喘息患者は致死的な前立腺がんを発症する可能性が低い/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

喘息患者は致死的な前立腺がんを発症する可能性が低い/ジョンズホプキンス大学

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喘息患者は致死的な前立腺がんを発症する可能性が低い/ジョンズホプキンス大学

観察研究は因果関係を立証するものではないと、研究者らは注意を促している。

2015年5月13日

ジョンズホプキンス大学の研究者らは、質問票に回答し、診療記録の調査に同意した男性患者を対象とした大規模試験で得られた驚くべき結果として、喘息の既往歴のある男性は、既往歴がない男性よりも致死的な前立腺がんを発症する可能性が低いことを報告している。

International Journal of Cancer(2月27日付インターネット版)に掲載された47,880人から得たデータ分析で研究者らは、喘息の既往歴のある男性は、転移性前立腺がんと診断される可能性、または前立腺がんで死亡する可能性が29%低いことを発見した。総じて、喘息患者は前立腺がんで死亡する可能性が36%低かった。

この結果は実に驚くべきことです。なぜなら前立腺がんは、それ自体慢性炎症状態である喘息と関連した炎症との繋がりを示唆する研究があるからですと、ジョンズホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学部の疫学博士で、ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター、がん予防対策プログラムの共同代表者であるElizabeth Platz氏は述べた。

しかしPlatz氏は、この研究結果から、喘息が前立腺がんを防ぐとは言えないと強く注意を促している。「観察研究で認められたこの相関関係が、因果関係の一例であるのかどうかはまだわからないのです」。

喘息に対する薬物治療を受けたかどうか、または、喘息と診断されたのが若年期か高齢期かという因子を考慮してもなお、喘息患者は致死的な前立腺がんを発症するリスクが低いことが、分析によって示された。

研究者らはまた、花粉症の既往歴と致死的な前立腺がんとの関連性を分析し、「花粉症患者は致死的な前立腺がんになる可能性が10~12%高い」という、割合は低いが逆の相関関係を発見した。

1986年から2012年まで実施されたハーバード大学の医療従事者に対する追跡調査に、40~75歳の男性47,880人が参加した。参加者の中に1986年以前、がんの診断を受けたものはいなかった。参加者は、2年ごとに質問票に回答し、人口統計学的情報、病歴、薬剤使用および生活習慣要因について報告した。前立腺がんの診断を受けたとの報告をした参加者に対しては、研究者らが、その診療記録と病理報告を評価した。参加者の9.2%が喘息、25.3%が花粉症の診断を受けていた。このグループの中で、致死的な前立腺がんが確認されたのは798人であった。

ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター、前立腺がん総合クリニックのPlatz医学博士とCharles Drake医学博士が、喘息と前立腺がんの関連性に注目し始めたのは、前立腺腫瘍に浸潤する免疫細胞がTh2炎症として知られる免疫反応を引き起こすことを示したマウス実験の結果があったからである。

「喘息は慢性炎症、特にTh2炎症による疾患と考えられることが多いのです」とDrake医学博士は説明する。「そしてがんもまた、しばしばTh2炎症が関与していると考えられています。そこでわれわれが考えたことは、喘息患者は前立腺がんの発症率が高くなるだろうということだったのです」。

しかし、新たな分析では、「喘息患者は、前立腺がんのリスクが比較的低いという、全く反対の結果が示されました」とDrake氏は述べた。

他にもいくつか、喘息と前立腺がんのリスクとの相関を分析した研究がありますが、ジョンズホプキンス大学の分析は対象患者数が多く、致死的ながんに焦点を当てている点が他と異なると、Platz氏は述べた。

「われわれは、喘息または花粉症の診断を受けた時期も考慮しているので、前立腺がんに影響を及ぼすかもしれない関連のある暴露期間を見逃すことはないと確信しています」とPlatz氏は述べた。

喘息がなぜ致死的な前立腺がんのリスクを高めることにならないのか、いくつかの理由が考えられますとDrake氏は述べた。

「喘息を引き起こすTh2炎症は、がんを発症させるTh2炎症と同じではない可能性があります」とDrake氏は指摘する。喘息患者では、好酸球や肥満細胞のような、他の免疫細胞のレベルが高くなり、がん細胞を攻撃するとも考えられます。

「われわれは実験室に戻り、前立腺に存在する免疫細胞の性質の把握に努めます」。と、Platz氏が言うように、この研究に参加している免疫学者のDrake氏、疫学者のPlatz氏、そして研究チームのメンバーによる共同研究は継続されるだろう。「前立腺がん、特に高悪性度の前立腺がんに関連する特定の免疫プロフィールおよび免疫環境がどのようなものなのか明らかにしたいのです」。

研究に参加している研究者は以下のとおりである。Kathryn M. Wilson, Lorelei A. Mucci, Meir J. Stampfer, Walter C. Willett, Carlos A. Carmargo Jr. and Edward Giovannucci of the Harvard University School of Public Health; Siobhan Sutcliffe of Washington University School of Medicine; and Stacey A. Kenfield of the University of California, San Francisco.

本研究は、米国国立がん研究所(P01 CA55075, R01 CA133891, P30 CA006973, P50 CA58236)、および国立心肺血液研究所(R01 HL35464)の資金援助を受けている。

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萬田美佐 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院) 監修
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原文

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