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3剤併用は一部の再発多発性骨髄腫患者に有益/NCI臨床試験結果

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3剤併用は一部の再発多発性骨髄腫患者に有益/NCI臨床試験結果

2015年1月9日掲載

概要

 国際ランダム化第3相試験の中間結果において、標準的な治療法にカルフィルゾミブ(カイプロリス)として知られる薬剤を追加することで、再発多発性骨髄腫患者の転帰が改善することが示唆されています。レナリドミド(レブラミド)とデキサメタゾンの2剤にカルフィルゾミブを追加した治療を受けた試験参加者は、レナリドミドとデキサメタゾンの2剤のみで治療を受けた患者に比べて、無増悪生存期間の中央値が8.7カ月延長しました。

出典

2014年12月6日付、New England Journal of Medicine誌(同誌の抄録を参照)

背景

多発性骨髄腫患者の生存率は改善しましたが再発する場合が多く、新たな治療法が必要とされています。

2012年、米国食品医薬品局(FDA)は、ボルテゾミブ(ベルケイド)による治療中または治療終了後、ならびに免疫調節療法による治療中または治療完了後に増悪がみられた多発性骨髄腫患者の治療に対して、カルフィルゾミブを承認しました。カルフィルゾミブは、プロテアソーム阻害剤として知られる薬剤の一種で、静脈内に投与されます。

最近の早期段階の臨床試験により、多発性骨髄腫の標準的な治療法であるレナリドミドおよびデキサメタゾンの2剤併用に加えてカルフィルゾミブを追加することは、病気が再発した、または治療に対してもはや反応がみられない一部の患者にとって有益である可能性があることが示唆されました。同試験において、3剤併用した場合の副作用は、これらの薬剤について知られている毒性効果と同様でした。

試験

第3相臨床試験において、研究者らは、792人の再発性骨髄腫患者を、カルフィルゾミブとレナリドミドおよびデキサメタゾンの3剤併用療法(カルフィルゾミブ群)と、レナリドミドおよびデキサメタゾンの2剤併用療法(対照群)に無作為に割り付けました。北米、欧州および中東からの患者が参加しました。

各群の患者は、同意の撤回、病状の進行、または忍容できない毒性が出現するまで、28日間のサイクルで治療を受けました。カルフィルゾミブ群の患者は、引き続きレナリドミドとデキサメタゾンの投与を受けましたが、カルフィルゾミブについては試験開始時点での長期安全性データが得られていないことを理由に、18サイクル以降同剤の投与を中止しました。

試験の主要評価項目は、無増悪生存期間としました。副次的評価項目は、全生存、全奏効率(部分奏効以上)、奏効期間、健康関連QOL(生活の質)、および安全性としました。

メイヨークリニック(Scottsdale, AZ)のKeith Stewart医師が本試験の主席執筆者を務めました。本試験はカルフィルゾミブの製造元であるOnyx Pharmaceuticals社の助成を受けました。

結果

無増悪生存期間の中央値は対照群が17.6カ月であったのに対してカルフィルゾミブ群では26.3カ月でした。

全奏効率(骨髄腫の縮小あるいは消退に相当する)は、対照群(66.7%)に比べてカルフィルゾミブ群(87.1%)において高い結果が得られました。完全奏効率はカルフィルゾミブ群で31.8%、対照群において9.3%でした。

カルフィルゾミブ群では、対照群に比べて、下痢、咳、発熱、および高血圧を含む、いくつかの一般的な有害事象を訴える患者の割合が高く、グレード3以上の有害事象については、カルフィルゾミブ群の87.3%、対照群の80.7%の患者で報告されました。

治療期間は、カルフィルゾミブ群が対照群よりも長くなりました(中央値、88週vs 57週)。心疾患などの重篤な有害事象については、治療の後半サイクルに比べ、最初の18サイクルにおいて、より高い頻度で報告されました。

カルフィルゾミブ群の患者は、治療の最初18サイクルの間、対照群に比べてより長期の寛解期を得ました。また、カルフィルゾミブ群における生活関連QOL(QLQ-C30 Global Health StatusおよびQuality of Life尺度による)の優越性が報告されました。

制限事項

カルフィルゾミブ群において優位であることを示す統計上の傾向がみられるものの、全生存期間の中央値については、発表時点で2群いずれも到達していませんでした。全生存期間を評価するには、中間解析の時点を越えてさらに追加の結果をみていく必要があるでしょう。

本試験設計者が計画したとおり、本試験は18サイクル以降のカルフィルゾミブの安全性および有効性に関するデータを収集していません。

コメント

カルフィルゾミブ群の完全奏効率については、「これまでの試験で多発性骨髄腫患者においてより優れた奏効率と生存期間の改善との間に関連性が示されたことから特に期待の持てるものです」と本試験執筆者らは記述しています。

「全般的にみて、これは重要な試験であると思います」と、NCI癌研究センターLymphoid Malignancies BranchのMark Roschewski医師は語っています。同医師は今回の試験に参加していません。「過去10年の間に骨髄腫を対象とする数多くの新規治療法が現れましたが、こうした治療法の臨床的評価の大多数が第2相試験結果により導かれたものです。本試験の強みは、ランダム化第3相対照試験としてデザインされている点であり、これは、多発性骨髄腫患者に対する最良のアプローチ法を把握するうえで欠かせません」。

本試験では、同様の患者集団を対象に、有効性と毒性の真の比較が行われました。「毒性のレベルはそれほど上昇しないとみられ、3剤併用の場合に完全奏効率が顕著に上昇したことがわかり、私にとって嬉しい驚きでした」とRoschewski医師は言及しています。「私見ですが、ほとんどの症例において、新規薬剤による治療歴のある患者群で30%を超える完全奏効率が認められることは、非常にすばらしいことです」。

本試験結果からは、どういった患者に対して3剤併用療法が最も有益であるかについては明らかにされず、さらに、全生存期間についての優位性も示されてはいません。しかしRoschewski医師は次のように結論づけています。「2剤併用療法に比べ毒性プロファイルの観点から良好な結果が得られたことをふまえると、多くの患者に対して3剤併用治療が強く検討されるべきだと思っています」。

 

原文

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谷口淳 訳
佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)監修
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