Idelalisibとリツキシマブの併用で再発慢性リンパ性白血病(CLL)患者の生存が改善/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

Idelalisibとリツキシマブの併用で再発慢性リンパ性白血病(CLL)患者の生存が改善/NCI臨床試験結果

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Idelalisibとリツキシマブの併用で再発慢性リンパ性白血病(CLL)患者の生存が改善/NCI臨床試験結果

2014年3月12日掲載

要約

国際ランダム化二重盲検第3相臨床試験において、リツキシマブ(リツキサン)に併用して治験薬idelalisib(イデラリシブ)を投与された再発慢性リンパ性白血病(CLL)患者群は、プラセボ投与群に比較して、疾患が進行することなく事実上生存期間が延長しました。

イデラリシブとリツキシマブを併用した患者群では、全生存期間も改善しました。治療開始から12カ月時点での生存率や腫瘍の縮小の程度について、イデラリシブとリツキシマブ併用群は、プラセボとリツキシマブ併用群の治療成績を上回りました。

出典

2014年1月22日New England Journal of Medicine誌(NEJM)(論文抄録参照)

背景

成人の白血病患者に占める CLLの割合は最も多く、ほとんどの場合、高齢者で診断されます。CLL患者では、正常よりも多い異常な白血球(リンパ球)が生成されます。疾患の進行に伴って、これらの異常なリンパ球の増殖は制御困難となり、血液、骨髄、リンパ節や脾臓に浸潤し、正常の細胞にとって代わることになります。

CLLは緩徐に進行することが多い疾患です。早期と診断された患者については、仮にあったとしてもほとんど症状がなく、治療を必要とする病状の進行に対応するため、定期的にモニタリングされます。症状が現れるまで進行したCLL患者は、通常、化学療法にモノクローナル抗体と呼ばれる薬剤を併用した治療が行われます。この薬剤はBリンパ球の表面にのみ見られるタンパク質であるCD20を標的としています。

化学療法を受ける患者のほとんどが、治療終了後にがんの再発を経験しますが、再発または難治性CLL患者では治療の選択肢が限られます。特に高齢の患者やがん以外に健康上の問題を抱える患者においては顕著です。初回治療によって引き起こされた骨髄への影響、感染症、および他の臓器へのダメージといった重篤な副作用によって、化学療法を安全に受けられない患者が多いからです。CD20を標的とする治療薬であるリツキシマブは、そうした患者が再発した際の治療に頻繁に使われてきました。しかしながら、多くの場合、治療効果は持続しません。

イデラリシブは、CLLにおいてB細胞の増殖および生存を促進するシグナル伝達経路において重要な役割を果たしているPI3Kと呼ばれるタンパク質の一種を阻害します。早期臨床試験では、単剤またはリツキシマブなどのその他の薬剤との併用で、イデラリシブが再発CLLに有効である可能性が示唆されています。

試験

本試験では、併存疾患がある、腎機能が低下している、あるいは以前受けた化学療法による骨髄機能低下のために細胞毒性のある治療を受けられない再発CLL患者220人を対象に、イデラリシブとリツキシマブの併用またはプラセボとリツキシマブの併用のいずれかをランダムに割り付けました。この二重盲検試験の主要エンドポイントは無増悪生存期間で、二次エンドポイントは全生存期間と全奏効率でした。

患者の大部分(78%)は65歳以上で、そのうち約3分の2が進行期CLLでした。患者の85%にCLL以外に少なくとも1つ、健康上の問題がありました。

ニューヨーク州Weill Cornell医科大学のRichard R. Furman医師が本試験を主導しました。イデラリシブを製造するギリアド・サイエンシズ社が、本試験に資金提供を行いました。

結果

経過観察24週で、プラセボ+リツキシマブ群では46%の患者が疾患が進行することなく生存していたのに対し、イデラリシブ+リツキシマブ群では93%でした。プラセボ群では53人の患者で疾患が進行していたのに対して、イデラリシブ群では12人でした。

無増悪生存期間中央値は、プラセボ群で5.5カ月でした。イデラリシブ群では、本試験の解析時に増悪生存期間の中央値を算出できませんでした。イデラリシブ群で疾患の進行した患者数があまりに少なかったためです。

本試験を監督した独立のデータ安全性モニタリング委員会は、イデラリシブを投与された患者の群で無増悪生存期間が大幅に改善されたことに基づき、試験を早期に終了させました。本試験でリツキシマブ+プラセボ群だった患者全員が、その後にイデラリシブ治療を受け始めました。

無増悪生存期間は、予後、年齢、性別に関連したCLL特性による分類を含め、患者サブグループ間で大きな差はありませんでした。

経過観察12カ月時点で、プラセボ群患者の80%が生存していたのに対し、イデラリシブ群患者では92%が生存していました。どちらの群も全生存期間中央値に達していませんでした(*全体の半数以上が生存)。

プラセボとリツキシマブを併用投与した患者の13%に部分寛解(PR)、つまり治療効果が見られたのに対し、イデラリシブとリツキシマブを併用投与された群ではほとんどの患者(81%)に治療効果が見られました。これらの差は両方とも統計的に有意なものでした。

発熱、疲労感、吐き気、および下痢などの有害事象の頻度と重症度は、両治療群間で類似していました。イデラリシブを投与された患者の44人(40%)と、プラセボを投与された患者の37人(35%)が、1つ以上の重篤な有害事象があったと報告しました。

「効果があったために本研究は早期に中止されたため、一般に遅発性の合併症である重症の下痢について、一部の患者の間でこれから発生する可能性があります」と、本研究の著者らは記述しています。

制限事項

「これまで報告された結果ではっきりと言い切れないことのひとつに、真にリツキシマブ不応性の患者とリツキシマブの効果を得られる患者との間で無増悪生存率に差があるかどうか、ということがあります」、とNCIのCancer Therapy Evaluation ProgramのRichard Little医師は述べています。「イデラリシブが無増悪期間や全生存期間を改善するかどうか、という本試験での主な疑問を考えたときに、先に述べた情報は本試験の結果を適用する場合に役立つでしょう。そして、治療計画を組む上でも重要な情報となるでしょう。今回の治療を適用後の疾患の進行が、ある患者特性と関連しているというのであれば、この情報は将来の研究のためだけでなく、治療方針の決定にもかかわってきます」と Little医師は付け加えました。

イデラリシブは、米国食品医薬品局(FDA)に、CLL治療薬としてまだ承認されていません。しかしながら2013年、FDAはイデラリシブをCLLの画期的な治療薬として指定しました。早期臨床エビデンスから治験薬が既存の治療薬を実質的に上回る効果をもつ可能性が示唆された場合、FDAは薬剤にこの指定を与えます。画期的な治療薬の指定は、FDAがこの薬剤の審査を迅速に行うつもりであることも意味します。

コメント

併存疾患を有する再発CLL患者は多くの場合、標準的な化学療法を受けることができず、多くの場合、臨床試験から除外されます。つまり、本試験の患者は通常、臨床診療で見られるCLL患者集団を代表しているのです、とFurman博士は説明し、「リツキシマブは、入手できる利用データによると、このような患者群で最も一般的に使用されている薬剤です」と続けました。

本試験で無増悪生存期間に大きな変化があったことを考えると、「全生存期間への効果に対しても大きな励みとなります。長期間の経過観察で、全生存期間がどうなるか調べることは注目に値します」、とLittle博士は指摘しました。

プラセボとリツキシマブの併用と比較して、イデラリシブをリツキシマブに追加することで、有害事象の割合が増加することはありませんでした。「全体的に毒性は十分対処可能なものでした」、とFurman博士は電子メールで書いていました。発疹や下痢のみが「イデラリシブに真に関係する可能性が高い」毒性です、と彼は付け加えました。

化学療法は短期的には有益ですが、「患者の長期予後に影響が出てしまう」骨髄不全や骨髄異形成症候群といった重篤な有害事象を引き起こすことがあります、とFurman博士は説明しました。よって、もしFDAに承認されれば、イデラリシブのような選択肢があることは重要です。「化学療法を避けることが患者にとって最も重要なことだ、というのが私の信念です」とFurman博士は述べました。

 

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井上陽子 訳
佐々木裕哉 (血液内科、血液病理/久留米大学病院) 監修
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原文

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