EGFR抵抗性肺がんに有望な新たな分子標的薬AZD9291/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

EGFR抵抗性肺がんに有望な新たな分子標的薬AZD9291/ダナファーバー癌研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

EGFR抵抗性肺がんに有望な新たな分子標的薬AZD9291/ダナファーバー癌研究所

EGFR遺伝子変異が認められる肺がん患者は、EGFR阻害剤が有効であることが多い。しかし腫瘍細胞が新たな変異を獲得するため、最終的に耐性を示すようになる。

2015年4月30日、New England Journal of Medicine誌に発表された臨床試験結果によると、この治療困難な状況にある患者に新たな治療法がもたらされる可能性がある。

ダナファーバーがん研究所胸部腫瘍学ロウセンター所長であるPasi Janne医学博士が中心となり実施した研究によると、耐性変異を標的とした治験薬が、EGFR阻害剤による一次治療中に病勢進行をきたしたEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に高い効果があることがわかった。EGFR阻害剤には、ゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)およびアファチニブ(ジオトリフ)がある。

第1相試験の結果は、治験薬AZD9291が、T790M耐性変異(EGFRキナーゼ阻害剤に対する耐性を肺がんにもたらす遺伝子変異)を伴うEGFR変異陽性患者127人のうち61%に腫瘍縮小をもたらしたことを示すものであった。AZD9291はアストラゼネカにより開発中である。

同薬剤は総じて、耐性変異がみられる患者に対し、部分奏効、完全奏効、安定(腫瘍の大きさが変わらない)を含め、95%の病勢コントロール率を達成した。無増悪生存期間中央値は9.6カ月で、85%の患者において、腫瘍進行に至るまでに6カ月以上の期間を要した。

Janne医師は、「AZD9291は米国食品医薬品局(FDA)により迅速審査指定を受けている」とし、「われわれは本薬剤が今年、承認されることを期待しています」と述べた。2009年、Janne医師らはEGFR T790M変異をもつ実験系で効果を示した前臨床化合物を、初めて発表した。患者に対して初めてAZD9291を投与したのは、2013年であった。

「これまで患者がタルセバでみられるようなチロシンキナーゼ阻害剤に耐性を示すようになると、化学療法を実施していました」と、Janne医師は言う。「現在は治療選択肢があり、素晴らしいことにタルセバによる副作用はありません。本薬剤は耐用性に優れています。」

本試験では、AZD9291による重篤な有害事象発現の割合が比較的低く、投与中止または用量の減量を余儀なくされた患者はわずか6%であった。

T790M変異陽性患者の薬物耐性を克服するためこれまでの戦略は、多剤併用療法によるものであり、AZD9291に比べはるかに有効性が低く、皮膚と消化管内に重篤な毒性作用をもたらしていましたと、研究者らは述べた。

253人の患者を対象に実施された本試験によって、AZD9291の影響をうけやすくするT790M変異がみられない耐性がん患者では、有効性が低くなることが明らかになった。このような患者は、がんが耐性を獲得する原因が明らかになっておらず、AZD9291投与により腫瘍縮小がみられた患者は、わずか21%であり、無憎悪生存期間中央値は2.8カ月であった。

タルセバのような薬剤が標的とするEGFR変異は、非小細胞肺がん患者のごく一部(アジア人患者の30~40%および白人患者の10~15%)にみられる。この種のがんは阻害剤に対する耐性を1~2年以内に獲得する。耐性を獲得する原因は、患者の60%がEGFR T790M変異によるものであるが、あとの40%は原因が確定されていない。

多施設共同臨床試験に関する報告書の筆頭著者はイギリス、マンチェスター大学のMalcolm Ranson医学博士である。

本研究はアストラゼネカが資金提供している。
******
萬田 美佐 訳
小宮武文(呼吸器内科/NCI Medical Oncology Branch) 監修
******
原文

 

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward