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化学療法に放射線法を追加することで早期ホジキンリンパ腫の治療成績を改善する可能性

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化学療法に放射線法を追加することで早期ホジキンリンパ腫の治療成績を改善する可能性

Adding Radiation to Chemotherapy May Improve Outcomes in Early-Stage Hodgkin Lymphoma
(Posted: 05/12/2011)

– 2011年2月のCochrane Database of Systematic Reviews誌に発表された論文によれば、放射線療法に化学療法を追加することにより、早期ホジキンリンパ種患者の転帰を改善できる可能性があるとされましたが、この治療方法の長期的影響は不明です。

 要約

5つのランダム化臨床試験の結果から、早期ホジキンリンパ腫の患者らに化学療法と放射線療法を併用した治療は、化学療法単独に比べ、再発のリスクは減少し、生存率は増加するということが示唆されるようです。しかしこれらのデータは、化学放射線療法が早期ホジキンリンパ腫に対して決定的な治療法となりうるという確固たる結論を導き出すには不十分です。またこれらのデータは、放射線療法のリスクとして知られている晩期障害や二次発癌には対処していません。

 

出典

Cochrane Database of Systematic Previews誌(2011年2月16日号電子版)

(ジャーナル要旨参照)

 

背景

放射線療法と化学療法の併用は、現在あるステージのホジキンリンパ腫に対する標準的な治療法です。しかし放射線療法は、生存者に対して晩期障害を引き起こす可能性があります。ホジキンリンパ腫の患者らは、治療時は青年である場合が多く、多くの生存者に晩期障害が出る可能性がある中、治療後には数十年の人生が残っています。これらの副作用には二次発癌が含まれており、これは通常、乳癌に対して放射線療法を受けた若い女性に多く見られます。

放射線療法は、晩期障害を引き起こすので、早期癌の患者への使用に疑問を持つ研究者もおり、化学療法単独は、併用療法と同等もしくはそれ以上の長期成績をもたらすことも示唆されています。放射線療法を併用した化学療法に対して化学療法単独を試している特定の臨床試験では、登録された患者数が比較的少数であったため、著者らは、早期ホジキンリンパ腫の患者に放射線療法を除外することについて――メタ分析と言われますが――この分析から何を言おうとしているのかを学ぶために数種のデータを併用しました。

 

試験

コクラン悪性血液疾患グループの研究者らは、5つのランダム化試験に登録された1245人の患者データを組み合わせました。

各試験は、6サイクルの化学療法を単独で治療した患者群と6サイクル化学療法に放射線療法を追加して治療した患者群の結果を比較しました。その研究の中で最初の試験は、1970年代に開始されたものでした。最新の研究は、1998年から2004年の間に患者を募集しました。5つすべての試験において、患者の病期ステージは1または2でありました。本試験の追跡調査期間の中央値は、2~11.4年と様々でした。

結果

放射線療法と化学療法を併用した治療を受けた患者らは、化学療法単独を受けた患者よりも長く生存しました。著者らは、化学療法単独の代わりに併用療法で治療された11人~55人の患者らすべての命は、救われるであろうと推測しました。併用療法を受けた患者らは、再発の危険性もより低くなりました。化学療法単独の代わりに併用療法を受けた6人すべての患者のうち、1人の再発を予防できるであろうと著者らは推定しました。

本試験中にいずれかの治療を受けている患者らは同じような副作用を経験しました。しかし、「二次癌のような晩期障害は、当該試験で報告されている観察時期より遅く発生する可能性があります」と著者らは説明しました。この長い遅延時間は、2つのグループ間の死が、晩期障害の違いによる影響かどうかを有効なデータから決めるのは不可能です。

 

制限事項

「二次癌と他の晩期障害に関する長期データの不足がこの研究の主な制限事項です」とNCIの癌治療・診断部門の研究者であるRichard Little医師は説明しました。「この研究の結論は、特に若い患者を注意深くフォローすべきであるということです」。

「放射線療法による二次癌の発生率は年に1%以内です」と彼は続けて述べました。「うまくいけば現代の放射線技術が発生率を下げるでしょうが、長期のデータは有益ではありません。事実、患者の大多数は、相変わらず化学療法単独で治療されています。患者全員に化学療法と放射線療法を受けるようにすると、多くの患者に対して治療過剰となります。このような不必要なリスクに患者を晒すことになります」。

 

コメント

継続中の臨床試験は、早期ホジキンリンパ腫の患者らが安全に放射線療法なしで治療できるかどうかを決定するために、癌細胞の代謝活性を測るPETが使用可能かどうかを試験中です。

「早期ホジキンリンパ腫に対する臨床試験では、放射線療法の危険性を分類するだけでなく、早期治療を受けようと思われる人々に対して治療を減らすためにPETが使用される傾向にあります」とLittle氏は述べました。

 

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森田 洋子 訳
中村 光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)監修

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