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膠芽腫:再発腫瘍の放射線抵抗性に3つの遺伝子が関与/オハイオ州立大学総合がんセンター

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膠芽腫:再発腫瘍の放射線抵抗性に3つの遺伝子が関与/オハイオ州立大学総合がんセンター

2015年1月30日

致死的な脳腫瘍である多形性膠芽腫(GBM)は、治療後にしばしば再発し、患者の平均生存期間は2年を下回る。

今回行われた研究では、GBM細胞が放射線治療に生き残るために重要な役割を果たす3つの遺伝子が特定された。

今回得られた知見は、これら3つの遺伝子のうち1つ以上を遮断することが、再発GBMや治療抵抗性GBMに対する有効な新たな治療法となる可能性を示唆している。

致死的な脳腫瘍の放射線治療後にみられる再発・進行において、協同して働くいくつかの遺伝子が新たな研究により特定された。

今回得られた知見は癌幹細胞を標的とする新たな治療法となる可能性がある、と研究を主導したオハイオ州立大学総合がんセンターArthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC – James)の研究者らは述べている。

今回の研究では、脳腫瘍の多形性膠芽腫 (GBM)に焦点があてられ、幹細胞のようにふるまい、放射線治療に耐えることもある腫瘍内の癌細胞のサブセットについて検討された。

研究者らは、こうした癌幹細胞—様細胞がいかにして放射線照射に耐えるのかを解明するため、がん関連遺伝子EZH2の研究を行った。EZH2は、GBMや他のがんで異常を来している遺伝子である。

研究者らは、他の腫瘍細胞や健康な体細胞ではなく、GBM幹細胞—様細胞においては、EZH2が、MELKと呼ばれる遺伝子ともうひとつのFOXM1という遺伝子と結合することにより調節・制御されていることを発見した。

これら3つの遺伝子が相互作用することにより、GBM幹細胞—様細胞は放射線治療に耐性を示す。

今回の研究で得られた知見は、Stem Cell Reports誌に掲載されている。

「現在のGBM治療では、まず外科的手術、その後に放射線治療および化学療法が行われます。しかし、GBMは頻繁に再発し、患者の生存期間は一般に2年を下回ります。そのため、われわれは新たな治療法を何より必要としています」と臨床試験責任医師で脳神経外科の准教授であり、OSUCCC–JamesにおけるTranslational Therapeutics Programの研究者であるIchiro Nakano医学博士は述べる。

「われわれが得た知見は、これまでにない癌幹細胞に対する治療として、脳腫瘍や他の癌に対しMELK阻害物質が有効である可能性を示唆しています」

同博士らが行った初期の研究では、膠芽腫幹細胞—様細胞でMELKの発現率が高いこと、MELKの過剰発現が患者の生存率の低さと相関することが示されている。

今回の研究では、同博士らはGBM腫瘍からの分離細胞、マウスモデル、線虫のカエノラブディティス・エレガンスを使用した。

本研究の主要な知見は以下のとおり:

MELKタンパク質とEZH2タンパク質は、共に腫瘍細胞のサブセットに発現する

MELK非存在下では、GBM細胞は放射線照射に対し高い感受性を示す。MELK存在下では、GBM細胞は放射線に耐性を示すようになる

再発GBMは、初発の腫瘍よりも、MELKおよびEZH2陽性細胞数が多い

MELKと発癌転写因子FOXM1が複合体を形成し、EZH2が発現する

MELK、FOXM1、EZH2の発現量は患者の予後に大きく関与する

「総合的に判断すると、照射後のMELKの発現量増加が放射線耐性や腫瘍の進展・進行を促すことをわれわれのデータは示唆しています」と同博士は述べる。

本研究は、アメリカ癌協会、米国国立衛生研究所(NIH)(助成金CA163205、CA175875、NS083767、NS087913 、NS082312)、デンマークがん協会、デンマーク国立研究財団による資金提供を受けた。

本研究における共同研究者は他に、オハイオ州立大学のSung-Hak Kim、Kaushal Joshi、Jason Siu、Chunyu Gu、Mariko Nakano-Okuno、David Taylor、Mutsuko Minata、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRavesanker Ezhilarasan、Erik P. Sulman、Krishna P. L. Bhat、クリーブランドクリニックのJeongwu Lee、デンマーク・コペンハーゲン大学のToshia R. Myers、Anna Elisabetta Salciniである。

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重森 玲子 訳
西川 亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
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原文

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