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ガーダシル9ワクチンは他のHPV型に対しても予防可能/NCI臨床試験結果

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ガーダシル9ワクチンは他のHPV型に対しても予防可能/NCI臨床試験結果

2015年3月2日掲載

要約

ある大規模無作為化臨床試験で、新しいヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが高リスクのHPV型9種に起因する感染症および疾患を効果的に予防したことが明らかになりました。これには、子宮頸癌や他のがんを引き起こす発癌性HPV型7種を含み、そのうち5種はこれまでに使用可能であったHPVワクチンでは予防できていませんでした。新たな2種は性器疣贅(いぼ)を引き起こすものです。

出典 

2015年2月18日付、New England Journal of Medicine 誌(ジャーナル抄録参照)

背景

HPV感染症は、米国で最も多い性行為感染症です。直接的な性的接触によってHPV型の40種以上が伝播する可能性があります。そのうち16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型を含む約12種のHPV型が高リスクです。つまり、このようなHPV型に持続感染することによって、子宮頸癌、肛門癌、陰茎癌、腟癌、外陰癌および咽頭癌などの癌に進行する可能性のある細胞変化が生じる可能性があります。HPV16型と18型は子宮頸癌の約70%の原因であり、HPV31型、33型、45型、52型および58型が子宮頸癌のさらに20%の原因になります。 2014年12月までに米国食品医薬品局(FDA)がHPV感染予防のために承認したのは、HPV16型と18型の感染を予防する2価ワクチンのサーバリックスと、HPV6型、11型、16型および18型の感染を予防する4価ワクチンのガーダシルの2種類のワクチンです。6型と11型は発癌性ではない低リスク型ですが、性器、肛門、口腔、咽喉またはその各周囲に疣贅(いぼ)を生じることがあります。 高リスクのHPV型をさらに予防する次世代のHPVワクチンの開発に、研究者らが以前から取り組んでいます。2014年12月、FDAは本臨床試験の結果に基づいて、9価ワクチンのガーダシル9を承認しました。このワクチンによって、HPVの6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型および58型による感染を防ぐことができます。

試験

第2/3相国際二重盲検試験では、16歳から26歳の女性14,215人が接種するワクチンとしてガーダシルまたはガーダシル9のいずれかに無作為に割り付けられました。臨床試験の一部として小規模な用量設定試験を最初に実施して、大規模な有効性試験に使用する用量を決定しました。試験参加者の適格基準は、Pap検査(子宮頸部細胞診)に異常が認められたことがなく、これまでの性交渉の相手が4人以下であり、子宮頸部の生検に異常が認められたことがないこととしました。  各群の女性は6カ月間にワクチンの筋肉注射を3回接種しました。 本試験の主要評価項目は、子宮頸部、外陰部または膣にみられる高悪性度の疾患の発症とし、具体的には、高悪性度の子宮頸部上皮内腫瘍、上皮内腺癌、子宮頸癌、高悪性度の外陰上皮内腫瘍、高 悪性度の腟上皮内腫瘍、外陰癌および膣癌としました。副次評価項目には安全性のほか、HPVの6型、11型、16型および18型に対する抗体反応を測定することにより、免疫応答(ワクチンの免疫原性)を誘発する能力も評価されました。本臨床試験は、オーストリアのウィーン医科大学包括的がんセンターのElmar A. Joura医師の主導により実施され、ガーダシルとガーダシル9の製造元であるMerck & Co., Inc.の子会社Merck Sharp & Dohme Corp.から資金提供を受けています。

結果

ワクチンの初回接種時にHPV感染歴がなく、全3回の接種を受けた参加者では、4価ワクチンを接種した患者に比べ、9価ワクチンを接種した患者の方がHPVの31型、33型、45型、52型および58型に関連する子宮頸部、外陰部、膣各疾患の発症件数がかなり少数でした(30件に対し1件)。9価ワクチンの有効率は96.7%でした。 ガーダシル9とガーダシルの両ワクチンが標的とするHPV型4種に対する抗体反応の生成に関しては、ガーダシル9はガーダシルと同等に有効でした。ガーダシル9群で高悪性度の疾患がみつかった患者は、すべてワクチンの初回接種時にHPVに感染していた患者であった。このことは、女性と女児が HPV に暴露される前に予防接種を受けることの重要性を浮き彫りにするものである、と著者らは指摘しました。 ガーダシル9の安全性については、7,000人以上の女性を対象に評価されました。注射部位に関連す る有害事象、たとえば軽度から中等度の痛み、腫れ、発赤、かゆみなどは、ガーダシル群よりもガーダシル9群に多く認められました。頭痛、発熱、悪心、めまいや倦怠感などの全身性有害事象の発症率は両群とも同等でした。

制限事項

本試験ではガーダシル9 をガーダシルと比較しましたが、プラセボ対照群は含まれていません。その結果、本試験では、両ワクチンに共通するHPV型(HPV 6型、11型、16型、18型)に起因する疾患の予防に関するガーダシル9の有効性を直接判断することはできませんでした。一方、ガーダシル9は、ガーダシルによって生じる抗体反応に類似する抗体反応を生成したことと、この4種のHPV型に関連する疾患の発症率が同等であったため、著者らは結論として、この4種のHPV型に起因する疾患を予防する上で、ガーダシル9にはガーダシルと同等の有効性があるとしています。 著者らは、予防効果の持続性に関する情報を提供するには、ガーダシル9による予防接種を受けた患者の長期経過観察が必要であることも付け加えています。

コメント

NEJM付随論説で、米国疾病管理予防センターのAnne Schuchat医師は、この試験は「ヒトパピローマウイルスに起因する癌の範囲が広がる中で重要な出来事」であるとしています。  さらに高リスクのHPV型に対する予防ワクチンであっても、「さらにもっと多くの思春期直前の子どもたちに予防接種が必要である。さもなければ、何十年たっても腫瘍内科医は毎年数千人という新規患者が出る、HPVに起因する癌について話をすることになるであろう」とSchuchat氏は述べました。 米国国立がん研究所のがん疫学・遺伝学部門のAimée Kreimer博士は、ガーダシル9によって、これまでのHPVワクチンが有効であった期間と同等の期間にわたってHPV感染を防ぐことができることを期待していると述べました。

Kreimer博士はまた、「ガーダシル9をはじめ、現在承認されているHPVワクチンも有効性を損なうことなく、減量スケジュールで投与できるかどうかを知ることが大切」であり、これによって、「HPVに起因する癌が女性での癌の死因第1位である世界の一部地域および予防接種が十分に行きわたっていない米国の一部集団で、この予防接種の利点を最大限に発揮する」のに役立つだろうと語っています。

関連文献

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

 

原文

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ギボンズ京子 訳
原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)監修
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