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胆道癌治療薬として有望な標的薬のSelumetinib

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胆道癌治療薬として有望な標的薬のSelumetinib

オハイオ州立大学

2011年4月26日

COLUMBUS、オハイオ州・・・実験段階の薬剤であるselumetinibの進行胆道癌患者への投与が有望であることが、オハイオ州立大学の癌研究者らによる多施設共同臨床試験で明らかとなった。

Selumetinibは、AZD6244(ARRY-142886)として知られており、癌細胞の増殖、生存のために必要なMEKと呼ばれるタンパク質を阻害する。

胆道癌は、胆管および胆嚢の内側を覆っている細胞の悪性腫瘍である。世界で年間100,000人が、胆道癌と診断され、肝臓癌全体の15-20%を占めている。ほとんどの患者は病期の進んだ胆道癌で、一般に予後は不良である。

この28人を対象とした多施設共同第2相試験に関する知見が、オンライン版のJournal of Clinical Oncology誌に論説付きで掲載された。

「この悪性腫瘍には、優れた標準治療ガイドラインが存在しない。」と、試験責任医師であるOhaio State’s Comprehensive Cancer Center-James Cancer Hospital and Solove Research Instituteの消化器腫瘍科医長で腫瘍内科医であるTanios Bekaii-Saab医師は述べた。

「我々が実施した試験は、さらに本剤(おそらく他剤との併用)の大規模試験を実施するための強い論理的根拠となるはずだ。大規模試験を実施することで、近い将来、胆道癌の新しい標準治療ガイドラインを作成できると思っている」とBekaii-Saab医師は加えた。

オハイオ州立大学に加えて、University of North Carolina、Vanderbilt University、Emory Universityも試験に参加した。

Selumetinibは、プロテインキナーゼ阻害剤に分類され、プロテインキナーゼであるMEK1およびMEK2を選択的に阻害する。胆道癌細胞がしばしば傷害をうけるシグナル伝達経路の一部である。本試験の結果は以下の通り;

  • 患者1人が完全奏効・・・腫瘍は検出不能になるまで縮小し、患者2人において、腫瘍が部分的に縮小する部分奏効を示した。
  • 患者17人において、腫瘍の成長が停止した。この安定した状態がほとんどの患者で、最大16週間継続した。
  • Selumetinibを投与される前に治療歴のある患者(より治療抵抗性が高い腫瘍の可能性が高い)が約40%いたにもかかわらず、平均3.7カ月もの間癌の進行を抑えることができた。
  • Selumetinibの投与を受けた患者は、体重が平均4kg(9ポンド)ほど戻った。体重については、Selumetinibが奏効しなかった患者も含まれるとBekaii-Saab医師は記録している。

pERKと呼ばれる標的タンパクがない患者において、本薬剤が奏効しないようであった。つまり、そのタンパクが癌細胞に存在しない場合、その薬剤が作用しない可能性があることを示している。「この知見は、将来、我々医師が、その薬剤が奏効する可能性が高い患者を特定することができるということを示している」と同氏は加えた。

Journal of Clinical Oncology誌の同じ号に報告されたselumetinibを用いた肝臓癌の治療を実施した2番目の試験にもオハイオ州のチームは、参加している。

胆道癌に対するSelumetinibを用いた試験に関する詳細情報は、ClinicalTrial.govの登録番号NCT00553332を閲覧すること。

本試験は、NCIの資金援助を受けた。

本試験に参加した他の研究者らは、Mitch Phelps、Xiaobai Li、Motoyasu Saji、Stephanie Balsom、Catherine Balint、Ryan Liersemann、Mark Bloomston、William Marsh、Michael Grever、Matthew D. Ringel、Mguel Villalona Calero (Ohio State University);Laura Goff (Vanderbilt University);John Kauh (Emoru University);Bert O’Neil (University of North Carolina);Vasily Vasko (Uniformed Services University of the Health Sciences);L. Austin Doyle (NCI/CTEP);Gilian Ellison (Astra Zeneca、Macclesfield、英国)

Ohio State University Comprehensive Cancer Center – Arthur G/James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute (http://cancer.osu.edu)は、NCIに指定された米国内のたった40の総合癌センターの1つである。U.S. News & World Report誌によって、米国内トップクラスの癌センターであるとランキングされた。本病院には、Ohio State Universityの癌プログラムのケアを受けられる成人患者用のベッド数が205床あり、第1相、第2相臨床試験を実施するためにNCIによる資金提供を受けた7つのプログラムの中の1つである。

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舛田理恵 訳  畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター) 監修 

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