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化学療法に対する忍容性と抗脳腫瘍薬(テモゾロミド)の有効性が遺伝子治療により向上/フレッドハッチンソンがん研究センター

  • 2014年9月1日

    幹細胞に対するプロトコルが他の悪性固形腫瘍にも利用できる可能性
    2014年8月8日

    フレッドハッチンソンがん研究センターの研究者らは、遺伝子治療といくつかの強力な化学療法剤を併用することによって、破壊的な副作用から正常細胞を保護しつつ、忍容性および抗脳腫瘍薬の有効性を向上させることを可能にした。

    Clinical Investigations誌で本日発表されたこの報告は、生存期間中央値が20カ月、1/3が最大2年間生存した膠芽細胞腫患者7人を対象とした試験に基づいている。膠芽細胞腫では、治療を行っても、1年間生存できるのは半数以下である。

    「極めて有望な結果だと思います」とフレッドハッチンソンがん研究センター幹細胞移植研究者のHans-Peter Kiem医師は述べた。

    幹細胞試験プロトコルが承認されれば、他の悪性固形腫瘍にも使用できるとKiem氏は主著者でKiem氏の研究室の研究者であるJennifer Adair博士とともに期待している。

    これらの結果を踏まえ、研究者らは近々、第2相試験への患者の組み入れを計画しているが、主要な薬剤であるO6-ベンジルグアニン(O6BG)が不足しているため、1年間治療を中断しなくてはならない。

    膠芽細胞腫は、米国で年間約12,000~14,000人が罹患し、第一選択薬は強力な抗癌剤のテモゾロミド(TMZ)である。

    しかし、全患者の約半数で、腫瘍が大量の特定のタンパク質メチルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)を産生し、テモゾロミドへの耐性を示すようになる。

    もう1つの薬剤O6-ベンジルグアニン(O6BG)はこの耐性を打ち消し、テモゾロミドが効果的に腫瘍を標的とすることを可能にする。

    しかし、O6BGとテモゾロミドを併用すると、骨髄細胞を死滅させ、致死的な副作用が生じる可能性がある。

    Kiem氏らが直面していた課題は、薬剤によって腫瘍がテモゾロミドに対して感受性を持つようにする一方で、血球細胞をO6BG/テモゾロミドの副作用から保護する方法の模索であった。

    Kiem氏とAdair氏は、操作した遺伝子を患者の細胞に挿入し、O6BGから保護する方法を開発した。

    これにより、テモゾロミドとO6BGをより効果的に併用し、腫瘍を標的とすることが可能になった。

    たとえば、ほとんどの患者が1または2サイクルのO6BG/テモゾロミド併用療法しか受けられない可能性があるのに対して、本試験のある患者は9サイクルの化学療法を受けた。

    また、研究者らは治療にさらなるステップを追加し、遺伝子組み換え血球細胞挿入前に患者に追加的な化学療法であるカルムスチンを投与した。

    「この薬剤によって、患者の体が遺伝子組み換え血球細胞を受け入れ、使用することができるだけでなく、残存する脳腫瘍の治療も行いました。遺伝子治療は前処置なしではうまくいかないでしょう」とAdair氏は述べた。

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    吉田加奈子 訳
    西川 亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
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    原文

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