最も多い小児脳腫瘍患者の長期生存率は高いー放射線療法はより低い長期生存率と関連/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

最も多い小児脳腫瘍患者の長期生存率は高いー放射線療法はより低い長期生存率と関連/ダナファーバー癌研究所

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最も多い小児脳腫瘍患者の長期生存率は高いー放射線療法はより低い長期生存率と関連/ダナファーバー癌研究所

2014年2月3日

低グレード小児神経膠腫患者における20年生存率に関する過去最大規模の研究により放射線療法と死亡率の関連が明らかに

最も頻度の高い小児脳腫瘍である低グレード神経膠腫の治療を受けた小児の長期生存に関する初めての包括的な大規模コホート研究で、およそ90%の患者が20年後に生存しており、成人後にその腫瘍が原因で死亡する患者は少数であることが判明した。しかし、ダナファーバー・ ボストン小児癌・血液疾患センターの研究者らの報告によると、治療の一環として放射線治療を受けた小児では、放射線治療を受けなかった小児と比較して長期生存率が有意に低かった。これらの知見は、外科医が腫瘍全体または一部のみの摘出に成功したかどうかには影響されず、放射線治療そのものにより差異が生じることを説明する可能性を示唆するものである。

本知見はPediatric Blood and Cancer誌電子版にて発表された。

発達中である小児の脳に対する放射線照射は、認知的発達や内分泌機能への影響を含む数多くの長期有害作用との関連が認められている。本研究の上級著者であるダナファーバーボストン小児病院脳腫瘍センターのPeter Manley医師によると、ダナファーバーボストン小児病院など多くの主要病院で低グレード神経膠腫の放射線療法は選択肢からほぼ除外されているものの、その他の施設で放射線療法が実施される程度にはばらつきがあるという。

「われわれは今回初めて、低グレード神経膠腫に罹患しても小児期を乗り切れば、成人後にその腫瘍が原因で死亡する可能性は低いことを発見しました」とManley医師は述べた。「このことは患者と家族を非常に勇気づけることでしょう。しかし一方で、放射線療法など低グレード神経膠腫治療に現在用いられている手段のいくつかにより後に死亡率が上昇することも分かりました。つまり、成人後にその腫瘍が原因で死亡するのではなく、過去に受けた治療が原因で死亡する可能性があるということです」。

このデータでは、放射線療法と長期生存率低下(二次癌やその他の放射線誘発毒性など)との関連を御する詳細な機序を特定するには至っていない。しかし、研究チームは研究の対象患者における長期全生存の良好な結果を考慮し、低グレードの小児神経膠腫患者の治療に当たる医師は長期毒性リスクを減らすことを最大の関心事のひとつとすべきであると確信している。

「われわれは、長期有害作用および二次癌の原因となる可能性のより低い治療法を強く推奨します。われわれの解析によると、放射線療法は長期生存患者における死亡率の差に関連する最も多い因子でした」とManley医師は述べた。「現在、この腫瘍を有する小児の治療には複数の選択肢があります。放射線療法を考慮するのはそれら全てを試してからにすべきです」。

低グレード神経膠腫(毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、混合性神経膠腫などの非悪性で通常は非侵襲性の腫瘍ファミリーの1つ)は、小児期の全脳腫瘍の約30%を占める。典型的な治療法は手術と化学療法から成る。放射線療法はかつてこれらの神経膠腫治療の主要な構成要素であったが、ホジキンリンパ腫や胚細胞腫瘍などの他の小児癌でもそうであるように、1990年代半ばから支持されなくなってきた。

Manley医師、筆頭著者であるダナファーバーボストン小児病院のPratiti Bandopadhayay医学士・学術博士および共同研究者らは、この集団における生存因子をよりよく理解する目的で、1973年から2008年にかけて低グレード小児神経膠腫と診断された4,000人以上の患者に関する米国国立癌研究所(NCI)の疫学研究(Surveillance, Epidemiology and End Results: SEER)データの解析を行った。コホート中の18%の患者が治療の一環として放射線照射を受けていた。

全体的に見て低グレード小児神経膠腫患者の予後はかなり良好で、5年生存率および10年生存率は90%に近かった。しかし、成人サバイバーの20年以上の長期生存については、これまで包括的な研究が実施されていない。Manley医師らは治療後20年時点における生存率に小さい落ち込みを確認したものの、小児神経膠腫サバイバーの約90%は現在も生存している。

ところが驚くべきことに、放射線治療を受けた患者のうち20年後に生存していたのは、約70%にすぎなかった。生存に影響を与えたその他の因子には、腫瘍部位(小脳かどうか)、腫瘍タイプ(毛様細胞性かどうか)、腫瘍の浸潤性(グレード1対グレード2)、診断された年(1990年より前か後か)、診断時の年齢(2歳未満であること)などがあった。研究チームによる多変量解析では、これらの因子が長期生存に与える影響は放射線に比較すると全て小さいものであった。

「どのような疾患であれグレード1の腫瘍より高い浸潤性を持つと診断された小児では、長期的な転帰が不良になるという印象があります」とManley医師は語った。医師はダナファーバー癌研究所で生存問題に焦点を当てるStop & Shop Family Pediatric Neuro-Oncology Outcomes Clinic も主導している。「とはいえ、受けた診断がグレード1かグレード2かに関わらず、低グレード小児神経膠腫患者の転帰はやはり良好です」。

本研究はtop & Shop Pediatric Brain Tumor Program, the Andrysiak Fund for LGG, the Pediatric Low-Grade Astrocytoma Foundation, Friends of Dana-Farber Cancer Institute, the Nuovo-Soldati Foundation, Philippe Foundation, and the St. Baldrick’s Foundation より援助を受けた。

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吉田文 訳
寺島 慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター腫瘍科)監修
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原文

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