コビメチニブ+ベムラフェニブ併用療法により、切除不能局所進行性または転移性のBRAF変異陽性メラノーマ患者の無増悪生存期間が改善 | 海外がん医療情報リファレンス

コビメチニブ+ベムラフェニブ併用療法により、切除不能局所進行性または転移性のBRAF変異陽性メラノーマ患者の無増悪生存期間が改善

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コビメチニブ+ベムラフェニブ併用療法により、切除不能局所進行性または転移性のBRAF変異陽性メラノーマ患者の無増悪生存期間が改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

治療歴のないBRAFV600変異陽性メラノーマ患者を対象とした第3相試験の結果

 

Vemurafenib[ベムラフェニブ]単剤投与とベムラフェニブ+cobimetinib[コビメチニブ]併用投与を比較した第3相二重盲検プラセボ対照試験(coBRIM試験)で、切除不能な局所進行性または転移性のBRAFV600変異陽性メラノーマがある未治療の患者を対象として実施し、その結果、試験の主要エンドポイントを達成した。すなわち、BRAFV600変異陽性メラノーマ患者の無増悪生存(PFS)期間が、ベムラフェニブにコビメチニブを併用投与によって有意に改善したのである。この結果は、ESMO2014年度年次総会(スペイン、マドリード)の主催者シンポジウム2でPeter MacCallmがんセンター(オーストラリア、メルボルン)がん治療部門のGrant McArthur教授によって報告された。

 

BRAFとMEKを共に阻害すれば、BRAF阻害剤単独投与で観察される耐性発生を予防または遅延することにより臨床転帰が改善するとの仮説がある。ベムラフェニブに対する獲得耐性で最も多い機序はMEK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ2)を介したMAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)の再活性化である。そして前臨床モデルでは、MEK+BRAFの阻害によって獲得耐性の発生が妨げられている。ダブラフェニブ+トラメチニブの第3相試験およびベムラフェニブ+コビメチニブの第1/2相試験ではBRAF阻害剤による治療を受けたことがないメラノーマ患者で奏効率およびPFSが改善した。

 

RAF(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ3)の阻害によりMAPK経路の逆説的な活性化を阻止することで過剰増殖病変の発現頻度の減少が観察されている。

 

今回のランダム化第3相試験では、BRAF阻害剤ベムラフェニブとMEK阻害剤コビメチニブの併用療法について検討した。コビメチニブは、小分子で選択性の高いアロステリックなMEK経口阻害剤である。(アロステリック阻害:酵素の活性部位とは異なる特定の部位に結合して構想変化を引き起こし酵素の活性を阻害する。

 

2013年1月から2014年1月までの間に495人の患者がベムラフェニブ+コビメチニブ投与群またはベムラフェニブ+プラセボ投与群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。28日間の治療サイクルにおいて、1日目から28日目までベムラフェニブを960mgの用量で1日2回投与し、1日目から21日目までコビメチニブまたはプラセボを60mgの用量で1日1回投与した。

 

試験の適格基準は、未治療のBRAFV600変異陽性(cobas4800[遺伝子検査システム製品名]で検出)切除不能局所進行性または転移性メラノーマを有し、全身状態(PS)および臓器機能が充分で進行性疾患の治療歴のない患者とした。病勢の進行または許容できない毒性の発現あるいは同意の撤回までを治療予定とした。患者は地域および疾患の程度(M1c 対 他の病期分類項目)によって層別化された。

 

BRAF阻害剤ベムラフェニブと併用したMEK阻害剤コビメチニブ投与によって、BRAFV600変異メラノーマ患者の無増悪生存期間がベムラフェニブ単独投与した場合より改善する。(著作Grant M cArthur)

 

主要エンドポイントは試験担当医師の評価による無増悪生存期間(PFS)とし、副次的エンドポイントを全生存(OS)率、奏効率、奏効期間、独立した放射線医学の委員会(IRC)評価によるPFS、安全性、薬物動態、QLQ-C30およびEQ-5質問票で評価した生活の質とした。

 

6~11カ月目のPFSの中央値における改善を検出する統計学的検出力は95%(ハザード比[HR]=0.55)、15~20カ月目のOSの中央値における改善を検出する統計学的検出力は80%(HR=0.75)と推定された。

 

ベムラフェニブ+プラセボ群でPS1の患者がわずかに多かったが、その他の患者特性は各群ともバランスよく分布していた。

 

