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ウイルス療法は多発性骨髄腫に対して有望であることが初めて示される/メイヨークリニック

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ウイルス療法は多発性骨髄腫に対して有望であることが初めて示される/メイヨークリニック

2014年5月14日

メイヨークリニックの研究者らは概念実証のために実施した臨床試験で、ウイルス療法(癌細胞に感染し殺傷するが正常組織を殺傷しないウイルスを使用して癌を死滅させる療法)が致死的な癌である多発性骨髄腫に対して有効な可能性を明らかにした。臨床試験結果はMayo Clinic Proceedings誌に発表されている。

本臨床試験で多発性骨髄腫患者2人は、骨髄腫形質細胞に対して選択的に毒性を示す遺伝子組み換え麻疹〔*はしか〕ウイルス(MV-NIS)の単回静脈内投与を受けた。両者とも治療に反応し、骨髄腫と骨髄腫タンパクのそれぞれが減少した。1人目の患者は49歳の女性で、骨髄腫が完全寛解し、6カ月間を超えても再発しなかった。

「この試験は、播種性転移癌に対する全身性の腫瘍溶解性ウイルス療法の可能性について確認する、初めての臨床試験です」とStephen Russell医学博士(メイヨークリニック、血液学者、本論文の筆頭著者兼腫瘍溶解性ウイルス療法の共同開発者)は述べた。「これらの患者は他の治療法に反応せず、また、再発を数回繰り返しました」。

多発性骨髄腫は骨髄内にある形質細胞の癌で、骨腫瘍や軟部腫瘍の原因にもなる。多発性骨髄腫は通常免疫賦活薬に反応する。しかし、最終的には免疫賦活薬に対する耐性を獲得し、治癒は稀である。

研究者らは本論文で、これらの多発性骨髄腫患者2人に関する報告を解説する。その理由は、これらの患者は、最高投与量で試験を受けた最初の2人で、以前に麻疹ウイルスに曝露されたことが少なく、その結果、抗麻疹ウイルス抗体がほとんど無く、そして事実上他の治療選択肢が無いためである。

癌に対抗するための遺伝子組み換えウイルスを使用する腫瘍溶解性ウイルス療法には、1950年代に遡る歴史がある。数千人の癌患者が、多くのさまざまなウイルス科(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス(水疱瘡ウイルス)、一般的な風邪ウイルスなど)由来の腫瘍溶解性ウイルスを使用する治療を受けてきた。しかし、本試験で初めて、ウイルス投与後に全ての疾患部位で完全寛解が得られた播種性転移癌患者の症例が示された。

本論文での2人目の患者は、骨髄腫がウイルス療法にそれほど反応しなかったものの、同様に注目に値した。その理由は、静脈内投与されたMV-NISが特異的に腫瘍増殖部位を標的にしたという明確な証拠が画像診断により示されたためである。なおこの診断では、高度の画像診断法を使用して実施した。高度の画像診断法が使用できた理由は単に、研究者らが多発性骨髄腫患者の体内でMV-NISの存在部位を正確に特定することができるように、容易に特定可能な遺伝標識である「密告遺伝子」を使用してMV-NISが作製されたためである。

より多くのMV-NISがより大規模な第2相臨床試験用に作製されている。研究者らは今後の臨床試験で、ウイルス療法+ヨウ素131を使用する放射線治療の併用療法の有効性に関する試験の実施も熱望している。

他の著者は以下のとおりである。 Mark Federspiel, Ph.D., Kah-Whye Peng, Ph.D., M.Med., Caili Tong, David Dingli, M.D., Ph.D., William Morice, M.D., Ph.D., Val Lowe, M.D., Michael O’Connor, Ph.D., Robert Kyle, M.D., Nelson Leung, M.D., Francis Buadi, M.D., S. Vincent Rajkumar, M.D., Morie Gertz, M.D., Martha Lacy, M.D., および年長の連絡著者である Angela Dispenzieri, M.D.。いずれもメイヨークリニックに所属。

本臨床試験は、米国国立衛生研究所(NIH)所属米国国立癌研究所(NCI)、Al and Mary Agnes McQuinn‐The Harold W. Siebens財団、およびThe Richard M. Schulze Family財団による支援を受けた。

Russell博士、Federspiel博士、Peng博士、およびメイヨークリニックは、本臨床試験で使用された技術に対して財政的に出資している。

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渡邊岳 訳
石井一夫 (ゲノム科学/東京農工大学) 監修
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原文

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