オラパリブ+セジラニブ併用療法が再発卵巣癌患者の病勢進行を抑制/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

オラパリブ+セジラニブ併用療法が再発卵巣癌患者の病勢進行を抑制/ダナファーバー癌研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

オラパリブ+セジラニブ併用療法が再発卵巣癌患者の病勢進行を抑制/ダナファーバー癌研究所

2014年9月10日

初期治療後に再発した多くの卵巣癌患者にとって、2剤併用療法により病状の進行が抑制される期間が有意に延びることが、ダナファーバー癌研究所の研究員が主導し、米国立がん研究所が資金提供を行った第2相臨床試験により示された。

Lancet Oncology誌の電子版に掲載された試験の報告の中で、研究者らはプラチナ製剤を用いた化学療法薬剤に反応するタイプの(プラチナ感受性)再発卵巣癌患者の進行を抑制する能力に関して、セジラニブとオラパリブ併用療法と、オラパリブ単独の治療の比較を行った。研究には、プラチナ感受性の再発卵巣癌である90人の患者が登録された。そのうち半数はランダムにセジラニブとオラパリブ併用療法に割り付けられ(ともに錠剤)、半数はオラパリブ単独に割り付けられた。研究者らは、病状が悪化し始める前の期間(無増悪生存期間・PFS)の中央値は併用療法を受けた患者では約18カ月であったのに対し、オラパリブ単独の患者は9カ月であったことを発見した。

研究者らが、参加者を2つの群で比較したところ、結果はいっそう顕著だった。BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有さない卵巣癌患者において、併用療法を受けた患者の無増悪生存の中央値は16.5カ月であったのに対し、オラパリブ単独の治療を受けた患者では5.7カ月であった。腫瘍がBRCA変異を有している患者では、併用療法の群のPFS中央値は19.4カ月で、オラパリブ単独群は16.5カ月であった。

比較的稀ではあるが、治療における重大な副作用はセジラニブとオラパリブ併用群で多くみられ、最も多く報告されたのは疲労、下痢、高血圧であった。

「卵巣癌は米国における婦人科悪性腫瘍の死亡の主要原因です」と、ダナファーバー婦人科がん研究所のSusan F. Smith Centerで婦人科腫瘍学のディレクターを務める研究の統括著者であるUrsula Matulonis医師は話した。「多くの患者は初期治療で奏効を示しますが、ほとんどの場合、最終的には再発します。そのことが初期治療への耐性がついた後も効果的な治療法を開発することに拍車をかけているのです」。

「この研究において、セジラニブとオラパリブ併用療法で、無増悪生存の著しい改善が観察されました」と彼女は続けた。「この治療法は、この疾患に対する従来の化学療法への代替としてさらなる研究をするに値することを示しています」。

この併用療法と他の治療法とを比較する2つの大規模第3相臨床試験が来年早々に患者の登録を開始すること予定である。また、その両方とも米国立癌研究所に資金提供を受けており、NRG 腫瘍共同研究グループで行われる。Matulonis氏とダナファーバー癌研究所の研究員であり、公衆衛生学修士を持ち、今回紹介している研究の筆頭著者であるJoyce Liu医師によって行われる研究である。プラチナ感受性の卵巣癌患者に対する化学療法と、セジラニブとオラパリブを比較するもので、もう一方は、プラチナ耐性の卵巣癌患者にオラパリブ単独の投与と、オラパリブとセジラニブと、化学療法の比較をするものだ。

セジラニブとオラパリブは、癌細胞の全く異なる2つの弱点を攻撃する。セジラニブは、腫瘍が、成長し広がることを促進する新たな血管の形成を妨げる血管新生阻害薬である。オラパリブは、損傷されたDNAを修復する癌細胞の能力を阻害し、がん細胞を死に追いやっていく可能性をもつポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。単独で使われたとき、両薬剤とも再発卵巣癌の患者に奏効してはいたが、併用しても奏効し副作用も許容内であることが第1相臨床試験の患者からわかっていた。

この研究の著者は、腫瘍にBRCA変異を有する患者よりも、有さない患者において併用療法がより奏効していることは全く驚くべきことではないと話した。BRCA遺伝子は、DNAの損傷を修復することに関わっている。BRCAが変異により機能を失うと、癌細胞は特に脆くなる。オラパリブが第2の修復経路を絶つと、この脆弱さはがん細胞にとって致命的となる。このことが、なぜオラパリブがBRCA変異を有する腫瘍を持つ患者に劇的な成果を示してきたか、また、なぜセジラニブとの併用療法がこの研究においてさらなる有効性を示さなかったかの理由といえる。

対照的に、BRCA変異のない卵巣癌では、それぞれの効果が作用しているとみられる。セジラニブのような血管新生阻害薬により腫瘍の血流を阻害することでがん細胞に供給する酸素の量を減らし、低酸素症とされる状況をつくり出す。「酸素が少なくなると、細胞はDNA修復遮断薬オラパリブに対する感受性をさらに高めるようだ。それゆえ、両薬剤の併用がオラパリブ単独よりもよりよい成績を示す」と著者は記している。

******
池上紀子 訳
喜多川亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward