた当時の薬価を用いて行われており、米国以外の国々の価格も多く含まれていた、と研究者らは説明する。そのため、Chhatwal氏と Kantarjian氏は現在の米ドルでの薬価を用いて以前の研究の批判的再解析を行った。

「それらの研究の大半で、以前に報告された値と比較して増分費用効果比がかなり大きいことがわかりました」とChhatwal氏は述べる。「この結果により、現在の価格は高過ぎでそれらの薬剤には支払う金額に見合う価値があるとは言えないという結論に達しました」。

費用対効果は通常、生活の質が保たれた生存年を1年獲得するために必要な費用の観点から判断される。50,000ドルが閾値として広く受け入れられており、閾値未満であればその治療薬の費用対効果は高いと言える。

研究者らは、現在の米国市場における最新の薬価を用いて29件の研究のうち20件の再解析を行うことができた。この解析により、これらの研究の63%が、獲得した生存年につき閾値である50,000ドルより高かったことがわかった。複数の研究で、獲得した生存年につき通常の許容範囲より何倍も高い210,000ドルから426,000ドルの費用がかかる結果となった。

これらの薬剤はもともとは費用対効果が高かったのかもしれないが、現在の価格は生活の質が改善されている点を考慮しても妥当とは言えない。

評価した薬剤の一つであるイマチニブは、2001年では1年間の治療に26,000ドルかかったが、2014年では1年間に132,000ドルかかった。イマチニブおよびその他の評価した薬剤の価格が上昇したのは、薬剤を新たに改良したからではなく、ただ単に製薬会社が請求する価格が上昇しているからである、とChhatwal氏は説明する。

これは血液腫瘍の治療薬に限ったことではなく、あらゆる領域のがんの新治療薬におよぶことは明らかである。実際に、薬価の上昇は、先日シカゴで開催された2015年米国臨床腫瘍学会の年次総会において多くの批判の的となった。

「薬価は上昇傾向を続けます」とChhatwal氏は述べる。「これは非常に憂慮すべきことです。特にまもなく販売される新薬のほぼ全ての価格が1年間の治療につき100,000ドルを超えており、手が届かず継続もできないものになってきています」。

さらに憂慮すべきことは価格上昇の長期的な影響であろう、とChhatwal氏は説明する。これらの薬剤の多くはがんを管理するために何年間も毎日服用する必要がある。現在の薬価は、きちんとした保険に入っていたとしても極めて大きな経済的負担になる可能性がある。

著者らは、多くの患者がこれらの治療薬の費用を負担できず、寿命を延ばすために財産を使い果たすか家族の将来のためにその薬代を節約するかの決断をせまられるだろうと主張している。彼らは、多くのヨーロッパ諸国で行われたように、米国においても、新規の治療薬の価格を規制することは患者や医療提供者にとって医療をより入手しやすく価値のあるものにするだろうと結論づけている。

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生田 亜以子 訳
野崎 健司(血液内科/住友病院) 監修
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原文

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