低悪性度非ホジキンリンパ腫治療に期待の新薬(イデラリシブ)/フレッドハッチンソンがん研究センター | 海外がん医療情報リファレンス

低悪性度非ホジキンリンパ腫治療に期待の新薬(イデラリシブ)/フレッドハッチンソンがん研究センター

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低悪性度非ホジキンリンパ腫治療に期待の新薬(イデラリシブ)/フレッドハッチンソンがん研究センター

FDA承認申請中のidelalisib(イデラリシブ)が年内にも発売の見通し

2014年1月22日シアトル―低悪性度の非ホジキンリンパ腫とは、進行は遅いがほぼすべての患者が再発を繰り返し、薬物耐性により抗がん剤が効きにくくなる難治性疾患である。

そのような中、シアトルを拠点とするGilead Sciences Inc.社が開発する新薬がこの疾病と闘う有望な治療となりうるとの研究が、3月13日発行の New England Journal of Medicine誌に先駆け、本日付の同紙電子版にて掲載された。

実施した第2相試験では、低悪性度非ホジキンリンパ腫患者のうち従来の治療法による効果が見られなかった、または治療後6カ月以内に再発した33-87歳の患者125人(シアトル在住者、米国および欧州在住者)を対象に、ホスホイノシチド3キナーゼ(Pl3K)デルタを阻害する高選択的経口薬であるイデラリシブを1日2回投与した。Pl3kとはB細胞性腫瘍の多くに見られる酵素の一種である。

イデラリシブ投与後、57%の患者で腫瘍の大きさが半分以下にまで縮小し、6%でがんの測定可能病変が見られなくなった。

「現在の標準治療をすべてやり尽くした患者さんが試せる効果的な治療法はほとんど残されていませんでした。そのような患者さんにもこれだけの効果が表れたのです」と、本研究の筆頭著者および責任著者で、フレッドハッチンソンがん研究センター臨床研究部員のAjay Gopal医師は言う。

低悪性度非ホジキンリンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL)全体の3分の1を占めており、2012年の米国ではおよそ20,000人が診断され、7,000人が死亡している。この疾患の標準治療はB細胞に発現したたんぱく質CD20を標的にしたリツキシマブと化学療法による併用療法である。

治療開始当初は従来の併存療法で効果が見られたとしても、低悪性度の場合は時間の経過とともに再発を来し、感染症、骨髄機能不全等の重篤な合併症を引き起こす場合もある。また、化学療法による毒性作用とは異なり、臨床試験中最も多く見られたイデラリシブの副作用は下痢で、少数の患者が大腸炎を発症したが多くは投与量を調節することで対処できた。

Gilead Sciences社より資金提供を受けたNEJM誌の論文には、米国および欧州の17機関からの共同著者が参加した。米国食品医薬品局(FDA)は1月初旬、審査のためにイデラリシブを受理、また、同日のNEJM誌に載った別の臨床試験結果に基づき、再発慢性リンパ性白血病(CLL)治療のための「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」に指定したと、本日付の同紙で報じられた。ハッチンソンがん研究センター臨床研究部門のJohn Pagel医師はその論文の共同著者である。

非ホジキンリンパ腫のプロトコル作成に携わり、多くの患者の治療に当たってきたGopal氏は、イデラリシブが根治治療薬となることは考えにくいが、長期にわたってこの病気と付き合っていくのに有効な治療薬として大いに期待されており、非常に有益であると考えている。

「これは興味深い薬になると思う」と彼は言った。

ワシントン大学にて医学部準教授およびシアトル癌ケア連合の血液学臨床研究ディレクターも務める Gopal氏は、FDAの審査次第でイデラリシブは年内にも臨床治療薬として認可される可能性があり、このような薬は、がんの治療に標的を絞っており、毒性の少ない方法の代表的なものだろうと言う。

Gopal氏は「化学療法はもはや切れ味の悪い鈍器のような存在。そのような中、イデラリシブは特異的な治療薬と言えます」と言う。

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今泉眞希子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
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原文

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