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アファチニブによる二次治療で再発・転移性頭頚部癌患者の無増悪生存期間(PFS)が有意に改善

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アファチニブによる二次治療で再発・転移性頭頚部癌患者の無増悪生存期間(PFS)が有意に改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

チロシンキナーゼ阻害剤アファチニブ[afatinib]によって、再発性または転移性の頭頚部扁平上皮癌患者の無増悪生存期間(PFS)がメトトレキサートと比較して有意に改善した。

 

Ÿテーマ:頭頚部癌/抗癌剤および生物製剤

プラチナ製剤ベースの化学療法に不応であった再発性または転移性の頭頚部扁平上皮癌患者を、チロシンキナーゼ阻害剤アファニチブ[afatinib]で治療した場合、メトトレキサートで治療した場合より無増悪生存期間が有意に延長したことが第3相臨床試験の結果で明らかになった。

 

2014年ESMO(欧州臨床腫瘍学会)年次総会(マドリードで開催)で発表された臨床試験Lux-Head & Neck 1の結果によると、アファチニブを40mg/day(1日あたり40mg)の用量で経口投与された頭頚部癌患者は、メトトレキサートを投与された患者と比較して増悪または死亡のリスクが20%低下し、無増悪生存期間の中央値は2.6カ月であった。

 

「無増悪生存期間の延長に伴い、症状(疼痛、嚥下障害、全般的な健康状態など)の悪化がメトトレキサート投与群より有意に遅延しました。経時的な疼痛緩和もメトトレキサート投与群よりアファチニブ投与群で優れていました」。「このような結果は再発性または転移性の頭頚部扁平上皮癌患者にとって重要です」と本試験の著者でありベルギー・ブリュッセルのCliniques Universitaires St, LucにあるInstitut Roi Albert IIの腫瘍内科医Jean-Pascal Machiels博士は指摘した。

 

再発性または転移性の頭頚部扁平上皮癌の転帰は不良であることが多いとMachiels博士は説明する。「こうした患者群ではしばしば重度の併存症が認められたり、アルコール依存症や喫煙といった社会的問題を抱えていたりするため、予後不良の患者集団であったり、研究者たちの十分な注目を集めにくい疾患となったりするのです」。

 

「このような患者の間では頭頚部での再発が頻繁にみられます。この部位での癌の存在は、緩和することが難しい疼痛、呼吸障害、嚥下困難など多くの症状の原因となります」。

 

アファチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、HER3およびHER4といったErbBファミリーに属する細胞表面受容体を不可逆的に阻害する化合物である。頭頚部扁平上皮癌の約90%でEGFRが過剰発現している。

 

今回の臨床試験の目的は、複数のErbBファミリー受容体を同時に阻害することにより、EGFR標的療法の臨床効果を改善できるかどうかについて検討することであった。試験ではプラチナ製剤ベースの治療を受けたにも関わらず増悪した再発性または転移性の頭頚部扁平上皮癌患者483人を対象とした。483中322人が用量40mg/dayのアファチニブを経口投与する群に、161人が用量40mg/m2/week(1週間につき体表面積1m2あたり40mg)のメトトレキサートを静脈内投与する群に割り付けられた。

 

試験結果は主要エンドポイントの基準を満たし、メトトレキサートと比較してアファチニブによる無増悪生存期間の有意な改善が認められたとMachiels博士は述べて、「アファチニブを用いた治療で無増悪生存期間は延長し、症状の悪化も遅延しました。アファチニブはこの病気に有意な利益をもたらすことが証明された最初のチロシンキナーゼ阻害剤です」と付け加えた。

 

アファチニブの毒性プロファイルは容認できる程度のもので管理が可能であった。最も高頻度にみられたグレード3/4の薬剤関連有害事象は皮疹/座瘡(9.7%)、下痢(9.4%)であった。治療に関連する用量制限、投与中止および致死的事象の発生率はアファチニブ群の方が少なかった。

 

「今回は非常に優れたデザインの比較試験において、中程度のものでしたが利益をもたらす結果が示されましたので満足しています。今回の試験と同様の設定で実施された他の試験との違いは対象集団の均質性が優れていたということです。これは今後の試験デザインでも採用することが可能な基本的なデザインと言えるものです」とMachiels博士は語った。

 

今回の試験ではアファチニブによる生存率の改善を明らかにすることはできなかった。Machiels博士は「生存率への利益を明らかにできなかった理由はいろいろ考えられますが」と述べ、「端的に言えば、アファチニブでは生存率の改善を得られないということかもしれません。しかし、両群の患者の50%が継続的な治療を受けたことが生存率に影響を与えた可能性はあります。たとえば、メトトレキサート投与群の患者においてかなりの患者がその後抗EGFR療法を受けました」と結んだ。

 

研究者らは、これからの試験ではアファチニブがどんな患者群で有意に有効性を示すかに焦点を当てるべきだと述べた。彼らは、利益が得られる患者を特定するための分子レベルの知見や仮説をもっと提供していきたいと考えている。

 

「現在入手可能になっている新たな分子レベルのデータに基づき、本疾患の分子生物学的理解の進歩を通して,近い将来、いくつかの新たな治療法の研究が行われることを期待できるはずです」。

 

免責事項
このプレスリリースに含まれる情報は抄録著者によって提供され、当該の試験内容を反映しており、必ずしもESMOの見解を示すものではない。

 

原文掲載日

翻訳緒方登志文

監修廣田裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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