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血液検査により腫瘍内の遺伝子異常の同定が可能に/ダナ・ファーバー癌研究所

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血液検査により腫瘍内の遺伝子異常の同定が可能に/ダナ・ファーバー癌研究所

2014年5月29日

簡易な血液検査によって患者腫瘍の遺伝子異常を読み取る技術が、正確性と信頼性に関する重要な試験を通過した。ダナ・ファーバー癌研究所の研究者らは、2014年5月31日土曜日の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて、その結果を発表する予定である。

この技術は、血漿遺伝子検査法として知られており、腫瘍の遺伝子構造解析のための材料として、外科的切除により得た腫瘍組織ではなく、患者循環血液中の遊離腫瘍DNAを活用する。血漿遺伝子検査法は短時間に施行できるので、医師が腫瘍内の新たな遺伝子変異の出現を突き止め、迅速で適切な分子標的治療薬の処方を可能にすると思われる。本技術の定量的性質は、患者の治療の奏効を観察することも可能にするだろう。

本研究では、研究者らは、エルロチニブに耐性を示していた45人の進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に本技術を施行した。各患者は、再生検(二度目の腫瘍組織検体切除)と血漿(血液の液体成分)の採取を受けた。再生検された組織サンプルでは、EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子の変異が解析された。これは、[EGFRが]エルロチニブの標的であり、NSCLCにおいて頻繁に異常がみられるからである。遊離DNAは、血漿サンプルから抽出され、腫瘍がエルロチニブに対して耐性を示すようになるT790として知られている変異を含む、EGFRの3カ所の突然変異を解析した。

研究者らは、血漿遺伝子検査法によって、高精度にEGFR T790変異が検出できることを確認した(陽性例では95%の確率で正確)。血漿検査は、治療中の一部の患者においても繰り返し実行され、治療効果のあった患者では、血漿中の変異腫瘍濃度が劇的に減少していた。これらのデータは、この検査法が、はじめに分子標的薬の有効性を図るなど臨床的に有用な結果をもたらし、さらには治療の効果をも示すことができることを示唆している。

「とても興味深い応用技術です。と言うのは、疾患の進行中(特に肺癌において)に生検を行うのは、医学的な点で常に適切であるとは限らず、リスクが伴うからですと」、本技術の開発室を指揮している、ダナ・ファーバー癌研究所ベルファー応用癌研究所のCloud Paweletz博士は語る。

研究者らは、それまでに腫瘍組織の遺伝学的解析を受けたことがなかった進行性NSCLC患者群において血漿遺伝子検査法を試験的に行うこともしている。本検査は、このグループの17人中3人に関して、EGFR遺伝子変異を検出したが、これは標準的な遺伝子検査法で結果を確認するより平均で3日、最長でも19日早かった。

「本検査法は、腫瘍の遺伝子型を迅速かつ非侵襲的に検出する性能を有し、これにより、効率的に患者と薬剤の適切なマッチングが行えますと」ダナ・ファーバー胸部癌ロウセンター の腫瘍内科医であり、本技術の臨床的開発を指導しているGeoffrey R. Oxnard医師は語る。「再生検が全く必要なくなる患者も出てくるかもしれません」。

本研究の一部は、the National Cancer Institute at the National Institutes of Health (R01-CA135257)、the Conquer Cancer Foundation of ASCO (Career Development Award)、the Standing-Younger Cancer Research Foundation, research funding from Genentech、the Canadian Association of Medical Oncologyにより支援を受けている。

ASCOで発表されているダナ・ファーバーの研究についてのさらなる情報は、www.dana-farber.org/ascoをご覧下さい。

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滝川俊和 訳
高山吉永(北里大学医学部分子遺伝学) 監修
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原文

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