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新たな免疫治療ワクチンによりHER2陽性乳癌の再発が低下/MDアンダーソンがんセンター

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新たな免疫治療ワクチンによりHER2陽性乳癌の再発が低下/MDアンダーソンがんセンター

新たな免疫治療ワクチンによりHER2陽性乳癌の再発が低下

標準治療の一部としてトラスツズマブ(ハーセプチン)を投与した女性に大きな利益

MDアンダーソンニュースリリース 2014年9月5日

新たな乳癌ワクチン治療の候補薬であるGP2は、癌の再発抑制における免疫療法の可能性にさらなるエビデンスをもたらした。この治療は、ハイリスク患者が強力な免疫治療薬と併用する際の特別なケースである。これらの知見は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターにより、サンフランシスコで開かれた2014年米国臨床腫瘍学会(ASCO)乳癌シンポジウムで報告された。

開発中の薬剤が少ないこの種のワクチンの一つであるGP2は乳癌患者において安全かつ有効であることがすでに示されており、乳癌再発率を57%低下させた。さらに、HER2過剰発現(HER2 +3とされる)の女性がモノクローナル抗体として知られる免疫治療薬トラスツズマブ(ハーセプチン)治療完遂後にワクチンを投与された場合には癌の再発が皆無であった。HER2は、腫瘍の増殖を促進する腫瘍タンパクであり、乳癌の75~80%にある程度は発現している。

「癌治療のための免疫機構を刺激することで癌の再発を抑制する方法を研究することは、免疫治療研究の重要で、かつ今までとは異なる方向性である。最終ゴールは、すでに乳癌に罹患し標準治療に失敗した女性の再発リスクを最小限に抑える手法を開発することである」と主任研究者のElizabeth Mittendorf医学博士は述べている。

“キラー”T細胞または“細胞障害性”T細胞として知られ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の免疫刺激作用を持つCD8+細胞を刺激するようにデザインされたGP2ワクチンを併用するランダム化比較第2相臨床試験の結果を示す。試験はさまざまなHER2レベルの患者190人で行われ、89人はGP2ワクチンにGM-CSFを併用し、対照グループである91人はGM-CSFを単独投与した。8人の患者は早期に再発もしくは二次的な発癌が認めらたため、ワクチン投与の継続ができなかった。ワクチンは皮下投与し、第1期として1カ月おきに6カ月間接種した後、6カ月おきの追加免疫を4サイクル行った。患者はほぼ3年間の経過観察を行った。

投与を完遂できなかった患者を含めた190人全てについて、ワクチン接種を受けた患者の無病生存率(DFS)は88%であり、対照グループでは81%と37%の再発抑制率が得られた。ワクチン投与を完遂できなかった患者を除いた場合では結果は良くなり、ワクチン接種を受けた患者の無病生存率は94%、対照グループで85%であり、57%の再発リスク抑制率を示した。

HER2 +3の女性で、ワクチン投与を受ける前に標準療法の一つであるトラスツズマブを投与した患者では1人も再発しなかった。 Mittendorf博士によると、トラスツズマブはワクチンのプライマーの働きをしており,がん細胞を攻撃する物質の放出や抗体産生を促すCD4+T細胞を刺激している.従って,トラスツズマブはワクチンがより効果的に働くよう免疫システムを準備している可能性がある.
MDアンダーソンでは、この組み合わせの免疫治療法を別の臨床試験で実施している。

個別化免疫治療法

このGP2の試験結果は、以前MDアンダーソンで実施された、トリプルネガティブの乳癌患者に対する非常に高い免疫反応と、再発率を改善した類似の乳癌ワクチンAE37の試験を裏づけている。また、別の候補薬であるE75は、NeuVaxまたはnelipepimut-Sとして知られ、ハイリスクの患者の再発率を50%減らすことが示されている。現在、NeuVaxは国際共同第3相臨床試験が実施されている。

「より多くの患者がさまざまな免疫治療法で利益を受けることができるとわれわれは信じている。この挑戦は、個々の患者に対して,正しい免疫治療アプローチを明らにしてくれるだろう。医師がそのできた際には、癌治療,特に免疫治療は、より個々の患者へアプローチをしていくことができるだろう」とMittendorf博士は述べている。

この研究に寄与している他の研究者は以下の通りである。
Jennifer Litton, M.D.; James Murray, M.D., MPH; Guy Clifton, M.D. from MD Anderson; John Berry, M.D., Nathan Shumway, M.D., Timothy Vreeland, M.D., George Peoples, M.D., Erika Schneble, M.D., Julia Greene, M.D. and Alfred Trappey, M.D. from Brooke Army Medical Center; Sathibalan Ponniah, Ph.D. from Uniformed Services University of the Health Sciences; Alexandros Ardavanis, M.D., Michael Papamichail, M.D. and Sonia Perez, M.D. from Saint Savvas Cancer Hospital in Athens, Greece.

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滝坂美咲 訳
原 文堅(乳腺科/四国がんセンター)監修
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原文


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