成人脳腫瘍治療/NCI-PDQ | 海外がん医療情報リファレンス

成人脳腫瘍治療/NCI-PDQ

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

成人脳腫瘍治療/NCI-PDQ

最終更新日2014年2月28日

腫瘍の種類および部位別の管理

◇脳幹部神経膠腫(脳幹グリオーマ)Brain Stem Gliomas
現在の臨床試験 Current Clinical Trials
◇松果体星細胞系腫瘍 Pineal Astrocytic Tumors
◇毛様細胞性星細胞腫 Pilocytic Astrocytomas
◇びまん性星細胞腫(WHO悪性度[グレード]II)Diffuse Astrocytomas (WHO grade II)
◇退形成性星細胞腫(WHO悪性度[グレード]III)Anaplastic Astrocytomas (WHO grade III)
◇膠芽腫 Glioblastomas
O6-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターDNAメチル化  O6-methylguanine–DNA methyltransferase (MGMT) promoter DNA methylation
テモゾロミドdose-dense(高用量)療法  Dose-dense temozolomide
初発膠芽腫におけるベバシズマブ Bevacizumab in newly diagnosed glioblastoma
◇乏突起膠細胞系腫瘍 Oligodendroglial Tumors
乏突起膠腫 Oligodendrogliomas
退形成性乏突起膠腫  Anaplastic oligodendrogliomas
◇混合神経膠腫 Mixed Gliomas
◇上衣系腫瘍Ependymal Tumors
悪性度[グレード]IおよびIIの上衣系腫瘍  Grade I and II ependymal tumors
退形成性上衣腫 Anaplastic ependymomas
◇胎児性腫瘍 :髄芽腫 Embryonal Cell Tumors: Medulloblastomas
◇松果体実質腫瘍 Pineal Parenchymal Tumors
◇髄膜腫瘍 Meningeal Tumors
悪性度[グレード]Iの髄膜腫  Grade I meningiomas
悪性度[グレード]IIおよびIIIの髄膜腫および血管外皮腫 Grade II and III  meningiomas and hemangiopericytomas
◇胚細胞腫瘍 Germ Cell Tumors
◇トルコ鞍部の腫瘍 :頭蓋咽頭腫  Tumors of the Sellar Region: Craniopharyngiomas
◇現在の臨床試験Current Clinical Trials

 

◇脳幹部神経膠腫

治療の標準的な選択肢 :

・放射線療法
脳幹部神経膠腫患者の予後は比較的不良で、組織像(生検が実施された場合)、発生部位、進展の範囲に関連する。複数の研究によると、これまで、こうした患者の全生存期間の中央値は44~74週間であった。

現在の臨床試験

脳幹部神経膠腫の成人(adult brain stem glioma)患者を現在受け入れている癌臨床試験については、NCIのリストから米国内の臨床試験を参照のこと。臨床試験のリストでは、発生部位、薬剤、介入法、他の基準による絞り込みがさらに可能である。

臨床試験に関する一般情報はNCIウェブサイト(NCI Web site)からも入手できる。


◇松果体星細胞系腫瘍

治療の標準的な選択肢:

  1. 手術+放射線療法(毛様細胞性またはびまん性星細胞腫)
  2. 手術+放射線療法+化学療法(高悪性度腫瘍)

退形成の度合によって、松果体星細胞腫患者の予後は異なり、悪性度が高いほど予後は悪化する。


◇毛様細胞性星細胞腫

治療の標準的な選択肢:

  1. 手術のみ(腫瘍がすべて切除可能な場合)
  2. 手術後に放射線療法(腫瘍の残存が明らかであるか、疑われる場合)

この星細胞系腫瘍は世界保健機構(WHO)悪性度[グレード]Iに分類されており、治癒する可能性が高い。


◇びまん性星細胞腫(WHO悪性度[グレード]II)

治療の標準的な選択肢:

 Ÿ・手術+放射線療法、ただしこれには異論も存在する。患者が35歳未満でCTスキャンによって腫瘍の造影効果が認められない場合は手術のみとする立場がある[1]。

このWHO悪性度[グレード]IIの星細胞系腫瘍は毛様細胞性星細胞腫よりも治癒する可能性が低い。


◇退形成性星細胞腫(WHO悪性度[グレード]III)

治療の標準的な選択肢:

