高齢の乳癌患者は有益性が低いにも関わらずいまだに放射線療法を受けている/デューク大学医療センター | 海外がん医療情報リファレンス

高齢の乳癌患者は有益性が低いにも関わらずいまだに放射線療法を受けている/デューク大学医療センター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

高齢の乳癌患者は有益性が低いにも関わらずいまだに放射線療法を受けている/デューク大学医療センター

デューク医療ニュース・コミュニケーションズ  
2014年12月8日

米国ノースカロライナ州ダーラム – 70歳以上の早期の乳癌女性患者は、圧倒的多数が放射線治療を受けているが、その治療の有益性は低いというエビデンスがある。と、デューク医療報告機関の研究者が報告した。

その研究では、放射線治療の利点が少ないことを示している質の高いデータがあっても、医師や患者は、これまで標準治療と考えられてきた放射線治療を見合わせることは難しいと考えていることを示唆している。 

「臨床的有益性と治療で起こる可能性のある毒性を比較して、患者での治療を推奨する方向付けとなるデータを厳密に分析する責任は医師にあります」と語るのはデューク大学医療センター放射線腫瘍科Butler Harris Assistant ProfessorのRachel Blitzblau医学博士である。Blitzblau氏は2014年12月8日にオンライン版学術誌Cancerの中で発表された研究の筆頭著者である。

Blitzblau氏らは、70歳以上の早期ホルモン受容体陽性乳癌患者を対象として、治療の選択の比較を行い2004年に初めて発表された大規模ランダム化前向き試験の結果が、臨床診療に変化をもたらしたか判断する調査を開始した。CALGB 9343試験は、高齢女性では乳腺腫瘍摘出術後に放射線治療とタモキシフェンを追加することは、有益性が少ないことを報告した。

特に、2004年の試験で得られた5年間のデータでは、癌の再発率において統計的にわずかではあるが、有意に減少を示した。そして同様の知見が、10年間のデータとともに2012年に再び報告された。しかし、手術後のタモキシフェン投与に放射線を追加することは、どちらの報告された期間中においても、試験参加者の全生存期間を改善しなかった。

「2004年の最初のCALGB報告時の議論は、これらの患者に対して放射線治療の省略を検討するべきというものでした。わずかに認められた有益性が、副作用と費用に見合わないと思われるからです」とBlitzblau氏は述べ、疲労感、不快感、放射線を受けた乳房組織の変化などの副作用があったと付け加えた。

しかし、この研究の発表後も、約3分の2の女性が今も放射線治療を受けており、ほとんど状況は変わっていない。Blitzblau氏らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) 登録簿と呼ばれる国立の健康状態データベースから癌治療のパターンを分析した。同氏らは、2004年に発表されたCALGB試験の結果発表以前では、CALGB試験に適格とされた高齢女性の68.6%が放射線治療を受けていたことを明らかにした。試験が初めに報告された後の5年間で、割合は下がったものの、61.7%とわずかであった。

「研究の発表が治療行為のパターンに与えた影響はとても小さなものでした」とBlitzblau氏は語る。「わたしたちの発見は、標準治療と考えられてきた治療を省略した臨床試験のデータを取り入れることの潜在的な難しさを示しています。」

同氏は、長期試験データが得られるまで、その臨床診療の変更を医師が見合わせていた可能性がある、と言っている。この研究チームの分析は、2012年に発表されたCALGB試験の10年間のデータ後の結果を含んでいない。それに加えて、治療を減らすことにより、全般的に健康な状態であり、その結果寿命が長くなると思われる高齢女性の転帰を悪化させる可能性があるという懸念が医師と患者双方にあるのかもしれない、と彼女は言う。 

しかし、Blitzblau氏は、現在の研究で得られた知見が医師にとって重要で更に困難な課題になることを強調する。つまり、効果的な治療を提供しながら、経済的により効率のよい医療ケアの必要性を把握していくということに適度なバランスを保つことである。

「適切な患者が、適切な治療を、適切な時期に確実に受けられるよう、患者と医師のコミュニケーションを改善する事が大切なのです。」とBlitzblau氏は語る。「わたしたちが、あらゆる医療の専門分野において、さらに効率がよくエビデンスに基づいた医療臨床を推し進めて行く上で、変化を促すためどんな過程が必要とされるのかを理解していく必要があるでしょう。」

Blitzblau氏の他の研究著者は、Manisha Palta氏, Priya Palta氏, Nrupen A Bhavsar氏さらにJanet K. Horton氏である。

******
滝川 俊和 訳
河村光栄(放射線腫瘍学・画像応用治療学/京都大学大学院医学研究科) 監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward