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HER2標的2剤併用療法が転移性乳癌の生存率を改善/NCI臨床試験結果

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HER2標的2剤併用療法が転移性乳癌の生存率を改善/NCI臨床試験結果

2014年10月1日更新

 HER2タンパクを標的とするトラスツズマブ(ハーセプチン)とペルツズマブ(パージェタ)の2剤と化学療法の併用が、HER2陽性の転移性乳癌患者の新たな治療選択肢となることが、2014年9月28日に発表された第3相大規模臨床試験の最終結果として示されました。

CLEOPATRAと呼ばれる本臨床試験の最初の結果は、2011年12月7日にサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表され、New England Journal of Medicineにも同日発表されました。これらの結果は、最初の治療としてHER2を標的とする2剤を組み合わせて化学療法薬剤のドセタキセルと併用することで、トラスツマブとドセタキセルのみによる治療と比べ、無増悪生存期間(PFS)が6カ月改善したことを示すものでした。

トラスツマブとペルツズマブは両方とも癌細胞の表面にあるHER2タンパクを標的としますが、異なる機序で阻害します。基礎研究では、この2剤がHER2陽性腫瘍に対して相乗効果がある可能性が示されています。それは、HER2陽性腫瘍がHER2シグナルに「依存している」ためだと、試験研究者は説明しています。

このランダム化試験には、800人以上の女性を登録し、半数がトラスツマブとペルツズマブ、ドセタキセルの3剤の投与を受け、半数がHER2陽性転移性乳癌の標準的初回治療であるトラスツマブとドセタキセルの2剤に、プラセボを加えた投与を受けました。無増悪生存率の中央値は3剤投与群で18.5カ月だったのに対し、2剤とプラセボ群では12.4カ月でした。標準治療を受けた患者と比べ、3剤併用治療を受けた患者群で腫瘍が大幅に縮小する例がより多くみられました。

トラスツズマブは、一部の女性において重篤な心臓の副作用に関連していますが、本臨床試験では、両方のHER2標的薬を投与された女性にそうした副作用の増加はみられませんでした。

初回解析では、トラスツズマブとドセタキセル群より、ペルツズマブ、トラスツズマブとドセタキセルで治療を受けた患者群により良好な全生存の傾向が示されました。しかし本研究は、決定的な生存データが得られるほど、長期間実施されていませんでした。

研究者らは、マドリッドで行われた2014年欧州癌治療学会議(ESMO)で本研究の最終結果を発表しました。追跡期間中央値50カ月の時点で、3剤併用治療の女性群は、トラスツマブとドセタキセルのみの治療を受けた女性群より15.7カ月長く生存したことが示されました。全生存期間の中央値は、3剤併用群が56.5カ月だったのに対し、2剤併用群は40.8カ月でした。

「16カ月近い生存期間の改善というのは、転移性乳癌の研究では前例が無い」と、本研究の主著者で、ワシントンDCのMedstar Washington Hospital CenterのSandra Swain医師は述べています。トラスツマブとドセタキセルのみの治療群で、病気が進行した患者は、ペルツズマブ、トラスツズマブとドセタキセルの投与群へのクロスオーバー(乗り換え)が認められました。ただし全生存の解析では、このクロスオーバーの調整はしておらず、「このため、生存に関する最終分析としては、非常に控えめなものになっています」とSwain医師は説明しています。

米食品医薬品局(FDA)は2012年6月8日、HER2陽性の転移性乳癌の治療適用で、トラスツズマブとドセタキセルと併用して使用する目的で、ぺルツズマブを承認しています。この承認は、先の無増悪生存期間の結果にもとづいています。

原文

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片瀬ケイ 訳
原文堅(乳癌/四国がんセンター)監修
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