ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法がBRAF遺伝子変異陽性、進行性メラノーマ患者の生存を改善/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法がBRAF遺伝子変異陽性、進行性メラノーマ患者の生存を改善/NCI臨床試験結果

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ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法がBRAF遺伝子変異陽性、進行性メラノーマ患者の生存を改善/NCI臨床試験結果

2015年1月6日掲載
2015年6月12日更新

2件の第3相臨床試験で、BRAF遺伝子に特異的な遺伝子変異が認められる転移性メラノーマ患者にBRAF阻害剤ダブラフェニブ(タフィンラー)とMEK 阻害剤トラメチニブ(メキニスト)を併用した場合、後述のBRAF阻害剤(ベムラフェニブまたはダブラフェニブ)を単独で投与した場合と比較して生存期間が延長しました。両試験の結果は、New England Journal of Medicine (NEJM)誌2014年11月号に掲載されました。

過去の臨床試験では、ダブラフェニブまたは他のBRAF阻害剤ベムラフェニブ(ゼルボラフ)を単独で投与した場合、BRAF遺伝子に特異的な変異が認められる進行性メラノーマ患者の無増悪生存期間が改善しました。これらの遺伝子変異は、BRAFタンパク質(V600)を構成するアミノ酸に影響を及ぼして強力な成長促進シグナルを生じるため、進行性メラノーマで多く認められます。残念ながら、メラノーマは多くの場合、6〜7カ月以内にBRAF阻害剤に対する抵抗性を生じます。薬剤抵抗性を生じる一因は、腫瘍増殖を再燃させる分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ/MEK)シグナル伝達経路が腫瘍によって活性化されるためであることが、研究によって示されています。研究者らは、ダブラフェニブとMEKタンパク質の活性を抑制するトラメチニブを併用することによって、腫瘍がこのエスケープ機構を利用することができなくなるのではないかと期待しています。

2件の試験のうち、Institut Gustave Roussy のCaroline Robert医学博士が主導した大規模試験では、BRAF V600遺伝子変異を有する転移性メラノーマ患者704人が、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群、またはベムラフェニブ単独投与群のいずれかに無作為に割り付けられました。12カ月生存率は、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群では72%であったのに対し、ベムラフェニブ単独投与群では65%でした。また、無増悪生存期間中央値もダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群の方がベムラフェニブ単独投与群よりも良好で、それぞれ11.4カ月、7.3カ月でした。

BRAF阻害剤投与を受けた患者では重篤な合併症である皮膚扁平上皮癌が多く認められますが、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群では5人(1%)が、ベムラフェニブ単独投与群では63人(18%)が皮膚扁平上皮癌を発症しました。本試験で最も発生頻度が高かった副作用は発熱、疲労、悪心、頭痛および悪寒でした。有害事象が理由で試験を中止した患者の割合は、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群とベムラフェニブ単独投与群のいずれも同様でした(13%対12%)。

豪州メラノーマ研究所のGeorgina V. Long医学博士が主導した別の試験では、治療歴のない進行性メラノーマ患者423人を、ダブラフェニブ+トラメチニブ連日投与群またはダブラフェニブ+プラセボ投与群のいずれかに無作為に割り付けました。ダブラフェニブ+トラメチニブ投与群の全奏効率は67%、6カ月生存率は93%であったのに対し、ダブラフェニブ+プラセボ投与群の奏効率は51%、6カ月生存率は85%でした。ダブラフェニブ+トラメチニブ投与群の無増悪生存期間中央値はダブラフェニブ+プラセボ投与群よりも高く、それぞれ9.3カ月および8.8カ月でした。

本試験では、皮膚扁平上皮癌の発症数はダブラフェニブ+トラメチニブ投与群では5人(2%)であったのに対し、ダブラフェニブ+プラセボ投与群では20人(9%)でした。最も発生頻度が高かった副作用は大規模試験で観察されたものと同様で、副作用が原因で試験を中止した患者の割合はダブラフェニブ+トラメチニブ投与群では9%、ダブラフェニブ+プラセボ投与群では5%でした。

両試験は、ダブラフェニブおよびトラメチニブの製造会社であるグラクソ・スミスクライン社の資金提供を受けました。米国食品医薬品局(FDA)は、2013年にBRAF変異陽性メラノーマに対する単独投与薬としてダブラフェニブとトラメチニブを承認し、2014年にダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法を承認しました。

BRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用に関する臨床試験データでは、「BRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用はいずれかの薬剤を単独投与するよりも効果が高く、皮膚扁平上皮癌を発症する危険性も低いことが明確に示されました」とNCI癌治療評価プログラムのHoward Streicher医師は述べています。

これらの試験結果は患者の転帰に重要な影響を及ぼす可能性がある、とプロビデンス癌センターのBrendan Curti医師はNEJM論説の中で述べています。

Curti医師は「現在では、従来の治療法と比較して臨床的に意義のあるメラノーマの退縮を誘発する効果がきわめて高い薬剤が存在するということは朗報です」と記しています。一方で、メラノーマは順応性が高く、きわめて短期間で薬剤抵抗性を生じるため、これまで以上に治療抵抗性に対処できる治療計画を開発するために、さらに多くの研究が必要であると注意を促しています。

 

最新情報:追跡調査報告で、Long氏らは本試験の副次的評価項目である全生存期間に関する結果を発表しました。2015年5月29日にLancet誌に掲載された研究報告によると、全生存期間の中央値はダブラフェニブ+トラメチニブ併用投与群では25.1カ月であったのに対し、ダブラフェニブ単独投与群では18.7カ月でした。解析対象としたいずれのサブグループでも、併用療法によって無増悪生存期間と全生存期間の改善が認められたという事実は、「BRAF Val600突然変異陽性の転移性メラノーマ患者に対する標的療法の標準治療として、BRAF阻害剤単独療法ではなくダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法を選択すべきであることを支持しています」と研究者らは結んでいます。

原文

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佐々木真理 訳
野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)監修
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