  1. 手術+放射線療法
  2. 手術+放射線療法+化学療法

標準的な局所療法では、退形成性星細胞腫(WHO悪性度[グレード]III)患者の治癒率は低い。 退形成性星細胞腫は全中枢神経系膠腫の10%未満であるため、退形成性星細胞腫患者に限定して第III相ランダム化臨床試験を実施するには無理がある。しかしこの腫瘍はしばしば浸潤性で悪性度が高いため、膠芽腫と同一の治療をされることが多い。つまり手術+放射線療法に化学療法をよく併用するが、膠芽腫での化学療法による生存率向上を、退形成性星細胞腫に外挿できるかどうかは不明である。

退形成性神経膠腫患者(星細胞腫患者144人、乏突起星細胞腫患者91人、乏突起膠腫患者39人)を対象に、腫瘍が進行した時点で治療法を変える[クロスオーバーする]方法で、術後放射線療法単独群と術後化学療法単独群の比較が行われた。このうち139人の患者が術後放射線療法群に、135人がプロカルバジン[procarbazine]+ロムスチン[lomustine]+ビンクリスチン[vincristine]のPCV療法群またはテモゾロミド[temozolomide]の単独療法群(術後化学療法単独群、双方の治療期間32週間)のいずれかにランダムに割り付けられた(ランダム化比2:1:1)。治療成功期間(TTE)または全生存率(OS)に、クロスオーバーによる影響は認められなかった[2][エビデンスレベル:1iiA および 1iiD]。 治療成功期間および全生存率に治療群間差はなかった。

退形成性星細胞腫の患者は、標準療法に新しい治療法を併用することによって局所制御を改善するようデザインされた臨床試験において、有力な参加候補である。現在実施中の臨床試験に関する情報はNCIウェブサイト(NCI Web site)で入手できる。


◇膠芽腫

膠芽腫と新たに診断された患者での、治療の標準的な選択肢:

  1. 手術+放射線療法
  2. 手術+放射線療法+化学療法
  3. 初回手術におけるカルムスチン[carmustine]注入ポリマー埋植
  4. 放射線療法および化学療法の同時併用

新たに膠芽腫と診断された患者の標準治療では、手術後に放射線療法とテモゾロミドの連日投与が同時併用され、その後テモゾロミドが6サイクル投与される。この標準治療は、欧州癌研究治療機関[European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)]およびカナダ国立癌研究所[National Cancer Institute of Canada(NCIC)]によって実施された大規模・多施設共同・ランダム化試験(NCT00006353)に基づいている。この試験で、放射線療法単独群と比較して、放射線療法とテモゾロミドの同時併用群の方で、生存期間が長かったことが報告された[3,4](エビデンスレベル:1iiA)[Level of evidence: 1iiA]。この試験において、膠芽腫患者573人が、大きさ2~3 cmの腫瘍に対し標準的放射線療法(60 Gy、1回毎に2Gy、6週間)のみを受ける群、またはテモゾロミド投与を併用(放射線療法中に75 mg/m2/日で最大49日間経口投与して4週間休薬、その後28日毎の1日1回5日間(5日間の連日投与)を1サイクルとして、1回用量150 mg/m2を最大6サイクル投与する。ただし第1サイクル終了以降は用量を200 mg/m2まで漸増する)する群に割り付けられた。併用治療群の患者には、放射線療法とテモゾロミド投与の併用期間中にニューモシスティス・カリニに対する予防療法が実施された。全生存率は放射線療法とテモゾロミドの併用群で統計学的に有意な上昇が認められた(ハザード比[HR]death、0.6;95%信頼区間[CI]、0.5~0.7;3年全生存率 16.0%対4.4%)。

O6-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)ブロモーターDNAメチル化

欧州癌研究治療機関-カナダ国立癌研究所の試験に附随する分子遺伝学的な因子の関連性に関するサブセット解析から、MGMT DNA修復遺伝子が、プロモーター領域のDNAメチル化によってエピジェネティックに抑制されると、初発膠芽腫患者の全生存率が上昇するという強力なエビデンスが提供された[5]。 MGMTプロモーター領域メチル化は独立した予後良好因子である(P <0.001[log-rank検定];HR、0.45;95%CI、0.32~0.61)。MGMTメチル化患者において、全生存期間の中央値は18.2カ月(95%CI、15.5~22.0)であったのに対しMGMT非メチル化患者では12.2カ月(95%CI、11.4~13.5)であった。

