免疫チェックポイント阻害薬に免疫賦活剤を併用することで転移性メラノーマの全生存期間が改善/ダナ・ファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

免疫チェックポイント阻害薬に免疫賦活剤を併用することで転移性メラノーマの全生存期間が改善/ダナ・ファーバー癌研究所

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免疫チェックポイント阻害薬に免疫賦活剤を併用することで転移性メラノーマの全生存期間が改善/ダナ・ファーバー癌研究所

2014年11月4日

Tags:メラノーマ、免疫療法

ダナ・ファーバー癌研究所による最新の試験結果によると、免疫チェックポイント阻害薬Ipilimumab(イピリムマブ)で治療が行われた転移性メラノーマ患者に、免疫賦活剤を同時に投与した場合、全生存期間の中央値が併用療法17.5カ月で、単剤療法12.7カ月と比較して50%長く生存した。

イピリムマブ+免疫賦活剤併用療法群の患者はイピリムマブ単剤療法群と比べて重篤な有害事象が少なかったとthe Journal of the American Medical Association誌に報告された。

イピリムマブとサルグラモスチム(sargramostim)と呼ばれる免疫賦活剤の併用療法群における1年生存率は68.9%、イピリムマブ単剤療法群では52.9%であった。しかしながら、無増悪生存期間(癌が増殖し始めるまでの期間)の中央値は3.1カ月と両群とも同じであった。

本臨床試験に関する報告書の筆頭著者F. Stephen Hodi医師によると、この2剤併用が「免疫応答に関係する分子と免疫系のブレーキを解除する物質との併用についての可能性を開く」という。Hodi医師はダナ・ファーバー癌研究所のthe Melanoma Treatment Centerとthe Center for Immuno-Oncologyのセンター長を務めている。

イピリムマブ(米国での販売名Yervoy)はタンパク質受容体CTLA-4を標的とするモノクロナール抗体で構成される免疫 療法剤である。CTLA-4は免疫系においてブレーキのような役割を果たすため、生体防御機構(免疫系)が癌細胞を攻撃できなくしてしまう。イピリムマブはCTLA-4を阻害することでそのブレーキを解除し、細胞傷害性T細胞に癌細胞を攻撃させる。また、イピリムマブはメラノーマ治療を目的として販売されているが、現在肺癌やそのほかの癌に対する効果を調べる臨床試験が行われている。

サルグラモスチムは免疫系において白血球の成熟を促すタンパク質であるGM-CSF (顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)製剤であり、なかでも幹細胞移植後の白血球数の回復に使用されている。

免疫系のブレーキを解除しつつ免疫応答を促進するというような、サルグラモスチムとイピリムマブを併用投与することで、メラノーマに対する相乗効果があるかどうかを調べるためにHodi医師は医師主導による臨床試験を計画した。Hodi医師がそのように考えるには理由があり、イピリムマブとGM-CSFを放出する癌ワクチンを併用投与した患者で臨床的有用性が確認されていたからである。

Eastern Cooperative Oncology Groupによる第2相ランダム化試験が行われ、他剤で化学療法を受けたことのあるステージ3または4の転移性メラノーマ患者245人が登録され、追跡調査期間の中央値は13.3カ月であった。

サルグラモスチム投与群で約5カ月全生存期間が有意に延長し、毒性の発現も低かった。本併用療法で全生存期間が延長したために無増悪生存期間の延長も予想されていたが、なぜ病勢進行までの期間が延長されないのかは明らかではないと医師は語る。またHodi医師は次のように話した。「治療によって、初期の病勢進行のように見える炎症が引き起こされたためという可能性もありますが、研究が進まないことにはわかりません。より規模の大きい試験や長期にわたる追跡調査が今回の試験結果を確認するために必要になるでしょう。しかし今回の試験結果は、進行性メラノーマ患者をイピリムマブで治療するにあたり、臨床成績の改善や、重篤な有害事象の減少の可能性が開かれました」。

統括著者はthe University of Pittsburgh Cancer InstituteのJohn M. Kirkwood医師、共同著者はダナ・ファーバー癌研究所、Beth Israel Deaconess Medical Center、the University of Pittsburgh、the Christ Hospital、 Cincinnati、Vanderbilt University所属である。

またPublic Health Service Grants CA23318、CA66636、CA21115、CA80775、CA39229、CA49957、CA32291と米国国立癌研究所、米国国立衛生研究所、米国保健福祉庁により援助を受けた。

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鶴田京子 訳
大野 智(腫瘍免疫/早稲田大学・東京女子医科大学)監修
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原文

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