化学療法を受ける末期癌患者は、より侵襲的なケアを受け、病院で死亡する傾向/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

化学療法を受ける末期癌患者は、より侵襲的なケアを受け、病院で死亡する傾向/ダナファーバー癌研究所

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化学療法を受ける末期癌患者は、より侵襲的なケアを受け、病院で死亡する傾向/ダナファーバー癌研究所

2014年3月4日

進行癌患者に対する化学療法の施行に注意の必要性が研究で示唆される

死の直前の数カ月間に化学療法を受ける末期癌患者は、化学療法を受けない患者と比べ自らが望む場所で死を迎えることが少なく、より侵襲的な医療措置を受ける傾向にあるという研究結果が、今週のBMJ(British Medical Journal)誌に掲載された。この知見は、多くの癌患者が希望しているケア形態と、実際に受けているケアとの食い違いを浮き彫りにしている。また、終末期における緩和目的の化学療法について、医師、患者、家族間のより明確でバランスのとれた話し合いの必要性を強調していると、本研究の著者らは述べた。ダナファーバー癌研究所とワイルコーネル医科大学の研究者が実施した本研究は、余命6カ月以下と医師が判断した患者のうち、症状を緩和し生存期間を延ばすが治癒を目的とはしない緩和的化学療法を受けている人に関して、厳しい結果を示すものとなった。

緩和的化学療法を受けなかった患者の80%は自らが望む場所で死を迎えていたのに対し、緩和的化学療法を含む治療を受けていた患者のうち希望する場所で死を迎えたの人は68%しかいなかった。緩和的化学療法を受けなかった患者の66%近くは自宅で亡くなったが、緩和的化学療法を受けた患者では47%だった。また化学療法を受けた患者は、受けなかった患者と比較して集中治療室で死亡する率が高かった。前者が11%だったのに対し、化学療法を受けなかった後者は2%にとどまった。

「この結果は、緩和的化学療法を受けた患者には、より侵襲的な終末期ケアを受けるリスクがあり、腫瘍専門医が終末期に関する患者の希望を聞くことの重要性を浮き彫りにしています」と、本研究の主著者でダナファーバーの助教、腫瘍内科医のAlexi Wright医師は述べた。「われわれは患者にどこで、どのように死を迎えたいか尋ねるのを、患者が化学療法を止めるときまで待ってしまうことが多い。しかしこの研究は、死期に近づいた時に患者が希望するケアを確実に受けられるように、化学療法を施行しているあいだに尋ねる必要があることを示しています」。

「こうしたデータからは、末期の癌患者に対する緩和的化学療法にあまり肯定的な面は見出せません」と、統括著者でウェイル・コーネル医科大学のHolly Prigerson博士は述べた。「今まで、死の直前数カ月における緩和的化学療法の悪影響に関する証拠はありませんでした。この研究は負の転帰が起こりうることを具体的に示す証拠を提供する第一歩です。こうした悩ましい知見を確認するために、さらなる研究が必要です」。

本研究では、緩和的化学療法を受けている患者の方が、死期が近づいた時に受けたい治療、蘇生処置拒否のための指示、あるいは末期であることの告知などについて、腫瘍専門医と話すことが少なかったと同博士は話した。死亡する数カ月前に緩和的化学療法を受けていた患者が56%いたことから、本研究の知見は末期患者により侵襲的な化学療法を行う弊害の可能性や、大学病院での癌治療に対する広範な変革の必要性を浮き彫りにした。

研究者らは、連邦政府が資金提供しているCoping with Cancer(癌への対応)研究から386患者のデータを分析した。このCoping with Cancer研究は、末期患者とその介護者を、患者の死後まで追跡調査している。6年間の研究で、研究者らは心理的な要因が患者のケアにどのような影響を与えるかを調査した。患者が死亡した1カ月後、介護者に患者のケアに関して生活の質、および患者が希望する場所で死を迎えることができたかどうかを評価してもらった。その後、研究者らは患者のカルテを精査し死の直前の週に患者が受けていたケアを特定した。

患者の年齢や配偶者の有無、医療保険に加入していたかどうか、全体的な身体的、精神的状況、治療への希望といった特性を考慮しても、緩和的化学療法を受けた患者は、受けなかった患者と比較して、死を迎える最後の週までより侵襲的な医療措置を受け、集中治療室で死亡する場合が多かった。侵襲的な医療措置には心肺機能蘇生や、人工呼吸器が含まれる。

緩和的化学療法を受けた患者はまた、死の一週間前かそれ以内に、緩和ケアや精神的サポートを提供するホスピスケアを紹介されることが多かった。緩和的化学療法を受けた患者の54%はホスピスに紹介されたのが遅かった。これに対して化学療法を受けていない患者で、遅れてホスピスに紹介されたのは約37%だった。

しかしながら、緩和的化学療法を否定する、あるいは患者に提供しないという意味で、この研究結果を受け取るべきではない。「この研究で大部分の患者は、1週間でも生存が延びる可能性があるのなら緩和的化学療法を希望していました」と、Wright医師は述べた。「この研究は、いくつかの人的コストと緩和的化学療法の利益を理解するための一歩であり、またより効果的なコミュニケーションの必要性を強調するものです。患者が自分のケアについて十分な情報を得た上で選択するには、治癒不可能な状況なのかどうか、そして生活の質を犠牲にして、生存期間を延ばすための積極的な緩和的化学療法を受けても、生存期間が大きくは延びない可能性があることを理解する必要があります」。

本研究は米国立癌研究所と米国立精神保健研究所の資金提供により実施された。

本研究の共同著者は、以下の通りである。Jane C. Weeks, MD, MSc, from Dana-Farber, Baohui Zhang, from Weill Cornell and Nancy L. Keating, MD, MPH, from Harvard Medical School

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片瀬ケイ 訳
勝俣範之(腫瘍内科、乳癌・婦人科癌/日本医大武蔵小杉病院) 監修
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原文

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