テモゾロミドのdose-dense(高用量) 療法

MGMT DNA修復の活性化はアルキル化薬剤抵抗性の主要機序と推定され、 MGMTを細胞内から枯渇させることは治療効果を増強させることになると仮定されてきた。またテモゾロミドの長期投与で、末梢血単核球の細胞内MGMTが枯渇することが明らかになっている。膠芽腫と新たに診断された患者において、テモゾロミドの長期投与が治療効果を増強するかどうかを検討するために、米国腫瘍放射線治療グループ[Radiation Therapy Oncology Group(RTOG)]、欧州癌研究治療機関および北米中央癌治療グループ[North Central Cancer Therapy Group]によって実施された多施設共同・ランダム化・第III相試験 RTOG 0525 (NCT00304031)では、テモゾロミドの標準的補助療法(1サイクル28日で第1日~第5日まで投与)とdose-dense(1サイクル28日で第1日~第21日まで投与)療法が比較された。最初に患者は全員、術後放射線療法とテモゾロミド連日投与の同時併用療法を受けた。続いて患者は、テモゾロミドの標準的補助療法群またはテモゾロミドのdose-dese療法群のいずれかに、ランダムに割り付けられた[6](エビデンスレベル;1iiA)[Level of evidence: 1iiA]。

ランダムに割り付けられた患者833人において、テモゾロミドの標準的療法または dose-dense療法で認められた全生存期間の中央値(テモゾロミド標準的療法の16,6カ月対テモゾロミドdose-dense療法の14.9カ月;HR、1.03;P=0.63)あるいは無増悪生存期間の中央値(PFS)(5.5カ月対6.7カ月;HR、0.87;P = 0.06)に、群間の統計学的有意差は認められなかった。ランダムに割り付けられた患者の86%でMGMTの状態が確認されたが、MGMTメチル化サブセットまたはMGMT非メチル化サブセットいずれにおいても、影響の違いは認められなかった。しかし、本試験で、全生存期間の中央値がメチル化患者の21.2カ月(95%CI、17.9~24.8)に対し非メチル化患者の14カ月(95%CI、12.9~14.7)(HR、1.74; P <0.001)であったことから、MGMTメチル化の予後に対する強い影響が確認された。

要約すると、初発膠芽腫患者において、MGMT状態の如何に関わらず、テモゾロミドのdose-dense療法群が標準的用量療法群に対して、生存期間に関する利点を示すことはなかった。しかし、再発膠芽腫患者におけるテモゾロミドdose-dense療法の効果についてはまだ検討の余地がある。

初発膠芽腫におけるベバシズマブ(bevacizumab)

新たに膠芽腫と診断された患者を対象に、ベバシズマブについて検討した多施設共同第III相ランダム化二重盲検プ ラセボ対照方式の2つの試験、RTOG 0825 (NCT00884741)およびロシュ社主導のAVAglio (NCT00943826)の最終データが2013年に報告された[7,8](エビデンスレベル:1iA)[Level of evidence: 1iA]。 両試験の患者は標準療法(テモゾロミドを用いた放射線化学療法)を受ける群または標準療法+ベバシズマブ療法を受ける群にランダムに割り付けられた。全生存期間および無増悪生存期間は両試験の共主要エンドポイントであったが、これらは両試験で同等であった。両試験においてベバシズマブによる全生存期間の改善はみられなかった(両試験各群の生存期間中央値は16~17カ月であった)。しかし無増悪生存期間中央値は両試験で同程度の延長がみられた(AVAglio 試験: 10.6 対6.2 カ月; HR、 0.64; P <0.0001; RTOG 0825 試験: 10.7 対 7.3 カ月; HR、 0.79; P = 0.007)。 AVAglio 試験におけるこの無増悪生存期間の成績は統計学的に有意であり臨床的有益性を伴っていた。つまりベバシズマブで治療した患者では、機能上の独立(介護不要)を保った期間がより延長し(9.0カ月対6.0カ月)、カルノフスキー・パフォーマンス尺度に低下が生じるまでの期間が延長したのである(HR、0.65; P <0.0001)。さらにベバシズマズで治療した患者において、コルチコステロイド投与開始までの期間が長くなっており(12.3対3.7カ月; HR、0.71; P = 0.002)、コルチコステロイドを既に服用していた患者では、その服用を中止できる患者の割合が高かった(66%対47%)。しかし一方、RTOG 0825試験における無増悪生存期間の成績は事前に設定した有意水準に到達しなかった(P = 0.004)。

