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BRCA1タンパク質値と肥満との分子的関連性が確認される

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BRCA1タンパク質値と肥満との分子的関連性が確認される

NCIニュース 2010年11月21日

乳癌発症リスクと肥満とが分子レベルで関連づけられる可能性がNCIの研究者らにより確認された。C末端結合タンパク質(CtBP)と呼ばれるタンパク質は、細胞がどのようにエネルギーを利用または貯蔵するか(代謝状態)を監視し応答することにより、急速増殖細胞における乳癌リスク関連遺伝子を制御する働きをすることが、新たな試験結果から示された。

癌感受性遺伝子であるBRCA1は、細胞の増殖・分裂の制御のほか、DNAあるいは遺伝子損傷の修復など細胞内で多くの機能を果たしている。乳房組織においては、エストロゲンによる増殖効果に応じてBRCA1発現が急速に増加する。Laboratory of Receptor Biology and Gene Expression(受容体生物学・遺伝子発現研究部門)のKevin Gardner博士らによって行われた本試験により、代謝不均衡(細胞が利用できるエネルギー量が細胞機能に必要なエネルギー量を上回ること)の状態では、CtBPの活性が亢進しBRCA1の発現が抑制されることが見い出された。本論文は2010年11月21日発行のNature Structural & Molecular Biology誌に、ポスドクのLi-Jun Di博士を筆頭著者として発表された。

研究者らは、ヒト乳癌細胞の代謝状態を薬剤によって操作するか、するか、CtBP遺伝子の発現を欠失させるかの方法で代謝不均衡状態を創り出した。細胞のエネルギー貯蔵が通常のエネルギー消費と比較してかなり高い状態(ヒトの肥満で起こるエネルギー不均衡と同じ状態)まで細胞のエネルギーを不均衡状態にすると、細胞はBRCA1が作る1型乳癌感受性タンパク質の産生を抑制した。CtBP濃度を下げるか逆のエネルギー不均衡状態にするとBRCA1発現が回復または向上した。過去の試験では、マウスに高脂質食を給餌すると乳癌発症のリスクと重症度が増し、カロリー制限するとそれと逆の効果が確認されている。Gardner博士らは、CtBP活性の亢進やBRCA1発現の低下が乳癌での重要な分子事象であるかどうかを確認するため、臨床試験で採取できた患者由来の癌組織サンプルと併せ実験的に発症させた乳癌を調べることを目指している。

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山下裕子 訳
小宮武文(呼吸器内科/NCI Medical Oncology Branch)監修
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原文

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