銅を集積する癌細胞の性質が、前立腺癌の致命的弱点となる可能性/デューク大学医療センター | 海外がん医療情報リファレンス

銅を集積する癌細胞の性質が、前立腺癌の致命的弱点となる可能性/デューク大学医療センター

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銅を集積する癌細胞の性質が、前立腺癌の致命的弱点となる可能性/デューク大学医療センター

2014年10月15日

前立腺癌腫瘍は、生体必須元素である銅を目の利く盗人のようにあさって蓄積するが、その貪欲さは致命的な弱点となるかもしれない。

Duke Medicineの研究者らは、癌でない細胞を正常に保ちつつ、銅を豊富に含む癌細胞を選択的に破壊する薬剤と多量の銅の投与によって、前立腺癌細胞を死滅させる方法を発見した。

この併用アプローチは、すでに他の適応症で販売されている2つの薬剤を用いており、末期癌患者を対象とした臨床試験の早急な実施が可能である。

「こうした銅を摂取する癌の性質は、他の癌と同じく前立腺癌にとっても致命的弱点である可能性があるとして、われわれにとっては既知の事実でした」とDonald McDonnell博士は述べた。Duke大学の薬剤学・腫瘍生物学教室の長であり、米国癌学会(AACR)の学術誌Cancer Research誌で2014年10月15日に発表された研究の筆頭著者である。

また、「私たちの当初の取り組みは、腫瘍から銅を枯渇させることでしたが、それは成功しませんでした。有効性が得られるほど十分に銅を枯渇させることができなかったのです。そこで、癌細胞を死滅させるレベルまで銅の値を下げられないのならば、銅を増やした上で、腫瘍を攻撃するのに銅を必要とする薬剤を投与してはどうかと考えました。古くからの『長いものには巻かれろ』アプローチであす」とも語った。

McDonnellらは、作用発現を銅に依存する治療法を特定するため、何千もの承認された治療法のライブラリを検索した。発見した治療法の1つが、ジスルフィラム(disulfiram)で、アルコール依存症の治療を目的としてFDAに承認された薬剤である。ジスルフィラムは、前立腺癌腫瘍における過剰な銅を標的としており、かつては前立腺癌治療の候補薬だったが、進行癌患者を対象とした臨床試験は不本意な結果であった。

Dukeチームは、癌細胞が自然に蓄積させる銅の量ではジスルフィラムに感受性をもつには不十分であることを発見した。Duke研究者らが、ジスルフィラムに銅サプリメントを追加して投与したところ、進行癌の動物モデルにおいて、前立腺癌細胞の増殖が劇的に抑制された。

さらなる驚きもあった。前立腺癌を刺激する男性ホルモンであるアンドロゲンが、癌細胞内の銅の蓄積を増加させるのだ。この知見により、ジスルフィラムや類似化合物と銅の併用療法は、ホルモン療法で腫瘍増殖を抑制できなくなった患者にとって特に有益となりうる、とMcdonnelは述べた。

「残念ながら、ホルモン療法で前立腺癌は治癒しません。多くの患者は癌が再発し、ホルモン不応性あるいは去勢抵抗性の状態になります。前立腺癌治療は目覚ましい進化を遂げていますが、異なるアプローチの必要性は明白で、私たちの知見によって心躍る新しい探究の道筋が得られました」とMcdonellは述べる。

Mcdonellはまた、この併用療法の臨床試験が数カ月以内に予定されていると述べた。

内科准教授のAndrew Armstrong医師は、最近Dukeで実施された末期前立腺癌患者におけるジスルフィラムの試験に参加していた。

Armstrongは「私たちが行った最近の臨床試験では、再発性前立腺癌患者においてジスルフィラムの有意な臨床効果は観察されませんでした。しかし、今回の新しいデータによって、今後の展望が示され、この試験でさほど肯定的な結果が得られなかった理由が示唆されました。進行性前立腺癌患者の中でも特にアンドロゲン受容体が機能している状況で、銅とジスルフィラムまたは類似化合物の併用の最適な設定を理解するために今後の臨床試験が必要になります」と語った。

McDonnell以外の著者は以下のとおりである。Rachid Safi、Erik R. Nelson、Satish K. Chitneni、Katharine J. Franz、Daniel J. GeorgeおよびMichael R. Zalutsky。

本研究はNational Institutes of Healthから助成を受けた(CA139818, CA42324, RO1GM084176)。

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前田愛美 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院) 監修
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原文

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