注意すべき点として、両試験において著しいクロスオーバーが存在したことが挙げられる(RTOG 0825試験の患者の約40%およびAVAglio 試験の患者の約30%が疾患進行の徴候初回発現時にベバシズマブによる治療を受けた)。

両試験の結果には、健康に関する生活の質(HRQoL)および神経認知機能の点で矛盾が認められた。AVAglio試験における全患者対象のHRQoL 調査ではベバシズマブで治療された患者にHRQoLの改善がみられた。しかしRTOG 0825試験における一定の患者を対象とした調査では、ベバシズマフで治療された患者が報告したHRQoLおよび神経認知機能は、対照群より低下していた。このような相違が生じた理由は判明していない。

これらの結果に基づけば、標準治療+ベバシズマブ投与が、初発膠芽腫患者全員に対して有益性があると確定することはできない。しかし、特定の患者で、ベバジズマブとの併用から有益性を得ることが可能であるかどうかについては検討の余地が残る。

膠芽腫(WHO悪性度[グレード]IV)の患者では、標準的局所療法による治癒率は極めて低い。こうした患者は、標準治療に新しい治療法を併用して局所制御を改善するようデザインされた臨床試験において、有力な参加候補である。現在実施中の臨床試験についての情報はNCIウェブサイト(NCI Web site)。


◇乏突起膠細胞系腫瘍

・乏突起膠腫

治療の標準的選択肢:

手術+放射線療法 ; ただし放射線療法の時期に関して見解の相違が存在する。手術を受けた患者300人を、放射線療法群または経過観察・待機群にランダムに割り付けたある試験(EORTC-22845)の結果では、全生存率に群間差はみられなかった[9](エビデンスレベル:1iiA)[Level of evidence: 1iiA]。

乏突起膠腫(WHO悪性度[グレード]II)患者の予後は一般的にびまん性星細胞腫患者の予後より良好であるが、乏突起膠腫のほとんどは最終的に進行する。

・退形成性乏突起膠腫

治療の標準的選択肢:

  1. 手術+放射線療法
  2. 手術+放射線療法+化学療法[10]
  3. 1pおよび19qの欠失が認められる患者は、PCV化学療法に対して平均より高い奏効率を示す。

欧州癌研究治療機関(EORTC)の脳腫瘍グループの第III相・ランダム化試験(追跡調査期間11.7年)Brain Tumor Group Study 26951 (NCT00002840)の最終結果から、放射線療法後にPCVの補助化学療法を6サイクル受けた退形成性乏突起膠腫患者は、放射線療法のみを受けた患者と比較して全生存期間および無増悪生存期間が延長することが明らかになった[11]。全生存期間は、放射線療法+PCV群の方で有意に長かった(42.3カ月対30.6カ月;ハザード比[HR]、0.75;95%信頼区間[CI]、0.60~0.95)。 また1p/19q同時欠失腫瘍に対するPCV補助化学療法の効果は、1p/19q非欠失腫瘍に対する効果を上回った[11](エビデンスレベル:1iiA)[Level of evidence: 1iiA]。

前述の試験とは対照的だったのが米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)の試験 (RTOG-9402 [NCT00002569]) で、8週間の高用量PCV化学療法直後に病変部領域への放射線療法を追加した群と放射線療法単独群の生存期間の中央値には、群間差が認められないことが示された[12]。しかし計画になかったサブグループ解析によると、欠失が認められない腫瘍患者の場合は、生存期間の中央値に群間差は認められなかった (2.6 対 2.7 年;HR、0.85;95% CI、0.58~1.23;P = 0.39)[12](エビデンスレベル:1iiA)[Level of evidence: 1iiA]が、退形成性乏突起膠腫・退形成性星細胞腫乏突起膠腫混合腫瘍に1p/19q欠失が認められる患者では、生存期間の中央値が14.7年対7.3年(HR、0.59;95%CI、0.37~0.95;P = 0.03)となることが明らかになった。

