個別化がん医療に伴う未規制のネット上遺伝子検査に関する懸念が調査で明らかに/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

個別化がん医療に伴う未規制のネット上遺伝子検査に関する懸念が調査で明らかに/ダナファーバー癌研究所

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個別化がん医療に伴う未規制のネット上遺伝子検査に関する懸念が調査で明らかに/ダナファーバー癌研究所

2015年3月5日

ダナファーバーがん研究所の新たな研究によると、テーラーメイドがん治療を販売するウェブサイトでは、販売業者が主張するベネフィットを過剰に強調する一方で、治療の限界を軽視することが多々あり、多くのサイトではがん治療の指針としての有用性が臨床的に示されていない遺伝子検査を販売していることがわかった。

がん関連の遺伝子検査を行うインターネット市場が規制されていないため、これらのサービスがさまざまな形で提供されており、利用者や主治医にとって問題となっているということが、JNCI誌201535日号で報告された。

「われわれは、利用者がこれらのサービスのベネフィットと限界のバランスを見極められているかを知りたかったのです。」遺伝子検査サービスを提供する55のウェブサイトを解析した論文の筆頭著者、Stacy Gray医師(MD, AM)は述べた。「この種のサイトは実に多種多様であることがわかりました。中には良質な情報もありますが、患者や医療提供者はこの種のサイトを批判的に見る必要があります」。

Gray医師は次のように続けた。「一般的に、テーラーメイドがん治療のベネフィットに関する報告は、治療の限界に関する報告より多いことが今回の研究で明らかになりました」加えて、こうしたウェブサイトの88%は、日常的ながん診療において明確な臨床的有用性を示すエビデンスのない「標準外」検査を1種類以上提供していた。

Gray医師は腫瘍内科医であり、ダナファーバーのCenter for Outcome and Policy Researchの研究員でもある。本論文の統括著者は、ダナファーバー/Boston Childrens Cancer and Blood Disorders Centerの小児腫瘍内科医であるKatherine Janeway医師である。

本論文では、「ベネフィットが証明されていない製品を宣伝すれば、インターネットによる販売が有害となるおそれがある」と著者らは指摘している。

著者らは民間企業、大学医療センター、医師、研究機関およびその他の組織が販売する個別化または精度の高いがん医療(personalized or precision cancer medicinePCM)製品ならびにサービスを解析した。

著者らはPCMを「遺伝子または腫瘍由来のデータに基づき、治療を調整・個別化するために使用することができる製品またはサービス」と定義した。PCMでは、医師が疾患の挙動を予測するのに役立つ可能性のある変異やその他の遺伝的異常を検出するために、患者の腫瘍サンプルを用いたDNA検査を行うことが多い。また、DNA検査を、患者のがんで見つかった特定の変異を「標的」とする薬剤の選択に用いるケースも、限定的ではあるが増えてきている。そのような標的薬剤は標準化学療法より有効性が高く、副作用が少ない場合がある。

これらの検査は腫瘍そのものの遺伝的特徴に着目していることから、「体細胞系」と呼ばれる。もう1種類のPCM検査は「生殖細胞系」と呼ばれるもので、患者個人のゲノム(受け継がれた遺伝子およびその他のDNA1セット)を解析する。また、健康な人においてがんを発症するリスクを高める遺伝子変化を発見する場合もある。

インターネットサイトの大半(58%)は体細胞系検査を、20%は生殖細胞系検査を販売していることが本研究でわかった。加えて、サイトの44%は、何らかの形で個別化がん治療を提供していることもわかった。

本論文では以下のようなマーケティングの宣伝文句例を引用している。 

  • 「処方の試行錯誤を減らしましょう。遺伝子検査はより良い治療、高い精度、低コスト、治療強化のための手段です―私たちが保証します」
  • インターネット販売業者を利用して、「治療の選択肢を増やし、標準治療よりも患者さんの平均余命が伸び、副作用が少ないケースも多いです」膵臓がん末期の患者の寿命が「(私たちの製品が導いた)治療により、5年延長しました」
  • 「私たちの研究所では、816種類の薬剤とその併用に対するあなたの腫瘍の反応を解析し、がんを消滅させる最適な治療法を特定します」

インターネットサイトに掲載されている宣伝やその他の情報は、米国食品医薬品局(FDA)や連邦取引委員会(FTC)などの機関による規制を受けていない。最近になって、FDAは遺伝子検査をより広く規制する予定であることを表明した。これらのウェブサイトの規制が実現したとしても、「腫瘍科の医療従事者は、患者が個別化がん治療に関する決定をする際には十分な説明をする必要があるだろう」と著者らは述べている。

本研究は米国がん協会(助成金番号20529-MRSG-11-006-01-CPPB)および米国立衛生研究所(助成金番号U01HG006492)による資金提供を受けた。

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大澤朋子 訳
北丸 綾子(分子生物学/理学博士) 監修
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原文

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