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アナモレリンが食欲不振・悪液質を伴う進行性肺癌患者に対して食欲増進および体重増加に有効

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アナモレリンが食欲不振・悪液質を伴う進行性肺癌患者に対して食欲増進および体重増加に有効

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

第3相試験により、進行性非小細胞肺癌におけるアナモレリン[anamorelin]の安全性と忍容性が示された

 

議題 :緩和医療、支持療法、肺腫瘍、胸部腫瘍全般

ルガーノ/マドリード:9月27日
スペインのマドリードで開催された2014年欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2014)で発表された第3相試験によると、新たな薬剤アナモレリンは、食欲不振や悪液質に悩む進行性肺癌患者の食欲および体重を改善する。

 

「食欲不振および悪液質は、進行癌の患者とその家族を悩ませる最も厄介な症状の一つです」と語るのは、本研究の臨床試験責任医師を務めた米国ボストンのマサチューセッツ総合病院内科に勤務するJennifer Temel医師である。

 

消耗性症候群の症状には、倦怠感や脱力感ならびに食欲減退を伴う体重や筋肉量の減少があげられる。進行した肺癌患者に非常によくみられる状態である。アナモレリンは、胃で産生されるいわゆる「空腹ホルモン」のグレリンに類似した作用により、これらの症状の改善を狙っている。

 

大規模ランダム化比較試験ROMANA1およびROMANA2は、進行性肺癌患者の食欲不振・悪液質に対するアナモレリンの効果を検討した初の第3相試験である。

 

ROMANA試験では、悪液質を有するステージ3および4の切除不能非小細胞肺癌患者を、プラセボもしくはアナモレリン100mg/日を12週にわたり経口投与するいずれかの群に無作為に割り付けた。

 

ROMANA1では、登録患者484人のうち、アナモレリン投与群で12週後の除脂肪体重が中央値で1.1kg増加した。一方、プラセボ投与群では0.44kgの減少であった。体重の平均増加量は、アナモレリン群で2.2kg、プラセボ群で0.14kgであった。アナモレリン群では、12週間にわたり、食欲不振・悪液質による食欲などの症状あるいは患者の不安にも有意な改善が認められた。アナモレリンに関連する副作用で最も多かったものは、高血糖および悪心であった。

 

ROMANA2では、進行性非小細胞肺癌患者495人に同様の効果が認められた。体重は、プラセボ群で平均0.57kg減少したのに対し、アナモレリン群では0.95kg増加し、患者の食欲不振・悪液質の症状および不安も12週間にわたり有意に改善した。

 

Temel氏は、この患者集団に対する特定の検査を実施することは難しい可能性があると指摘するが、アナモレリン投与を受けた患者は、握力測定により判定した筋力に改善は認められなかった。

 

総括すると、「非常に厄介な症状を呈する食欲不振や悪液質の改善するため、安全で忍容性の高い治療薬を選択肢の一つに揃えておくことは、患者とその家族の大きな助けになります」とTemel氏は語る。

 

スイスのサンクト・ガレン州にあるCantonal Hospitalの准教授で、ESMO緩和医療作業部会長を務めるFlorian Strasser氏は、ROMANA臨床試験の結果について、前途有望であるとし、「これらの研究は、癌性食欲不振・悪液質症候群に悩む患者に対し、複数の要素やモードを組み合わせた治療への道を開いたと言えます」と、コメントしている。

 

Strasser氏の説明によれば、癌性食欲不振・悪液質症候群は、相互に影響し合う4つの要素、すなわち、筋肉量の減少、栄養摂取の減少、活動性の癌により惹起される代謝の変化と炎症性変化、ならびに身体的・心理社会的機能の低下を特徴とする。
患者とその家族は、脱力感や食欲減退、早期満腹感、味覚異常、倦怠感、あるいは摂食障害など各領域に関連する症状と不安を経験する。

 

「最近では、栄養指導、筋力トレーニングや身体活動量の引き上げ、心理社会的サポート、多様な 症状コントロールといった管理をおこなっています。しかし、こうした介入は効果が限られ、また関連症状に用いる薬物治療もありません。悪液質は、患者とその家族のQOLばかりでなく、抗癌治療の効き目や毒性、生存にまで影響を及ぼします」。

 

Strasser氏は、「管理可能な最小限の副作用は認められたものの、ROMANA1試験およびRONAMA2試験では、筋肉量の増加および患者の症状と不安の改善が報告されました」と語った。

 

「アナモレリンは、2件のプラセボ対照第3相二重盲検比較試験の結果が癌性食欲不振・悪液質症候群のさまざまな要素に対して一貫した効果を示した初の悪液質治療薬です」とStrasser氏は述べた。「筋肉量の増加と脂肪量の増加が同時に起こるのかを示すにはさらにデータが必要ですが、それによって、食欲を増進させつつ患者の生体予備能を高めることができると裏づけることになるでしょう。食欲増進作用が結果的に筋肉量の増加や予備能の増強をもたらす薬物は、新たな発見です」。

 

臨床試験で報告されたように、アナモレリンが握力(HGS)回復に効果を示さなかった点についてはさらに説明が必要であると、Strasser氏は指摘する。「HGSは下肢の筋力ではなく上肢の筋力のみを計測するので、身体的機能と日常生活の観点から十分な情報を伝えてはいません。加えて、試験の対象となった集団は比較的若く、全身状態も良好で、症状を改善させるような二次的な栄養素のような多様な治療情報もありませんでした。ですから、症状の改善や不安の解消が経口グレリン作動薬の既知のメカニズムによるものなのか示すには、さらにデータが必要です」。

 

効果的な抗癌治療と多様な介入を組み合わせた最新の早期統合緩和医療は、癌性食欲不振・悪液質症候群の改善と悪液質治療薬の作用改変につながるため、こうした情報は研究結果をより深く理解するために必要であると、Strasser氏は述べた。

 

「これらの臨床試験は、本当に実際の患者集団における臨床的有益性もしくは臨床効果を示しているでしょうか。おそらく時期尚早です。しかし、複数のCACS(食欲不振・悪液質症候群)関連項目に及んで効果が報告されており、その効果は相互に関連しているため、データは有望であることを示しています。アナモレリンは、ごくわずかなリスクで、患者とその腫瘍管理の経過に影響を与える臨床上のよくあるアンメットニーズに応えています」。

 

原文掲載日

翻訳菊池明美

監修勝俣範之(腫瘍内科、乳癌・婦人科癌/日本医大武蔵小杉病院)

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