これらのデータに基づいて、放射線単独療法は、1p/19qに同時欠失が認められる退形成性乏突起膠腫患者に対する適切な治療法とは考えられなくなった。そのため患者を放射線単独療法群(対照群)、放射線療法+テモゾロミド投与群およびテモゾロミド単独投与群(試験群)にランダムに割り付けたCODELと称される試験が中断となった[13]。退形成性乏突起膠腫におけるテモゾロミドとPCV化学療法間の比較は実施されていないが、グレード3の退形成性神経膠腫に対するPCV化学療法とテモゾロミド投与では生存期間に差は認められていない[2,14]。

退形成性乏突起膠腫(WHO悪性度[グレード]III)患者では、標準局所療法による治癒率は低いが、その予後は一般的に退形成性星細胞腫患者の予後より良好である。 退形成性乏突起膠腫は稀な疾患であるため、この患者に限定した第III相ランダム化試験を実施するには無理がある。この腫瘍の患者は概ね下記の治療法で管理される。

Ÿ  ・術後放射線療法(PORT)と進行時の化学療法
Ÿ  ・術後化学療法と進行時の放射線療法

Ÿ術後放射線療法+化学療法 ただし、放射線療法+化学療法いわゆる併用による成績が逐次療法より優れているかどうかは判明していない。

腫瘍の進行時には他の治療法にクロスオーバーする方式で、退形成性神経膠腫患者(星細胞腫患者144人、乏突起星細胞腫患者91人、乏突起膠腫患者39人)における術後放射線単独療法と単独の術後化学療法が比較された。このうち139人の患者が放射線療法群に、135人がPCVまたはテモゾロミド単剤いずれかの36週間化学療法群にランダムに割り付けられた(ランダム化比2:1:1)。治療成功期間および全生存期間にクロスオーバー起因の影響は認められなかった。[2][エビデンスレベル: 1iiA および 1iiD]。治療成功期間および全生存期間に群間差はみられなかった。

これらの患者は、新しい治療法を併用することで局所制御を改善するようデザインされた臨床試験にとって、有力な参加候補者である。現在進行中の臨床試験に関する情報を、NCIウェブサイト(NCI Web site)から入手することができる。


◇混合神経膠腫

治療の標準的選択肢:

  1. 手術+放射線療法
  2. 手術+放射線療法+化学療法

混合神経膠腫には、乏突起星細胞腫(WHO悪性度[グレード]II)および退形成性乏突起星細胞腫(WHO悪性度[グレード]III)が含まれ、それら患者の予後は悪性度[グレード]が一致する星細胞腫患者の予後と同等であり、同じ治療を行うことが多い。


◇上衣系腫瘍

悪性度[グレード]IおよびIIの上衣系腫瘍

治療の標準的選択肢:

  1. 手術のみ(腫瘍すべてが切除可能な場合)
  2. 手術およびその後の放射線療法(残存腫瘍の存在がわかっているか疑われる場合)

上衣腫(WHO悪性度[グレード]II)およびWHO悪性度[グレード]Iの上衣系腫瘍、すなわち上衣下腫および粘液乳頭状上衣腫は治癒可能であることが多い。


◇退形成性上衣腫

治療の標準的選択肢:

・手術+放射線療法[15]

退形成性上衣腫(WHO[グレードIII])患者の予後は多様であり、発現部位および広がりに左右される。例外はあるが、一般的に退形成性上衣腫患者では、それより低悪性度[低グレード]の上衣腫患者より予後が不良である。


◇胎児性腫瘍:髄芽腫

 治療の標準的選択肢:

・手術+全脳脊髄放射線療法(低リスク[good-risk]患者の場合)[16]

臨床評価中の治療選択肢:

Ÿ ・高リスク[poor-risk]患者のために、現在、手術+全脳脊髄放射線療法+種々の化学療法方式が検討されている[16]。

髄芽腫は主に小児で発生するが、ある程度の頻度で成人にも発現する。[17] その他の胎児性腫瘍は小児科疾患に分類される(詳細な情報については、小児中枢神経系胎児性腫瘍の治療(Childhood Central Nervous System Embryonal Tumors Treatment)の、PDQ要約を参照のこと)。


◇松果体実質腫瘍

治療の標準選択肢:

  1. 手術+放射線療法(松果体細胞腫)
  2. 手術+放射線療法+化学療法(松果体芽腫)