McArthur教授の報告によれば、試験担当医師が評価したPFSの中央値は、併用投与群の9.9カ月に対して対照群では6.2カ月であった(HR 0.51;p<0.0001)。重要な患者背景および腫瘍特性に基づいた試験担当研究者のPFS評価結果は 治療意図による患者[ITT]集団(全患者集団)のPFS評価結果と一致した。独立審査委員会評価によるPFSも試験責任研究者が評価したPFSと類似していた(11.3カ月対6.0カ月、HR 0.60、p=0.0003)。

 

完全・部分奏効率は併用群が68%、ベムラフェニブ群が45% (p<0.0001)で、そのうち併用投与を受けた患者の10%とベムラフェニブ群で投与を受けた患者の4%に完全奏効がみられた。

 

9カ月OS率は併用群で81.1%、ベムラフェニブ群で72.5%であった(HR 0.65、p=0.046)。

 

ベムラフェニブ+コビメチニブ併用投与群はベムラフェニブ単独投与群と比較してグレード3以上の有害事象の発現率が高かった(65%対59%)が、試験薬投与中止の原因となる有害事象の発現率に群間差は認められなかった。

 

試験担当医師らは、併用投与群では、二次性の皮膚腫瘍発生率が低下していることを明らかにした。

 

グレード1または2の漿液性網膜症(特異的用語としての網脈絡膜症、網膜剥離を含む)の発現率がコビメチニブ+ベムラフェニブ群で高かったが網膜静脈閉塞症例は報告されなかった。またグレード2の駆出率低下の発現率も併用群のほうで高かった。

 

結論

BRAFおよびMEKを共に阻害すれば、臨床転帰が改善するという明確で確定的なエビデンスがcoBRIM試験で得られているとMcArthur教授は結論づけた。ベムラフェニブとコビメチニブの併用群ではベムラフェニブ単独群より病勢進行リスクが49%低下し、死亡リスクが中間のOS率解析で35%低下した。さらに適切なOSを評価するため本試験は継続されている。

 

McArthur教授によれば、本試験の結果は2014ESMO年次総会でのプレゼンテーションと同時にNew England Journal Medicine誌で発表される。

 

本試験結果を考察したDr. Christian Blank氏は著者らに謝辞を述べ次のように語った。今回のcoBRIM試験で確認された客観的奏効率68%、完全奏効率10%、部分奏効率58%および患者の20%でみられた病勢不変といった所見は、二元的にMAPKを標的とした他の試験結果と同等である。coBRIM試験の群間の類似点として、ベムラフェニブ+コビメチニブを投与された群でECOG PS(全身状態ECOG分類) が0となる患者の割合が高かったことを指摘できる。無増悪生存期間および全生存期間はベムラフェニブ+コビメチニブ群のほうでより優れていた。しかし、プレゼンテーション時点での全生存期間データは十分なものではなかった。

 

coBRIM試験によって、BRAFV600変異メラノーマにおけるBRAFとMEKの共阻害は、BRAFを単独阻害した場合と比較してより効果的であることが確認された。この併用療法によって、BRAFが野生型の細胞におけるMAPK経路の逆説的な活性化から発生する毒性を低減できる。ベムラフェニブとコビメチニブの併用から発生する毒性は単独療法で観察される毒性と類似していた。十分なデータが揃い今回の所見が確定できれば、BRAFとMEKの共阻害はBRAFV600変異メラノーマの新たな標準的分子標的療法となるだろう。

 

参考文献

Abstract LBA5_PR – Phase 3, Double-blind, Placebo-controlled Study of Vemurafenib Versus Vemurafenib + Cobimetinib in Previously Untreated BRAFV600 Mutation-Positive Patients With Unresectable Locally Advanced or Metastatic Melanoma (NCT01689519)

James Larkin, Paolo A. Ascierto, Brigitte Dréno, et al. Combined Vemurafenib and Cobimetinib in BRAF-Mutated Melanoma. NEJM 2014; published online September 29. DOI: 10.1056/NEJMoa1408868

 

coBRIM試験はF. Hoffmann-La Roche社が依頼支援を行った。Cobimetinib(コビメチニブ)はRoche社傘下のGenentech社がExelixisとの提携契約のもと開発した。

 

http://www.esmo.org/Conferences/ESMO-2014-Congress/News-Articles/Cobimetinib-in-Combination-with-Vemurafenib-Improves-PFS-in-BRAF-Mutant-Unresectable-Locally-Advanced-or-Metastatic-Melanoma

 

原文掲載日

翻訳緒方登志文

監修廣田裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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