ニボルマブはBRAF変異のない転移性メラノーマ患者の全生存期間を改善/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

ニボルマブはBRAF変異のない転移性メラノーマ患者の全生存期間を改善/NCI臨床試験結果

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ニボルマブはBRAF変異のない転移性メラノーマ患者の全生存期間を改善/NCI臨床試験結果

2015年1月6日掲載

要約

第3相国際臨床試験の結果によると、ニボルマブ(オプジーボ)はBRAF遺伝子変異のない転移性メラノーマ患者に対し、ダカルバジンを用いた化学療法よりも全生存期間を改善しました。

出典

 2014年11月6日、New England Journal of Medicine誌 (抄録参照)

背景

転移性メラノーマ患者の約半数はその腫瘍のBRAF遺伝子に変異が認められます。これらの患者は多くの場合、ベムラフェニブ(ゼルボラフ)、ダブラフェニブ(タフィンラー)、 トラメチニブ(メキニスト)など、米国食品医薬品局(FDA)に承認された標的治療薬のうちのひとつで治療されます。

しかし、これらの治療薬はBRAF 変異のない患者には効果がありません。BRAF変異のない患者にはしばしばイピリムマブ(Yervoy)による免疫療法が行われます。イピリムマブはT細胞上のCTLA-4タンパク質を阻害する薬剤で、免疫チェックポイント阻害剤として初めてFDAに承認された薬剤です。

初期臨床試験で良好な結果が得られたことから、別のチェックポイント阻害剤ペンブロリズマブ(キートルーダ)が、進行性メラノーマの治療に対しFDAにより承認されました。ペンブロリズマブはPD-1というチェックポイントタンパク質を標的としています。試験薬ニボルマブはPD-1阻害剤であり、単独投与あるいはイピリムマブとの併用により進行性メラノーマ患者を対象とした初期臨床試験において良好な結果が認められました。

試験

CheckMate-066試験では、BRAF 変異のない転移性メラノーマ患者418人を対象に、ニボルマブかまたは進行性メラノーマの治療によく用いられる化学療法剤ダカルバジンのいずれかの治療群に無作為に割り付けました。

ニボルマブによる治療後の全生存期間の改善を予測できるかどうかを確認するために、全患者の腫瘍検体にPD-L1(リガンド、つまりT細胞上のPD-1チェックポイントタンパク質の結合相手)が存在するかを検査しました。

本試験の主要エンドポイントは全生存期間でした。副次項目にはどのくらいの期間疾患が進行せずに生きられるか(無増悪生存期間)と、どのくらいの患者で腫瘍サイズが縮小するか(奏効率)が含まれました。

試験はフランスのInstitut Gustave Roussyに 所属するCaroline Robert医学博士により主導され、ニボルマブの製造元であるブリストル・マイヤーズ社により資金提供を受けました。

結果 

試験結果発表時点では、全生存期間の中央値は、ニボルマブ投与患者群は未到達(観察期間中央値8.9 カ月)、ダカルバジン投与患者は10.8カ月でした(観察期間中央値6.8カ月)。1年生存率はニボルマブ投与群は72.9%、ダカルバジン投与群は42.1%でした。また、ニボルマブ投与群では無増悪生存期間がダカルバジン投与群よりも長く(5.1 カ月対2.2カ月)、より高い奏効率を示しました(40.0%対 13.9%)。

ニボルマブ投与群の中でPD-L1陽性または陰性による生存期間の差は認められませんでした。

2014年8月5日現在、ニボルマブ投与群の46%およびダカルバジン投与群の6%が試験開始時に割り付けられた治療を継続していました。疾患が進行し始めたかあるいは副作用により割り付けられた治療を中止した患者の大多数は、何らかの全身治療を継続しており、多くはイピリマブの投与でした。

両治療群の副作用発現率は同等でしたが、グレード3または4の副作用を経験した患者はニボルマブ投与群の方がダカルバジン投与群よりも少数でした(11.7%対17.6%)。ニボルマブ投与群のうち最も多く認められた副作用は、倦怠、皮膚の強いかゆみ(掻痒)、吐き気でした。副作用が原因で薬剤の投与を中止した人数は、ダカルバジン投与群よりもニボルマブ投与群のほうが少数でした。

コメント

ニボルマブ投与により死亡リスクは58%に減少し「予後不良因子を持つ患者も含め、予め設定された全サブグループに対して有益だ」と著者は述べています。

ダカルバジンを比較治療として選択したのは「多くの国で最近までBRAF変異のないメラノーマ治療として第一選択の標準治療だったからだ」としています。

過去の初期臨床試験による良好な結果に基づき、今回の第3相臨床試験の結果は「私たちの予想を裏切りませんでした」とNCICancer Therapy Evaluation ProgramのHoward Streicher医師は述べました。

多くの患者がニボルマブに対し「長期かつ持続的反応」を経験したことはうれしい結果です、とStreicher医師は述べました。これらの反応のいくつかは「遅延性の、いわゆる一般的には不規則応答と言われるもので、私たちは免疫療法による異なる反応パターンに慣れていかねばなりません」と述べました。

エール大学がんセンターのMario Sznol医師とハーバード医科大学のDan Longo医師は、関連する総説の中で、この臨床試験の結果より「抗PD-1療法が、BRAF変異のない患者も含めて転移性メラノーマの第一選択として承認されることを強く推奨する」と記しています。

ニボルマブによる重篤な副作用はダカルバジンよりも少なかったものの、非常に重篤な副作用の起こる可能性も含め、ニボルマブによる免疫関連の副作用に十分注意するよう、Streicher医師は臨床医と患者に警告しています。

原文

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武内優子 訳
林正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)監修
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