松果体細胞腫(WHO悪性度[グレード]II)、松果体芽腫(WHO悪性度[グレード]IV)および中間分化型松果体実質腫瘍は病態が多様であり特別の注意を必要とする。 松果体細胞腫の増殖速度は遅く、患者の予後は多様となる。松果体芽腫の増殖速度はより急速となり、患者の予後は不良である。中間分化型松果体実質腫瘍の増殖および臨床的挙動については予測不可能である。


◇髄膜腫瘍

悪性度[グレード]Iの髄膜腫

治療の標準的選択肢:

  1. すぐには治療を行わず、能動的な監視下に置く(特に、偶然に発見された無症候性腫瘍の場合)[18,19]
  2. 手術
  3. 定位放射線照射(3 cm未満の腫瘍の場合)
  4. 手術+放射線療法(腫瘍残存が明確であるか疑われる、以前の手術後に再燃したなど一定の条件を満たす症例の場合)
  5. 分割照射療法(切除不能な腫瘍の場合)[20]

WHO悪性度[グレード]Iの髄膜腫は、切除可能であれば通常治癒可能となる。高感度の神経画像の普及に伴い、無症候性の低悪性度[低グレード]髄膜腫の検出率が高くなってきている。それらの大半の増殖速度は極めて低いと考えられており、腫瘍が増殖するか症状が現れるまで治療を延期しても、腫瘍の経過を安全に観察できることが多い[18,19]。

悪性度[グレード]IIおよびIIIの髄膜腫および血管外皮腫

治療の標準的選択肢:

Ÿ   ・手術+放射線療法

WHO悪性度[グレード]IIの髄膜腫 (非定型、明細胞性、脊索腫様)、WHO悪性度[グレード]IIIの髄膜腫(退形成性/悪性、ラブドイド、乳頭状)および血管外皮腫患者では、完全切除が可能になることはグレードⅠの髄膜腫よりも少なく腫瘍の増殖能は高い。そのため、低悪性度[低グレード]の髄膜腫患者よりも予後が不良となる。


◇胚細胞腫

ジャーミノーマ、胎児性癌、絨毛癌、奇形腫などの胚細胞腫患者の予後と治療は、腫瘍の組織像、発生部位、バイオマーカーの有無および量、外科的切除可能性に左右される。


トルコ鞍部の腫瘍:頭蓋咽頭腫

治療の標準的選択肢:

  1. 手術のみ(腫瘍の全摘術が可能な場合)
  2. 腫瘍減量手術+放射線療法(全摘術が不可能である場合)

頭蓋咽頭腫(WHO悪性度[グレード]I)は治癒可能であることが多い。


◇現在の臨床試験

成人脳腫瘍(adult brain tumor)患者を現在受け入れている癌臨床試験については、NCIのリストから米国臨床試験を参照のこと。この臨床試験リストから、発生部位、薬剤、介入法、その他の基準など条件をさらに絞り込むことができる。

