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2011/05/03号◆FDA最新情報「乳癌治療薬の候補患者を特定する検査をFDAが承認」
- 2011年5月18日
NCI Cancer Bulletin2011年5月03日号(Volume 8 / Number 9)
~日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇FDA最新情報◇◆◇
乳癌治療薬の候補患者を特定する検査をFDAが承認
米国食品医薬品局(FDA)は、トラスツズマブ(ハーセプチン)による利益を得られる可能性のある、HER2遺伝子コピーが過剰である乳癌女性を特定する有用な遺伝子検査を承認した。
トラスツズマブは、17番染色体上のHER2遺伝子から作られるタンパク質を標的にする。乳癌の約25%ではHER2遺伝子のコピーが過剰に存在し、HER2タンパク質が多く産生される。これらの腫瘍は増殖が速い傾向があり、HER2を過剰発現していない腫瘍より再発しやすい。
Inform Dual ISHと呼ばれる検査は、腫瘍検体中のHER2遺伝子のコピー数を計測できる。HER2遺伝子と17番染色体が異なる色に検体を染色することにより、臨床検査技師は過剰なHER2遺伝子コピーの存在を評価できるものである。従来HER2増幅の測定は蛍光顕微鏡を用いてのみ可能であったが、この色の変化は標準的な顕微鏡下で見ることができるようになる。
「他の臨床情報や臨床検査とともに使用すれば、この検査は乳癌患者の治療決定における追加の洞察を医療専門家に提供できます」と、FDAの体外診断機器評価安全性室長Dr. Alberto Gutierrez氏は声明で述べた。
声明によると、この承認は510例の乳癌患者の腫瘍検体を用いた米国での試験に基づいてなされた。検査では、HER2陽性腫瘍検体の96%で、HER2遺伝子コピーが過剰に存在することを正確に確認できた。
さらにこの検査では、HER2陰性腫瘍検体の92.3%で、遺伝子コピーが過剰に存在する可能性を正確に排除した。これらの患者は通常、トラスツズマブによる治療の候補患者とは考えられない。
別の検査の試験で研究者らは、二色技術が細胞中のHER2遺伝子の過剰コピー存在の有無を決定する「信頼できる強固な」方法であると結論付けた。
この検査はVentana Medical Systems(アリゾナ州タスコン)で製造される。
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榎 真由 訳
原野 謙一(乳腺科・腫瘍内科/国立がん研究センター中央病院)監修
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