早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SABR)は、外科手術と比較して全生存率が良好/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SABR)は、外科手術と比較して全生存率が良好/MDアンダーソンがんセンター

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早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SABR)は、外科手術と比較して全生存率が良好/MDアンダーソンがんセンター

2種類の治療法を比較する最初のランダム化臨床試験から、非侵襲的な体幹部定位放射線治療(stereotactic ablative radiotherapy:SABR)は、特に高齢患者や併存疾患がある患者に対して、外科手術に代わる治療選択肢になることが示唆される

MDアンダーソン ニュース・リリース 2015年05月13日

テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターによる第3相ランダム化国際共同臨床試験で、切除可能なI期非小細胞肺がん(NSCLC)患者は、現行の標準的治療法である侵襲的外科手術よりも体幹部定位放射線治療(stereotactic ablative radiotherapy,SABR)を受けたほうが、全生存率の改善を達成する可能性があることが示された。

本日、The Lancet Oncology誌に、SABRと外科手術を比較する最初のランダム化臨床試験に関する試験結果が発表された。

「これら2種類の治療法はいずれにせよ同等に効果的で、かつSABRはより優れた忍容性があると思われます。また、こうした患者における生存の改善をもたらす可能性があると私たちは初めて言うことができます」と筆頭著者兼治験責任医師である Joe Y. Chang医学博士(放射線腫瘍学教授)は述べた。「定位放射線治療は、切除可能な早期肺がんに対する比較的新規の治療法です。その一方、外科手術は100年続いている標準的治療法です。本臨床試験から、非侵襲的治療選択肢を検討する根拠を得たことになります」。

研究者らは、参加患者58人における全生存率、再発率、および毒性を解析した。推定3年生存率は外科手術患者で79%、SABR患者で95%であった。一方、無再発3年生存率は外科手術患者で80%、SABR患者で86%であった。外科手術患者では6人が死亡した。一方、SABR患者で死亡したのは1人であった。SABR患者で強い毒性は認められなかった。

外科手術後の生存率が低いのは、外科手術による肺機能の低下により増悪した他の併存疾患に起因する可能性があるためと著者らは示唆する。こうした結果自体から、特に高齢患者や重大な併存疾患がある患者に対する非侵襲的治療選択肢としてSABRが支持される。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、肺がんは米国で男性と女性の両者におけるがんによる死因の第1位である。米国がん協会によると、肺がん患者の半数以上は診断後1年以内に死亡する。また、米国国立がん研究所によると、2015年には158,040人の米国人が肺がんにより死亡すると推定される。

「本臨床試験の結果から、早期患者に対するSABRの潜在的優位性を調査する大規模臨床試験への強力な支持が得られます」と統括著者であるJack A. Roth医師(教授兼胸部心臓血管外科バド・ジョンソン臨床名誉議長)は述べた。「私たちがさらなるデータを待っているあいだに、医師らはSABRをこうした患者、特に外科手術のリスクが高い患者に対して有効な治療法とみなす可能性があります」。

SABRはこの10年の間に切除不能NSCLC患者の治療に適応されており、一部の症例では従来の放射線治療と比較してより良好な転帰を示している。しかし、SABR後の再発リスク対する懸念があるため、切除可能な早期NSCLC患者に対するSABRに関するデータは存在しなかった。その一方で、外科手術である縦隔リンパ節郭清を伴う肺葉切除(肺の半分を切除する) は、がん再発の可能性が低いと考えられていた。

しかし、肺がんの外科手術は、術後合併症発生率が高い主要手術である。また、再発率が低い反面、がんは10%~20%の確率で他の肺葉、局所リンパ節、および遠隔臓器に転移する可能性があるとChang氏は指摘した。本臨床試験では、SABRと外科手術の間には腫瘍の再発率に関する有意差は認められなかった。

本臨床試験の参加患者数が少なく、かつ、追跡調査期間が短かったため、これらの結果は慎重に解釈すべきであるとChang氏は言い添えた。新規ランダム化試験2件が準備中で、2015年での実施が見込まれる。1つ目は米国で実施予定のVALOR(Veterans Affairs Lung cancer surgery Or stereotactic Radiotherapy trial,退役軍人に対する肺がんの外科手術対定位放射線治療試験)で、2つ目は英国で実施予定のSABRtooth(外科的切除に由来する合併症リスクが高いとされるI期末梢型NSCLC患者に対するSABR対外科手術に関する多施設パイロット試験)である。

本臨床試験に携わった他の研究者らは以下のとおりである。 Jack A. Roth, M.D.; Ritsuko Komaki, M.D.; Reza J. Mehran, M.D.; Peter Balter, Ph.D.; Stephen E. McRae, M.D.; Lei Feng, M.S.; Mark F. Munsell, M.S., Donald A. Berry, Ph.D. from MD Anderson; John J. Kresl, M.D. from the Phoenix CyberKnife and Radiation Oncology Center; Omar Dawood, M.D. from Kona Medical, Inc.; Larry S. Carpenter, M.D. from St. Luke’s Health Houston; Suresh Senan, F.R.C.R.; Alexander V. Louie, M.D.; Cornelis JA Haasbeek, M.D.; Ben J. Slotman, M.D.; Marinus A. Paul, M.D.; Egbert F. Smit, M.D. from VU University Medical Center in Amsterdam, The Netherlands; Harry JM Groen, M.D.; Joachim Widder, M.D. from University of Groningen and University Medical Center Groningen in Groningen, The Netherlands; Ben EEM van den Borne, M.D.; Katrien De Jaeger, M.D.; Coen Hurkmans, Ph.D. from Catharina Hospital in Eindhoven, The Netherlands;  Erik van Werkhoven, M.S.c. from the Netherlands Cancer Institute in Amsterdam, The Netherlands and Anne-Marie Dingemans, M.D. from Maastricht University Medical Center, The Netherlands.

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渡邊 岳
中村光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)監修
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原文

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