臨床試験についての一般的な情報はNCIウェブサイト(NCI Web site)からも入手可能である。

参考文献

  1. Kaye AH, Walker DG: Low grade astrocytomas: controversies in management. J Clin Neurosci 7 (6): 475-83, 2000.  [PUBMED Abstract]
  2. Wick W, Hartmann C, Engel C, et al.: NOA-04 randomized phase III trial of sequential radiochemotherapy of anaplastic glioma with procarbazine, lomustine, and vincristine or temozolomide. J Clin Oncol 27 (35): 5874-80, 2009.  [PUBMED Abstract]
  3. Stupp R, Mason WP, van den Bent MJ, et al.: Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma. N Engl J Med 352 (10): 987-96, 2005.  [PUBMED Abstract]
  4. Stupp R, Hegi ME, Mason WP, et al.: Effects of radiotherapy with concomitant and adjuvant temozolomide versus radiotherapy alone on survival in glioblastoma in a randomised phase III study: 5-year analysis of the EORTC-NCIC trial. Lancet Oncol 10 (5): 459-66, 2009.  [PUBMED Abstract]
  5. Hegi ME, Diserens AC, Gorlia T, et al.: MGMT gene silencing and benefit from temozolomide in glioblastoma. N Engl J Med 352 (10): 997-1003, 2005.  [PUBMED Abstract]
  6. Gilbert MR, Wang M, Aldape KD, et al.: Dose-dense temozolomide for newly diagnosed glioblastoma: a randomized phase III clinical trial. J Clin Oncol 31 (32): 4085-91, 2013.  [PUBMED Abstract]
  7. Gilbert MR, Dignam JJ, Armstrong TS, et al.: A randomized trial of bevacizumab for newly diagnosed glioblastoma. N Engl J Med 370 (8): 699-708, 2014.  [PUBMED Abstract]
  8. Chinot OL, Wick W, Mason W, et al.: Bevacizumab plus radiotherapy-temozolomide for newly diagnosed glioblastoma. N Engl J Med 370 (8): 709-22, 2014.  [PUBMED Abstract]
  9. van den Bent MJ, Afra D, de Witte O, et al.: Long-term efficacy of early versus delayed radiotherapy for low-grade astrocytoma and oligodendroglioma in adults: the EORTC 22845 randomised trial. Lancet 366 (9490): 985-90, 2005.  [PUBMED Abstract]
  10. van den Bent MJ, Chinot O, Boogerd W, et al.: Second-line chemotherapy with temozolomide in recurrent oligodendroglioma after PCV (procarbazine, lomustine and vincristine) chemotherapy: EORTC Brain Tumor Group phase II study 26972. Ann Oncol 14 (4): 599-602, 2003.  [PUBMED Abstract]
  11. van den Bent MJ, Brandes AA, Taphoorn MJ, et al.: Adjuvant procarbazine, lomustine, and vincristine chemotherapy in newly diagnosed anaplastic oligodendroglioma: long-term follow-up of EORTC brain tumor group study 26951. J Clin Oncol 31 (3): 344-50, 2013.  [PUBMED Abstract]
  12. Cairncross G, Wang M, Shaw E, et al.: Phase III trial of chemoradiotherapy for anaplastic oligodendroglioma: long-term results of RTOG 9402. J Clin Oncol 31 (3): 337-43, 2013.  [PUBMED Abstract]
  13. Gilbert MR: Minding the Ps and Qs: perseverance and quality studies lead to major advances in patients with anaplastic oligodendroglioma. J Clin Oncol 31 (3): 299-300, 2013.  [PUBMED Abstract]
  14. Brada M, Stenning S, Gabe R, et al.: Temozolomide versus procarbazine, lomustine, and vincristine in recurrent high-grade glioma. J Clin Oncol 28 (30): 4601-8, 2010.  [PUBMED Abstract]
  15. Oya N, Shibamoto Y, Nagata Y, et al.: Postoperative radiotherapy for intracranial ependymoma: analysis of prognostic factors and patterns of failure. J Neurooncol 56 (1): 87-94, 2002.  [PUBMED Abstract]
  16. Brandes AA, Franceschi E, Tosoni A, et al.: Long-term results of a prospective study on the treatment of medulloblastoma in adults. Cancer 110 (9): 2035-41, 2007.  [PUBMED Abstract]
  17. Brandes AA, Ermani M, Amista P, et al.: The treatment of adults with medulloblastoma: a prospective study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 57 (3): 755-61, 2003. [PUBMED Abstract]
  18. Nakamura M, Roser F, Michel J, et al.: The natural history of incidental meningiomas. Neurosurgery 53 (1): 62-70; discussion 70-1, 2003.  [PUBMED Abstract]
  19. Yano S, Kuratsu J; Kumamoto Brain Tumor Research Group.: Indications for surgery in patients with asymptomatic meningiomas based on an extensive experience. J Neurosurg 105 (4): 538-43, 2006.  [PUBMED Abstract]
  20. Debus J, Wuendrich M, Pirzkall A, et al.: High efficacy of fractionated stereotactic radiotherapy of large base-of-skull meningiomas: long-term results. J Clin Oncol 19 (15): 3547-53, 2001. [PUBMED Abstract]

 

******
緒方登志文 訳
西川亮(脳腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
******

原文

 

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4FDAがCAR-T 細胞療法Yescartaを成人大...
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  7. 7脊髄転移に対する組織内レーザー温熱療法
  8. 8乳がん治験薬エンドキシフェン、NCIの支援により研究...
  9. 9濾胞性リンパ腫治療の新時代
  10. 10コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward