[ 記事 ]

2011/04/05号◆特別リポート「閉経期エストロゲン補充療法の利益とリスクは年齢により異なることがWHIの解析から示唆」

  • 2011年5月17日

    同号原文

    NCI Cancer Bulletin2011年4月5日号(Volume 8 / Number 7)

    日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

    PDFはこちらからpicture_as_pdf

    ____________________

    ◇◆◇ 特別リポート ◇◆◇

    閉経期エストロゲン補充療法の利益とリスクは年齢により異なることがWHIの解析から示唆

    女性の健康イニシアティブ(WHI)による長期追跡調査のデータから、閉経に伴う症状や症状を治療するためのホルモン補充療法について利益および乳癌リスクを含むリスクに関する重要な新情報が得られた。結果は4月5日付JAMA誌に発表された。

    この試験によると、全体として、子宮摘出術を受けた閉経後女性の中で結合型ウマエストロゲン単独投与を平均6年間受けた女性に対する死亡、冠動脈性心疾患、大腸癌および股関節骨折あるいはその他の重篤な健康問題のリスクにおける影響は、プラセボ治療と比較して少ないかまたはゼロであることがわかった。エストロゲン単独治療は、乳癌リスクの統計学的有意な減少と関連していた。

    「年齢群および子宮摘出を受けているか受けていないかにより『エストロゲン単独治療』の結果は大きく異なる」とDr. Andrea LaCroix氏。

    しかし、エストロゲンの影響は年齢により目立った相違がいくつかあった。エストロゲン補充療法によって50代の女性の心疾患および死亡リスクが低下したが、70代の女性ではこれらのリスクが目立って上昇した。対照的に、エストロゲン投与に関連する乳癌リスクの低下は年齢に関係なく見られた。

    1993年に開始されたWHIのエストロゲン単独臨床試験では50歳から79歳までの女性10,739人(全員が閉経後で子宮摘出術を受けていた)がランダム化割付けされ、毎日エストロゲンまたはプラセボが投与された。エストロゲン投与の女性で卒中と血栓のリスクが高まったため試験は2004年に中止された。試験参加者のほぼ80%が試験中止後もモニターされることに同意した。もっとも新しい解析では試験参加者のほぼ11年にわたる追跡調査が含まれている。

    この試験結果で「エストロゲンは多臓器系に影響を及ぼし多くの疾患リスクを変化させる」という概念が強化された、と試験の臨床試験責任医師でシアトルのフレッドハッチンソン癌研究センターのLaCroix氏は述べた。「年齢群と子宮摘出を受けているかいないかにより『エストロゲン単独療法』の結果は大きく異なります」と同氏。

    患者が実際に治療を受けていた時に見られた卒中や血栓のリスクの上昇は、治療をやめた後見られなくなったと試験の著者は指摘した。

    この解析は現在進行中の大規模な試みにおける直近の情報で、癌のリスクや死亡に対する影響といった閉経期ホルモン補充療法のリスクとベネフィットをより決定的に確立するためのものである。例えばWHIによる先の試験では、エストロゲンとプロゲスチン併用療法は関連づけられている

    乳癌リスクに関しては、WHIのエストロゲン単独臨床試験のこの結果は、子宮摘出術を受けたことのある若い閉経後女性がエストロゲン補充療法を受ける場合または検討する場合に再確認する機会を与えるだろうとFord氏は考える。「若い女性にとってできるだけ短い期間、最低用量のエストロゲンを使用する現在のガイドラインに従う方が安心できるでしょう」と同氏は述べた。

    しかし、Ford氏、LaCroix氏ともに、年配の女性にとっては、いかなる種類の閉経期ホルモン補充療法で得られうる利益もリスクを上回ることはないという点で合意した。

    「われわれが得たデータは、年配女性におけるホルモン補充療法の利用は危険である可能性があることを明確に示している」とLaCroix氏は述べた。

    —Carmen Phillips

    ******

    西川 百代 訳

    林 正樹(血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修

    ******

    【免責事項】

    当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
    翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

    関連記事