セレンとビタミンEのサプリメントで前立腺癌リスク増加の可能性/ フレッドハッチンソンがん研究センター | 海外がん医療情報リファレンス

セレンとビタミンEのサプリメントで前立腺癌リスク増加の可能性/ フレッドハッチンソンがん研究センター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

セレンとビタミンEのサプリメントで前立腺癌リスク増加の可能性/ フレッドハッチンソンがん研究センター

フレッドハッチンソンがん研究センター
2014年2月21日

ビタミンEは服用前にセレンの体内濃度が低い男性において前立腺癌のリスクを上昇させる可能性がある。また、セレンのサプリメントは、服用前にセレンの体内濃度が高い男性において前立腺癌のリスクを増加させる可能性がある。

フレッドハッチンソンがん研究センター主導による多施設試験により、ビタミンEと微量元素であるセレンの高用量の補充療法が悪性度の高い前立腺癌のリスクを増加させることが明らかになった。

しかし、重要なことは、このリスクはサプリメント摂取前における男性のセレン体内濃度に依存するという点である。

Journal of the National Cancer Institute誌で報告されたこれらの知見は、米国南西部癌臨床試験グループ(SWOG)により厳格に実施された、35,000人以上の男性を対象としたランダム化プラセボ対照、Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial(SELECT)試験のデータに基づいている。

本試験は、高用量のビタミンE(400 IU/日)およびセレン(200 μg/日)のサプリメント摂取が男性の前立腺癌を抑制するかどうかを確認しようとした。

本試験は2001年に始まり、12年間続けるよう設定されていたが、2008年に早期に中止された。これは、セレンによる保護作用は見られず、ビタミンEはリスクを増加させることが示唆されたためである。

試験のサプリメント使用は中止されたが、男性参加者はその後もサプリメントを摂取しており、中止から2年間後もビタミンEを摂取していた男性は前立腺癌のリスクが統計学的有意な17%の増加を示した。

セレン補充療法は、療法開始前にセレン体内濃度が高かった男性の癌リスクを増加させた。

試験開始の際、すでに十分な栄養を摂取している男性に対し、セレン補充は有益な効果を示さないというエビデンスも一部存在した。

そのため、研究者らは試験参加者の足の爪のセレン濃度を測定し、セレン補充が、療法開始前にセレン濃度が低かった一部の男性にのみ有益性を示すのかどうかを検証することを計画した。

当初の目的の代わりに、介入前にセレン濃度が高かった男性において、セレンサプリメントの摂取により悪性度の高い癌のリスクが91%増加することを研究者らは明らかにした。

セレン濃度がはじめから高い男性がセレンサプリメントを摂取する場合は、そのセレンの濃度が毒性につながった。

ビタミンE摂取はベースラインのセレン濃度が低い男性において癌リスクを増加させた。

本研究では、男性のあるサブグループにおいて、ビタミンE摂取により前立腺癌のリスクが増加することも見出された。

介入前セレン濃度が低い男性において、ビタミンEの補充は前立腺癌の全リスクを63%、悪性度の高い癌のリスクを111%増加させた。

これは元のSELECT試験における知見の一つを説明しており、ビタミンEとプラセボを摂取した男性のみ前立腺癌リスクが増加し、ビタミンEとセレンの両方を摂取した男性はリスクが増加しなかった。

セレンはその摂取が食事であろうとサプリメントであろうと、男性参加者においてビタミンEの有害作用に対する保護作用を示した。

「多くの人が栄養補助食品(サプリメント)は有益であり、少なくとも害にはならないと考えていますが、これは正しくありません」と、フレッドハッチンソンの公衆衛生学部門(Public Health Sciences Division)の教職員であり、論文の連絡先かつ筆頭著者のAlan Kristal博士は述べた。「他のいくつかの研究結果から、高用量の栄養補助食品、すなわち、微量栄養素の1日あたりの推奨摂取量を大幅に超えるサプリメントの中には癌リスクを増加させるものもあると確信しています。私たちはランダム化二重盲検対照試験の結果から、葉酸とβカロチンが癌リスクを増加させることがわかっていましたが、今ではビタミンEとセレンも同様の作用を示すことを認識しています」。

前立腺癌と診断された男性1,739人と、比較目的の人種と年齢が症例と合う前立腺癌でない男性3,117人のランダムサンプル間における、単独または併用して摂取されたセレンとビタミンEの前立腺癌リスクへの影響を最新の解析データを用いて比較した。

最終的な結論:本研究において、セレンあるいはビタミンEサプリメントのどちらも男性に有益な効果を示さず、かなりの割合の男性でこれらのサプリメントは有害であることが示された。

「これらのサプリメント、特にビタミンEは人気がありますが、これまでに適切に計画・実施された大規模試験で、主な慢性疾患に対する予防効果が示されたことはありません」とKristal氏は述べた。

既知の有益性は無く、リスクのみである。

「これらのサプリメントを使用している男性は使用を中止すべきです、それに尽きます。セレンとビタミンEの補充療法は既知の有益性を与えず、リスクのみを与えます」とKristal氏は続けた。

「標準的なマルチビタミンの摂取によるリスクはないと思われますが、高用量かつ単一成分のサプリメントの効果は複雑で予測できず、しばしば有害になります。最近の幅広い科学研究を考慮すると、私たちの微量栄養素の最適な摂取の考え方について新たな整合性がみられます。最適な体内濃度があり、これらは大抵、健康的な食事から得られる濃度ですが、この濃度より低くても高くてもリスクが生じます」。

The University of Missouriやthe University of Texas, the University of California Irvine, the National Cancer Institute, the University of California San Diego, the Cleveland Clinicの協力者が参加した本研究は、国立癌研究所より資金援助を受けた。

 

******
下野龍太郎 訳
大野 智 (腫瘍免疫/早稲田大学・東京女子医科大学)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward