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癌関連支出は2020年に1,580億ドルを超える見込み

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癌関連支出は2020年に1,580億ドルを超える見込み

米国国立衛生研究所(NIH)は最近の研究で、米国の人口と癌に関する傾向の変化に基づき、癌サバイバー数と癌治療費を予測
NCIニュース 2011年1月12日

NIHの分析によれば、人口の増加と高齢化に伴い、癌に関わる米国の医療費が、2020年には2010年に比べ27%増の1,580億ドル(2010年のドル価格で計算)を超えると予測されている。癌の先進的な診断、治療、フォローアップ技術の費用が上がり続ければ、癌の治療費は2,070億ドルにも達する可能性があると、NIHの一部門である米国国立癌研究所(NCI)の研究者が述べた。この分析は2011年1月12日にJournal of the National Cancer Institute電子版に掲載されている。

癌に関連した医療費
2010 年
*1:発症率、生存率、医療費が2010 年と同水準の場合

*2:発症率と生存率が現在の傾向を反映して上昇するが、医療費は2010 年と同水準の場合
*3:年推定額(発症率と生存率が現在の傾向を反映して上昇し、治療開始および治療最終の死亡までの1 年で医療費が2%増加した場合

*4:発症率と生存率が現在の傾向を反映して上昇し、治療開始年および治療最終の死亡までの1 年で医療費が5%増加した場合

この予測は癌の発生率、生存率、治療費について得られた最新のデータに基づいている。2010年に癌に関わる医療費は1,276億ドルに達すると予測されていたが、最も高額なのは乳癌(165億ドル)、次に結腸直腸癌(140億ドル)、リンパ腫(120億ドル)、肺癌(120億ドル)、前立腺癌(120億ドル)としている。

癌の発生率と生存率、医療費が変わらず、国勢調査局が予測した速度で米国の高齢化が進むと、直接的な癌治療費は2020年には1,580億ドルに達するだろうと報告している*1。

また、癌の発生率と生存率に生じた変化の原因や、先進的な技術と治療の開発に伴い癌治療費がさらに高額となる可能性に関して、さらに分析が行われた。最近の傾向を反映させ、治療の初期段階と最終段階における医療費が年2%増加すると仮定すれば、2020年には1,730億ドルまで増加すると予想される。増加率を年5%と仮定すると、2,070億ドルに達する。この金額には、生産性の損失など、癌による総合的経済負担に加わる他の費用は含まれていない。

「医療費増加は癌の研究、治療、予防の予算を割り当てる担当の政策当局にとって頭の痛い問題です」と研究著者でありNCIのSurveillance Research ProgramのスタッフであるAngela Mariotto博士は述べている。「今後、癌抑制技術がどれくらい発展するか、それが癌に関わる負担にどのような影響を与えるかを予測するのが難しいため、考え得る様々なシナリオを検討しました」。

癌に関する国費を予測するため、研究者達は現時点での癌患者数である癌罹患率と、年齢別(65歳未満と65歳以上)の年間平均医療費を併せて考慮した。推定罹患率によれば、2010年の癌サバイバー数は1,380万人となり、その58%は65歳以上である。癌の発生率と生存率が変わらないとすれば、2020年の癌サバイバー数は31%増の約1,810万人になる。米国民の高齢化に伴い、今後10年間で癌サバイバー数の増加が最大となるのは65歳以上の年代になると予測している。

「癌医療費の上昇は、癌の予防や治療の医学を発展させ、常に最も有効な治療法を利用できるようにすることがいかに重要かを示しています」とNCIのCancer Control and Population Sciences部長であるRobert Croyle博士は述べている。「これは、複数の健康問題を同時に抱えた高齢の癌患者にとって特に重要です」。

医療費の予測には、癌の治療段階別の平均医療費が用いられた。診断後1年目、死亡年、およびその間の期間である。どの種類の癌についても、1人当たりの癌治療費は死亡年が最も高額であった。癌診断後1年目の1人当たりの費用はかなり差があり、初期費用が最も高額なのは脳、膵臓、卵巣、食道、胃の癌で、最も低額なのはメラノーマ、前立腺、乳房の癌であった。

この新しい予測額は、以前発表された直接的な癌治療費の推定額を上回っている。主な理由は、利用可能な最新のデータを用いたためである。ここには2006年の1年間のメディケアへの保険金請求額のデータも含まれており、癌細胞を特異的に攻撃するための他の癌治療法より副作用が少ない、より先進的でより高額な標的療法への支払いも入っている。さらに、治療段階別に費用を分析することで、治療1年目に高額な場合と死亡年(癌で死亡した患者について)の方が高額な場合が明らかになったため、以前より正確な推定額を算出することができた。

2010年と2020年の癌発生率の推定には、NCIのSurveillance, Epidemiology and End Results (SEER)プログラムに基づく2005年の発生率と死亡率のデータが利用された。米国の人口推定数は、米国勢調査局による2006〜2020年暫定人口予測が用いられた。医療費の推定額はSEER-Medicareデータベース*2に基づいているが、これはSEERデータを、Center for Medicare and Medicaid Servicesから得られたMedicare請求額のデータと関連づけたものである。

参考サイト
医療費予測について
http://costprojections.cancer.gov*3

NCIのHealth Services and Economics Branchについて
http://healthservices.cancer.gov/*4

NCIのSurveillance Research Programについて
http://surveillance.cancer.gov/*5

参考文献
Mariotto AB, Yabroff KR, Shao Y, Feuer EJ, and Brown ML. Projections of the Cost of Cancer Care in the United States: 2010-2020. Jan 19, 2011, JNCI, Vol. 103, No. 2.
リンク一覧
*1 http://www.cancer.gov/images/documents/71f7e4ea-c929-4a92-8c79-0859385424f8/CostCancer2020-figure.jpg
*2 http://healthservices.cancer.gov/seermedicare
*3 http://costprojections.cancer.gov
*4 http://healthservices.cancer.gov
*5 http://surveillance.cancer.gov

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丸野 有利子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修
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原文

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