転移性大腸癌患者は切除手術を受けなくなっているが、生存は改善/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

転移性大腸癌患者は切除手術を受けなくなっているが、生存は改善/MDアンダーソンがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

転移性大腸癌患者は切除手術を受けなくなっているが、生存は改善/MDアンダーソンがんセンター

転移性大腸癌患者は切除手術を受けなくなっているが、生存は改善

現在もなお原発腫瘍の切除が転移性大腸癌患者に対して過剰に実施されているのではないかという疑問がある

MDアンダーソン・ニュースリリース

2015年1月14日

テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターによる研究で、転移性大腸癌の治療に使用可能な新規の化学療法薬と生物学的製剤における新時代の幕開けにより、転移性大腸癌患者は原発腫瘍の切除手術を受けなくなっていることが示された。

JAMA Surgery誌上に発表された本研究で、転移性大腸癌患者集団の全生存率が上昇したこともわかった。しかし、研究者らは原発腫瘍切除(PTR)率が化学療法の効果に応じて減っていないかどうか、また、原発腫瘍切除率をさらに低くすべきかに関する疑問を持っている。

アメリカ癌協会(ACS)によると、2014年に136,830人超の患者が大腸癌と診断され、51,260人が死亡した。これらの新規診断患者のうち20%は診断時に転移性大腸癌に罹っている。また、転移性大腸癌患者の80%~90%の腫瘍は切除不能である。

転移性大腸癌の原発腫瘍切除の主たる適応は、腸閉塞や出血などの症状を発症した患者に対してであると、George Chang医師 (Surgical Oncology and Health Services Research准教授)は解説する。限定された一部の転移性大腸癌患者においては、原発部位と転移部位の両方での外科的切除を含む治療方針に照らして、原発腫瘍切除を実施すべきである。しかし、原発腫瘍を切除しない患者が化学療法を受けると、上記のような症状を発症する可能性があると多くの医師や患者は懸念していると、Chang氏は解説する。

「私たちは前回の第2相共同グループ試験から、化学療法薬や生物学的製剤を転移性大腸癌患者に投与することは安全であることを知っています。しかし、原発腫瘍切除は生存と関連すると一部の人が信じているために、その役割に関してはいまだに議論になっています」とChang氏(本研究の連絡著者)は述べる。「本研究の目的は、原発腫瘍切除を受ける転移性大腸癌患者の割合の動向を調べることで、日常の診療において、かつ、全国的にこれらの患者に対する原発腫瘍切除がどの程度実施されたかを評価することです」。

Chang氏らは、原発腫瘍切除の実施数が減少しているにもかかわらず、転移性大腸癌患者の生存が改善していることを立証することと同時に、これらの患者の生存転帰の動向を調べることも望んでいた。

Chang氏らは後ろ向き集団ベース研究に関して米国国立癌研究所(NCI)監視疫学遠隔成績(SEER)データベースを使用して、1988~2010年に転移性大腸癌と診断された全患者64,157人を特定した。総じて、43,273人(67.4%)が原発腫瘍切除を受けた。これらの患者は50歳未満の既婚女性が多く、また、高グレードの結腸癌に罹患している傾向が強かった。

年間の原発腫瘍切除実施率が74.5%(1988年)から57.4%(2010年)に低下しており、2001年以降に実施された原発腫瘍切除実施率には最も劇的な変化が見られたことを研究者らは突き止めた。注目すべきは、より劇的な原発腫瘍切除における変化は、新たな化学療法薬の使用と関連することである。

転移性大腸癌患者の相対生存率中央値は、原発腫瘍切除実施とは無関係に、8.6%(1988年)から17.8%(2009年)に上昇したことも研究者らは明らかにした。

SEERで入手可能なデータでは、バイアスのリスク無しにこの種の評価をするのが困難なため、原発腫瘍切除を受けた患者の生存率と受けなかった患者の生存率を直接比較できていないことが本研究の限界だ、とChang氏は述べる。研究者らには患者に実施された全身化学療法に関する情報もなかった。また、原発腫瘍切除 実施率の動向や相対生存率中央値を同時に調べたとはいえ、本研究は因果関係の確定を目的としていなかった。

「本研究の結果は、化学療法は腫瘍を切除していない患者に対して安全に実施できることが次第に評価されていることを私たちに教えています」とChang氏は述べる。「原発腫瘍切除を受けている患者は減少しているものの、診断時に癌の転移が見つかった患者の大多数は現在もなお原発腫瘍切除を受けている。原発腫瘍切除は直腸癌よりむしろ結腸癌の若年患者に対して実施されているという所見とともに、原発腫瘍切除の過剰実施が現在もなお存在するとみられるため、原発腫瘍切除に対する適応を注意深く考慮すべきことが示唆される」。

本研究の結果が、患者や医師が転移性大腸癌に対して原発腫瘍切除が必要かどうかを決めることを促すこと、また、症状がないときのPTRの潜在的な利益や悪影響が研究されることをChang氏は期待している。

Chang氏らは今週サンフランシスコで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器癌シンポジウム2015で、原発腫瘍切除と生存率と関連する予備比較データも発表している。この問題を調べるランダム化比較試験は現在ヨーロッパで実施されているとChang氏は述べる。

現行の一次適応の他に、原発腫瘍切除により患者は化学療法を受け続けることができるという点で、最終的には原発腫瘍切除が有益な患者群が存在する可能性があるとChang氏は述べる。しかし、PTRが実施されない転移性大腸癌患者の大多数にとっては、原発腫瘍切除は、効果が示されている全身治療を受ける際に予期せぬ遅れが生じる、または、全身治療を受けられなくなる可能性をもたらすことがある。

Chang氏以外に、本研究に携わったMDアンダーソンがんセンター所属の著者は以下のとおり。Chung-Yuan Hu, Ph.D., and Christina E Bailey, M.D., both first authors, Y Nancy You, M.D., assistant professor; John M. Skibber, M.D., professor; Miguel A Rodriguez-Bigas, M.D., professor and Barry W Feig, M.D., professor. All are with Surgical Oncology.

本研究は一部、米国国立衛生研究所/NCI助成金T32CA009599・K07-CA133187、ならびにASCO財団からのキャリア開発賞金による援助を受けた。

******
渡邊 岳 訳
畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)監修
******

原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward