精巧に狙い撃つ新規標的薬AZD9291が初期相試験で薬剤耐性肺癌に効果/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

精巧に狙い撃つ新規標的薬AZD9291が初期相試験で薬剤耐性肺癌に効果/ダナファーバー癌研究所

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精巧に狙い撃つ新規標的薬AZD9291が初期相試験で薬剤耐性肺癌に効果/ダナファーバー癌研究所

2014年5月29日

従来の標的治療薬に反応を示さない非小細胞肺癌(NSCLC)患者の約半数において、精密に標的に作用する新たな薬剤を使用した後に癌の縮小がみられた。ダナファーバー癌研究所の研究者らは、2014年5月31日(土)の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて、本知見を発表する予定である。

AZD9291という薬剤は有効性の有望な兆を見せただけでなく、この種の肺癌に使用される従来の標的治療薬と比較し、副作用が著しく少ないことを研究者らは発見した。

「この種のNSCLCは上皮成長因子受容体(EGFR)タンパクの異常を特徴としており、患者の大部分はエルロチニブなどの薬剤が有効です。しかし、残念なことに、腫瘍は多くの場合、投与開始から10~14ヵ月後にこれらの薬剤に抵抗性を示すようになり、再び増大し始めます。AZD9291はこのような薬剤耐性腫瘍の治療のために開発されている薬剤の1つです」と、本試験の主著者であり、ダナファーバー、Lowe Center for Thoracic Oncologyの所長であるPasi A. Jänne医学博士は述べた。

本試験ではNSCLC細胞のEGFRに異常をもつ患者199人が参加した。

すべての患者は、エルロチニブ(タルセバ)などのEGFR標的治療薬がもともと有効であったが、それらの効果がみられなくなった状態であった。

本試験は、一連の患者群におけるAZD9291の服用量を徐々に増加させる用量漸増試験であり、薬剤の安全性や至適用量、有効性を評価するためにデザインされた。

全体では、試験に参加した患者の51%で、AZD9291服用後に腫瘍が縮小した。

この腫瘍縮小は試験された5つの異なる用量それぞれで確認され、脳に癌が転移している患者でさえも認められた。

AZD9291はT790M変異として知られるEGFRの異常を標的とする。多くの場合、この変異はエルロチニブを用いた治療後に耐性メカニズムを生じる

エルロチニブやその類似薬とは異なり、AZD9291は腫瘍細胞におけるEGFR変異型のみを標的とし、皮膚やその他の組織における正常型には作用しない。

結果として、治療に関連した副作用が減少するという仮説を開発者は立てた。

研究者らは臨床試験に参加した患者の67%に腫瘍細胞中のT790M変異がみとめられることを確認した。

これらの患者の64%において、AZD9291による治療が腫瘍の縮小あるいは増殖の停止をもたらしたが、変異がない患者では23%でしか効果が得られなかった。

本試験の最高用量の群でもほとんどの患者に重篤な副作用はみられなかった。

NSCLCの白人患者の約10~15%とアジア人患者の約40%はEGFRに関連する変異を有し、米国では1年間で18,000人の患者に相当する。

「この種の肺癌に対する標的治療薬の有効性は10年前に初めて実証された。本研究は一次治療薬の効き目がなくなった際に使用可能な新世代の標的治療薬の有望性を示している」とダナファーバー、Belfer Institute for Applied Cancer ScienceのディレクターでもあるJänne氏は述べた。

本研究はAstra Zeneca社より資金提供を受けた。

ASCOで発表されているダナファーバーの研究の詳細については、www.dana-farber.org/ascoを参照してください。

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下野龍太郎 訳
吉松由貴(呼吸器内科/淀川キリスト教病院)監修
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原文

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