トリプルネガティブ乳がん女性に対する免疫療法治験薬MPDL3280Aが予備的研究で評価/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

トリプルネガティブ乳がん女性に対する免疫療法治験薬MPDL3280Aが予備的研究で評価/ジョンズホプキンス大学

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トリプルネガティブ乳がん女性に対する免疫療法治験薬MPDL3280Aが予備的研究で評価/ジョンズホプキンス大学

2015年4月20日

予備的なヒト臨床試験の初期データにより、治療が一貫して困難な転移性トリプルネガティブ乳がん女性患者において、治験段階の免疫系治療薬がおおむね安全かつ良好な忍容性であることが示された。

がん細胞を認識、攻撃する免疫系の能力維持を目的とするMPDL3280Aと呼ばれる治療薬の初期段階の臨床試験結果が4月18日~22日にフィラデルフィアで開催される米国がん学会2015年年会にて発表される予定である。トリプルネガティブ乳がん細胞では、乳がん治療の標的として確立されているエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体及びHER2タンパクの発現がみられない。

ジョンズホプキンスキンメルがんセンターおよびその他の複数の施設にて54人の患者で小規模な試験が実施された。

「本研究の初期データにより、本薬剤はおおむね安全かつ忍容性が良好であることが示され、これらの患者の一部では疾患の制御が可能と思われる。本薬剤の治療価値を確立するために、直ちにより多くの患者で本薬剤を詳細に評価し、標準療法と比較する必要がある」とジョンズホプキンス大学医学部、准教授のLeisha Emens医学博士は述べている。

厳密に言うと、本薬剤はがん細胞を攻撃可能な免疫系細胞から腫瘍細胞を隠す経路を阻害するようデザインされていると研究者は述べている。その経路の構成成分の中に、免疫細胞表面に発現するprogrammed death-1 (PD-1)と呼ばれるタンパクとがん細胞及び一部の免疫細胞に発現するprogrammed death ligand-1 (PD-L1)と呼ばれるタンパクの2つが存在する。その2つのタンパクが結合すると、生化学的カップリングが免疫系の活性化を抑制し、がん細胞を攻撃する能力を弱める。がんは生細胞にプログラムされている通常の細胞死プロセスを回避する細胞という特徴を有している。MPDL3280AはPD-L1タンパクに結合し、免疫細胞上のPD-1タンパクとの結合を阻害する。

評価を受けた54人のトリプルネガティブ乳がん患者のうち37人において、患者の腫瘍サンプル内で確認された免疫細胞の5%以上にPD-L1タンパクの証拠がみられた。試験に参加した患者のほとんどが悪心、下痢、疲労、熱及び食欲減退などの低グレードの副作用を経験した。6人の患者は嘔吐、貧血及び白血球減少などのより深刻な副作用を呈した。患者グループにおける2件の死亡例が評価中ではあるが、今までのところ本薬剤の副作用に関連した死亡例はない、と研究者は述べている。

本薬剤による疾患の抑制効果の可能性を評価するために、37人のPD-L1陽性患者のうち21人が評価を受けた。6人の患者は乳がんの増悪無しに24週間以上生存し、Emens氏によると、本知見は転移性トリプルネガティブ乳がん患者において一般的ではないとのことである。それらの患者のうち2人は腫瘍が完全に縮小した完全寛解に、さらに別の2人は部分寛解となった。本試験の患者は平均40週間追跡されている。

「どの患者が治療に反応する可能性が高いかを治療前に予測する方法を特定することも重要である。本治療に反応する可能性が高いがん患者に対するバイオマーカーを特定する努力が継続的になされている」と、Emens氏は述べている。

Emens氏によると、トリプルネガティブ乳がん患者は一般的に他のがん患者より予後が悪い。外科的手術や放射線治療の他では、薬物治療は標準化学療法剤に限られている。

他の研究から、トリプルネガティブ乳がん患者の腫瘍が他の乳がんサブタイプより腫瘍内にPD-L1タンパク及び特定の抗がん作用をもつ免疫細胞を多く含む可能性が示されていたため、本患者群においてこの種の免疫療法を評価することを選択したと研究者は述べている。トリプルネガティブ乳がんは他のがんより高い確率で変異も見られるので、がん細胞が免疫系にとって異物となる異常タンパクを産生し、免疫系による破壊の警報を発する可能性が増加すると、彼女は述べている。

Genentech Inc.社がMPDL3280Aを製造、開発しており、本研究への資金も提供した。Emens氏はGenentech社から別の臨床試験のための研究資金及びRoche社から研究助成金を受けている。彼女はMerck社、EMD Serono社、Amplimmune社及びMaxcyte社からも資金提供を受けており、Vaccinex社、Celgene社、Aveo社及びBristol-Myers Squibb社の顧問を務めている。Aduro Inc.社及びThe Johns Hopkins University間のライセンシング契約に基づき、本大学及びEmens氏はGM-CSF分泌乳がんワクチンのマイルストーン達成に対する支払い及び売上に対するロイヤルティを受ける権利がある。これらの契約の条件は利益相反ポリシーに従い、ジョンズホプキンス大学により管理されている。Emens氏は米国食品医薬品局の細胞組織遺伝子治療諮問委員会の一員である。

本研究に従事した他の研究者はFadi Braiteh from the Comprehensive Cancer Centers of Nevada; Philippe Cassier from the Centre Leon Berard in Lyon, France; Jean-Pierre Delord from the Institut Claudius Regaud in Toulouse, France; Joseph Paul Eder from the Yale School of Medicine; Marcella Fasso, Yuanyuan Xiao, Yan Wang, Luciana Molinero and Daniel Chen from Genentech; and Ian Krop from the Dana-Farber Cancer Instituteである。

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下野龍太郎 訳
原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター) 監修
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原文

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