免疫チェックポイントPD-L1阻害剤の効果を予測するバイオマーカー候補/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

免疫チェックポイントPD-L1阻害剤の効果を予測するバイオマーカー候補/ダナファーバー癌研究所

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免疫チェックポイントPD-L1阻害剤の効果を予測するバイオマーカー候補/ダナファーバー癌研究所

2014年11月26日

ダナファーバー癌研究所とエール大学医学大学院の研究者らによる新たな臨床試験で、有望な免疫療法の治験薬が、集中的に癌を攻撃するものの免疫反応を阻害する免疫チェックポイント分子により抑制されてしまう患者で、最も有効に作用することが示された。

この抗体医薬品MPDL3280Aは免疫チェックポイント分子PD-L1を阻害して、細胞傷害性T細胞(癌細胞を標的にして死滅させる免疫細胞)による免疫反応を再活性化させる。PD-L1阻害剤は腎腫瘍、黒色腫、および肺腫瘍を著しく縮小させることが最近の臨床試験で示された。しかし、他の免疫チェックポイント阻害剤と同様、多くの患者は利益を享受しなかった。

研究者らはNature誌11月27日号で、癌患者の腫瘍周辺に存在する免疫細胞がPD-L1を発現している場合、MPDL3280A抗体が最も有効に作用することを報告した。これは既存の免疫反応がPD-L1により抑制されていたという証拠である。癌に対する免疫反応を全く示さなかった患者―癌や周辺組織にPD-L1が少量しか発現していなかった患者―では腫瘍縮小は認められなかった。

「この事実はPD-L1を効果予測バイオマーカーとして使用する基盤になると思います」とF. Stephen Hodi医師(ダナ・ファーバー癌研究所、本試験の統括著者)は述べた。Hodi氏は、ダナ・ファーバー癌研究所免疫腫瘍学センター長兼メラノーマ治療センター長である。筆頭著者はRoy Herbst医学博士(エール大学医学大学院総合がんセンター腫瘍内科長)である。

研究者らは、進行非小細胞肺癌、進行黒色腫、進行腎細胞癌、および他の進行癌に対するMPDL3280Aを使用する臨床試験に参加した患者175人から得られた腫瘍組織試料を調べた。平均して、患者の18%で腫瘍の完全縮小や部分縮小が認められた。なお、さまざまな癌種で縮小率が高いものもあれば低いものもあった。全般的にみて、MPDL3280Aは忍容性が高く、重篤な副作用はほとんど無いことがわかった。

治療に先立ち、患者から採取された腫瘍組織試料にPD-L1の有無を確認する免疫染色を実施した。免疫染色により、癌細胞内だけでなく、腫瘍浸潤免疫細胞内でもPD-L1の存在が示された。これら腫瘍浸潤免疫細胞は、腫瘍に浸潤して死滅させようとするT細胞と免疫反応に関わる他の細胞である。

腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞でPD-L1の発現量が多い患者では、MPDL3280Aに対する反応が著しいことが本試験で示された。試験参加患者が治療を受けている間に、研究者らは腫瘍組織試料のPD-L1発現についても調べた。癌細胞の死滅に伴い縮小した腫瘍で癌細胞と腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現量が増加することを研究者は見出した。

これらの結果から、MPDL3280Aが有効性を示すためには、参加患者においてPD-L1により抑制された免疫反応が再活性化していたことが前提であると研究者らは結論付けた。この結論から、PD-L1阻害剤(免疫反応を再活性化させ、免疫細胞による腫瘍に対する攻撃を促す)の標的が見出された。

研究者らは、PD-L1阻害剤に対する反応を予測するバイオマーカーを確定するための研究をさらに実施する必要があると主張した。「免疫反応を示さない患者の特徴を理解することで、さらに重要な情報がもたらされる可能性があります」と研究者らは述べた。「恐らく腫瘍免疫を制御する機序が多様に存在することが明らかになるでしょう」。

本試験は、MPDL3280Aの製造元であるジェネンテック社による資金提供を受けた。

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渡邊岳 訳
石井一夫 (ゲノム科学/東京農工大学) 監修
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原文

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