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婦人科内診に再検討の必要性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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婦人科内診に再検討の必要性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

2014 年6月30日

婦人科内診はこの数十年間、婦人科年次検診の標準検査項目のひとつとされてきたが、明確な検査効果は示されておらず、婦人科内診がもたらす不利益が利益を上回る可能性がある。

これは、アメリカ内科学会(ACP)が過去60年以上にわたる科学文献の検証に基づいて得た新たなガイドラインの結論である。2014年7月1日に発行されたACP基幹誌、Annals of Internal Medicineで内科専門医国際組織は、妊娠をしておらず疾患の徴候が全くみられない成人女性に対して婦人科内診することを強く批判している。

新たなガイドラインの発表に際し、アメリカ最大の専門医組織は、婦人科内診により「重大な疾患」が発見されることはまれであり、死亡率が低下することはほとんどないと主張した。新たなガイドラインを受けてACPは、婦人科内診はおりもの、不正出血、疼痛、尿路系疾患および性的機能不全などの症状がある女性に適するとした。

UCSFの産科学、婦人科学、生殖科学、疫学・生物統計学の教授であり婦人科医のGeorge F. Sawaya医師およびUCSFの産科学、婦人科学、生殖科学の准教授であり婦人科医のVanessa Jacoby医師による付随論説によれば、この勧告は論争を巻き起こすだろう、としている。

論評の中で両医師は、「今回の勧告は、内診を支持するデータは見つけられず、苦痛や不要な外科手術といった不利益を明らかにした系統的レビューに基づくものである」と書いている。

米国では毎年婦人科検診で、数千万回もの婦人科内診が実施されるが、それが実際、何ら症状がみられない女性にとって有益であるかどうかはほとんど検討されてこなかったことをSawaya医師とJacoby医師は指摘している。検証不足解消に役立てるべく、医師が婦人科内診を実施する目的の確立を求めた調査が最近実施された。医師のなかには、婦人科内診によって子宮および卵巣に良性の病変を発見することができると主張する医師もいれば、卵巣癌の効果的なスクリーニングになると誤った認識を示している医師もいることに両医師は言及した。

論説では、今回分析された調査は高齢の女性を対象とし、「婦人科医が婦人科内診の最も重要な目的とする非悪性腫瘍の発見」を評価できていないと、ACPが実施した医学文献のレビューの在り方に疑問をなげかけている。

「このように、あらゆる年齢の女性が受診する婦人科検診の臨床現場に大きな変化を要請するため、これらの知見が用いられることには賛同できないという意見も尤もである」とSawaya医師とJacoby医師は論説に書いている。「適切な臨床的疑問がすべて解決されたのか多くの人が疑問に思うだろう」。

「介入を進めるべきかやめるべきか、あるいはさらなる研究に持ち込まれるべきかの結論を下す十分な根拠をいつ得られるのか判断することは難しい」と両医師は続けた。「その決断は主に、根拠の質をどう判断し、より多くの根拠が賛否どちらに有利に働くかを左右する可能性がある」。

マンモグラフィや前立腺検査など数多の定期検診が、現在、医学的価値と経済的価値の両面から再検討されている。

論評の中でUCSFの著者らは、新たなガイドラインが実際に現在の医療行為を変えることになろうとなるまいと、婦人科内診の利益と不利益に対するよりよい評価をもたらすであろうと強調している。

婦人科内診は何十年もの間、女性医療の重要な位置を占めており、根拠に基づいた医療というより儀礼的なものになっていると著者らはいう。さらに、現時点で得られる根拠をもとに、検査を提供し続ける医師は少なくとも利益の不確実性と陽性検査結果によってもたらされる不利益の可能性、引き続き発生する数々の事象を認識すべきである、と述べた。

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萬田美佐  訳
喜多川亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)監修
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原文

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