初発膠芽腫に対するベバシズマブ追加は生存期間を延長しない/オハイオ州立大学総合がんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

初発膠芽腫に対するベバシズマブ追加は生存期間を延長しない/オハイオ州立大学総合がんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

初発膠芽腫に対するベバシズマブ追加は生存期間を延長しない/オハイオ州立大学総合がんセンター

2014年2月18日

米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)によって実施されたランダム化第3相臨床試験の結果から、血管の増殖を阻害する薬剤ベバシズマブを膠芽腫(GBM)の治療に追加しても、患者の生存期間に改善がみられないことが明らかになった。

この結果は、New England Journal of Medicine誌の2014年2月20日号に掲載される。オハイオ州立大学総合がんセンター – Arthur G. James Cancer Hospital & Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC – James)の放射線腫瘍学科長Arnab Chakravarti医師が、この国際共同RTOG試験の米国内探索医療研究部門の委員長をつとめた。テキサス大学MDアンダーソンがんセンター神経腫瘍学科教授Mark Gilbert医師が試験全体を統括する臨床責任医師をつとめた。

GBMは成人脳腫瘍のなかで最も頻度の高い腫瘍である。平均生存期間は16カ月未満で、5年以上生存する患者はほとんどいない。新生血管の増殖がGBM発達の特徴であり、GBM細胞から分泌される血管内皮増殖因子A(VEGF-A)という物質に刺激を受けることによって増殖する。

ベバシズマブは抗体ベースの薬剤で、VEGF-Aを標的にして腫瘍由来血管の増殖を阻害する。再発GBMの標準治療にベバシズマブを追加して評価した臨床試験によって、臨床的有益性が明らかになり、GBMに対する単剤の二次治療薬として、2009年の米国食品医薬品局による承認につながった。

今回の新たな試験では、ベバシズマブを一次治療の一部として投与した場合にGBM患者の生存が改善されるかどうかを検討した。この多施設共同試験には、これまでで最多の621人の成人参加者が登録され、試験のふたつの群のいずれかにランダムに振り分けられた。治療の割り当ては治療を担当する医師には知らされなかった。全参加者が、試験の一環として今後実施される研究のために腫瘍組織および血液検体を提供することに同意した。

患者の治療反応性の予測因子であるDNAメチル化の状態によって、参加者を層別化し、試験の各群に均等に割り付けた。これまでの試験から、腫瘍のプロモーターがメチル化されている患者の方がメチル化されていない患者よりも予後が有意に良好であることが示唆されている。このことから、研究者らはこの腫瘍マーカーによって予後不良であることが確認された患者には、一次治療にベバシズマブを用いた方が治療成績が良くなるとする仮説を立てた。

放射線治療と化学療法薬テモゾロミドの1日1回投与から成る標準治療が全参加者に実施された。放射線治療の4週目に、ランダム化により試験薬群に組み入れられた患者にはベバシズマブ、対照群にはプラセボの投与が開始され、投与は病勢進行または数種類の治療関連毒性が認められるまで、あるいは術後補助化学療法が終了するまで2週間毎に続けられた。

(プラセボ群では病勢進行後にベバシズマブ投与を推奨するという)試験のデザインによって、ベバシズマブの早期投与と再発後投与の,リスクと有益性の比較が可能となった。Gilbert氏らの報告によると、生存期間中央値は20.5カ月で、両群間に全生存期間の統計学的な差がないことが明らかになり、生存期間という点では一次治療としてベバシズマブを投与しても追加の利益がもたらされないことが示唆された。

「この試験結果から、膠芽腫(GBM)患者では医療の個別化が切実に求められていること、そして画一的な治療法は膠芽腫の管理ではそれほど効果がないことが明らかになりました」とChakravarti氏は言う。Chakravarti氏はこの試験に約10人を登録したオハイオ州立大学の研究チームの主任研究員であった。

「RTOGに参加したわれわれのチームおよびオハイオ州立大学総合がんセンターは、分子、遺伝子およびエピジェネティックなプロファイリングを注意深く実施することによって、この最も治療が困難な腫瘍の治療抵抗性に寄与する根底の機序を明らかにしつつあります。次第にわかってきたのは、GBMが数百とはいかないまでも、数十種類の明確に異なる腫瘍分子サブタイプから成る疾患であるということです。ベバシズマブなどの新規薬剤は、病理組織学的に多様な腫瘍に広く適用するのではなく、個々の腫瘍に応じて個別化し、その患者集団に利益をもたらすようなものである必要があります」とChakravartiは説明した。

この試験は、米国国立癌研究所の基金(NCT00884741)、助成金(U10 CA21661およびU10 CA37422)のほかアバスチン(ベバシズマブ)の製造業者ジェネンテック社から無拘束の教育助成金の資金援助を受けた。Chakravarti氏にはジェネンテック社と利害関係はない。

この試験に参加している施設は以下の通りである。Ohio State University, University of Texas Health Science Center, University of Chicago, Cleveland Clinic, University of Utah, University of Wisconsin, Mayo Clinic, University of Virginia, Southwest Cancer Control Consortium, Barrow Neurologic Institute, Thomas Jefferson University, Emory University and the University of Maryland

=======================================
》》サイト注:New England Journal of Medicine誌の2014年2月20日号に掲載された、膠芽腫に対するベバシズマブ療法のもう一つの第3相AVAglio 試験については、https://www.cancerit.jp/26585.html 成人脳腫瘍治療/NCI-PDQ-初発膠芽腫におけるベバシズマブ(bevacizumab)を参照のこと。

******
中村幸子 訳
西川 亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
******

原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  3. 3免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  4. 4リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  5. 5FDAが皮膚未分化大細胞リンパ腫にブレンツキシマブ・...
  6. 6血中循環腫瘍DNAに基づくリキットバイオプシーの可能...
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  9. 9FDAがHER2陽性早期乳がんの延長補助療法にネラチ...
  10. 10若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い

お勧め出版物

一覧

arrow_upward