高齢の乳癌患者では、小線源療法による乳房温存率は標準照射に比べて低くなる/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

高齢の乳癌患者では、小線源療法による乳房温存率は標準照射に比べて低くなる/MDアンダーソンがんセンター

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高齢の乳癌患者では、小線源療法による乳房温存率は標準照射に比べて低くなる/MDアンダーソンがんセンター

高齢の乳癌患者では、小線源療法による乳房温存率は標準照射に比べ低くなる
MDアンダーソンがんセンター
2014年1月30日

浸潤性乳癌を有する高齢の女性患者において、長期の乳房温存が可能になるよう意図された治療を比較したところ、小線源療法を行った患者では後に乳腺切除を行うリスクは標準的放射線療法を受けた患者よりも高くなることがわかった。本研究はテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの主導で行われた。

この研究結果はInternational Journal of Radiation Oncology, Biology, Physics誌に掲載されており、本研究は乳房小線源療法を、腫瘍摘出術だけの対照群および外照射療法(EBRT)を行った対照群と直接比較した、初めての試験である。この試験では、治療法の選択における米国放射線腫瘍学会(ASTRO)による基準に対する解析も行われている。

小線源療法では挿入したカテーテルから乳房の特定の領域に放射線が照射される。そのため、治療期間はEBRTが4~6週間を要するのに対し、小線源療法では1~2週間に短縮される。著者らは、小線源療法は腫瘍摘出術後に行われる人気上昇中の乳癌治療法であることに注目している。

しかし、 どの患者には有効で、どの患者では不利益を被る可能性があるのかは不確実であるため、この治療法を標準的治療とすべきかどうかはまだわからない。

「治療法が異なると、長期の乳房温存に対しどの程度の効果があるのかを比較することにわれわれは関心を寄せています」と放射線腫瘍学准教授で本研究の筆頭著者であるBenjamin Smith医学博士は述べている。「われわれの研究結果は、これらの2つの治療戦略の間にある相反関係を、患者や医療提供者が今まで以上に詳しく理解することを手助けすることにより、治療に影響することになるでしょう」。

研究を行うため、研究者らはSEER(Surveillance, Epidemiology and End Results)メディケアデータベースを使用した。このデータベースには米国立癌研究所が収集した、66歳以上で 、2002年~2007年の期間に乳癌腫瘍摘出手術が行われた女性35,947人のデータが含まれている。

主要評価項目は、その後の乳腺切除のリスクにより評価した乳房温存と術後合併症であった。

その結果、小線源治療により毒性は増大し、乳房温存率は低下した。腫瘍摘出手術単独によるその後5年間の乳腺切除のリスクは4.7%、小線源療法後では2.8%、EBRT後では1.3%であった。

研究者らは、各々のASTRO群において、その後の乳腺切除のリスクは腫瘍摘出術単独と比較してEBRTのほうが一貫して低く、一方で、小線源療法は腫瘍摘出術単独よりも有用であったが、EBRTほどの有用性はなかったと結論づけている。

しかし、著者らは、部分乳房照射に対するASTRO合意声明から、小線源療法が適していると思われる患者において、長期間の乳房温存率はEBRTと小線源療法で同等であったことを発見した。具体的には、この群において、その後に乳腺切除が行われた割合は、小線源療法では1.6%、EBRTでは0.8%であった。

「われわれのデータはASTROガイドラインを支持するものですが、ASTROが概説する厳格な基準を満たさない患者に対しては、臨床試験によりデータが蓄積されるまで、小線源療法を勧めることにはより慎重になるべきです」と保健医療健康学科准教授でもあるSmith 氏は述べている。「医師と高齢の乳癌患者の両方に役立つメッセージとしては、一般にこれらの患者は全員が予後良好で、乳房温存の可能性は非常に高いと言うことです。けれども、乳房温存の可能性は外照射が最も高く、照射をしない場合は最も低く、小線源療法はその中間でした」。

Smith 氏は小線源療法では術後感染のリスクがより高く、他の軟部組織合併症、たとえば乳房内に体液が貯留した腔(漿液腫)ができるリスクが高くなることにも注意している。

また、同氏は試験には限界があり、再発や乳腺切除術のリスクは徐々に上昇するため、観察期間のより長い試験が必要であるとも説明している。2007年以降、より優れた小線源療法カテーテルの開発が進歩しており、新たな患者集団では合併症の減少する可能性がある。著者らは、全乳房照射には毒性がないわけではなく、稀に心イベントや二次癌があるとも述べている。

この研究は米国立癌研究所(CA16672、T32CA77050)、 Cancer Prevention and Research Institute of Texas (RP101207) およびVarian Medical Systems (SR2011-00034954RG)からの資金援助を受けている。

利益相反のある著者はいない。

Smith氏に加え、MDアンダーソンの他の研究者は以下のとおり:Thomas Buchholz, M.D., Grace Smith, M.D., Ph.D., Karen Hoffman, M.D., all of Radiation Oncology; Sharon Giordano, M.D., of Health Services Research; Kelly Hunt, M.D., of Surgical Oncology; and Ying Xu, M.D., and Jing Jiang of the Department of Biostatistics.

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小縣正幸 訳
原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター)監修
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原文


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