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イチゴが食道前癌病変の進展を抑制する可能性

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イチゴが食道前癌病変の進展を抑制する可能性

オハイオ州立大学

2011年4月6日

オハイオ州コロンブス-イチゴを食べることは、発症リスクのある人が食道癌から身を守る一助となることが、オハイオ州立大学総合がんセンター、Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC-James)の研究員および中国の研究者による最近の研究で示された。

Tong Chen医師は、フロリダ州オーランドで開催されている米国癌学会(AACR)第102回年次総会で、本日(4月6日)研究結果を発表する。本研究はオハイオ州立大学が初めて中国で実施した癌の共同臨床試験である。

「本研究から、6カ月間のイチゴによる治療は、安全で摂取も容易であるとの結論を下しました。また、われわれの予備データからは、イチゴは前癌病変の組織学的悪性度(グレード)を低下させ、癌による分子事象を抑制することが示唆されています。」と主著者でオハイオ州立大学医学部腫瘍内科の助教であるChen氏は述べた。同氏は、オハイオ州立大学総合がんセンターの分子発癌および化学予防プログラムのメンバーでもある。

Chen氏らはこれまでに、ラットにおいて凍結乾燥イチゴが食道腫瘍の増殖を有意に阻害することを明らかにしている。こうした結果に基づき、研究者らは中国で後期第1相臨床試験を開始し、食道に前癌病変がある患者に対する凍結乾燥イチゴの効果を調査した。

「イチゴを毎日摂取することで、細胞の増殖、炎症、遺伝子の転写など発癌現象に関与する様々なバイオマーカーが抑制されることを確認しました」とChen氏は述べた。

研究に参加した36人は、それぞれ一日当たり60グラム(約2オンス)の凍結乾燥イチゴを6カ月間摂取し、研究者らはイチゴの摂取前後に生検標本を採取した。その結果、36人の参加者中29人において、前癌病変の組織学的悪性度の低下が調査期間中に認められた。

Chen氏は、「食道に前癌病変を有する患者の大半は、数十年のうちに食道癌を発症するものと思われます」と述べ、「イチゴが食道前癌病変の進展を抑制する可能性を示したことから、われわれの研究は重要であると考えられます。イチゴの摂取は、食道癌予防のための代替療法となる可能性、もしくは他の化学予防薬との併用で効果を得る可能性があります。しかし、今後はランダム化プラセボ対照試験でそれを検査する必要があります」と続けた。

公衆衛生博士でもあるChen氏によると、世界において食道癌は消化管癌のうち3番目に多くみられ、癌による死亡原因の第6位に挙がっているとのことである。

Chen氏と同氏のチームは、世界における食道癌症例数の95%を占める扁平上皮癌を研究している。この病型の生存率は極めて低く、診断後5年間生存する患者は10%にすぎない。食道扁平上皮癌は、中国、日本、南アフリカのトランスカイ、イラン、フランス、プエルトリコで多くみられる。

「本臨床試験は中国で実施されているため、通常当大学施設で行う場合と比べて、試験の開始から完結までかなりの努力が求められます。それでも、非常に協力的な調査員による研究チームを結成することができました」とChen氏は述べた。中国は、世界最大の人口を擁し、臨床試験の参加者候補は世界中のどの国よりも多い。

「共同研究チームを設立することで臨床試験の質は向上します。したがって、われわれは本プロジェクトが他の様々な臨床試験を中国で行うための扉を開くと信じています」とChen氏は加えた。

米国、カナダ、ヨーロッパでは、食道癌発生の危険因子として、果物や野菜の不足した偏った食生活とならんで、喫煙や飲酒が挙げられる。アジアではさらなる危険因子として、塩辛い食品および多様なマイコトキシンに汚染された食品の摂取、食物中のビタミンやミネラル不足、熱い飲料の摂取による熱傷などがある。

米国癌協会(ACS)によれば、今年米国では16,000人以上が新たに食道癌と診断されるとみられている。

本研究は、カリフォルニア州イチゴ委員会からの資金提供を受けている。本試験に参加した他の研究者は以下のとおりである。Fei Yan and Huaji Guan of Ohio State; Gary D. Stoner of Medical College of Wisconsin; and from China: Jiaming Qian, Guiqi Wang, Ning Lu, Hongbing Zhang, Mingzhou Guo, Lian Li, Yanli Zeng, Xiaomin Wang
オハイオ州立大学総合がんセンター、Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(cancer.osu.edu)は米国国立癌研究所から指定を受けた、米国内で40しかない総合がんセンターのうちの一つである。Jamesは、U.S. News & World Report誌によって米国内の上位にランク付けされており、オハイオ州立大学の癌プログラムの中で205床を有する成人患者治療部門である。OSUCCC-Jamesは、第1相臨床試験、第2相臨床試験を実施するために、NCIにより承認され、資金提供を受けた国内でたった7つのプログラムのうちの一つである。

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マクドナルド 晋子 訳  朝井 鈴佳(獣医学・免疫学)監修
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原文

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