オビヌツズマブとクロラムブシルの併用療法で、併発症状を有する慢性リンパ性白血病(CLL)患者の無増悪生存期間が改善/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

オビヌツズマブとクロラムブシルの併用療法で、併発症状を有する慢性リンパ性白血病(CLL)患者の無増悪生存期間が改善/NCI臨床試験結果

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オビヌツズマブとクロラムブシルの併用療法で、併発症状を有する慢性リンパ性白血病(CLL)患者の無増悪生存期間が改善/NCI臨床試験結果

2014年2月21日掲載

要約

国際ランダム化第3相試験において、obinutuzumab[オビヌツズマブ](Gazyva)とクロラムブシル(Leukeran)を投与した未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)およびその他の健康上の問題を有する患者では、クロラムブシルを単独投与した患者に比べて病状が悪化することなく無増悪生存期間(PFS)が延長しました。オビヌツズマブとクロラムブシルを併用した患者では、クロラムブシル単独投与の患者と比較して全生存期間も良好であり、全疾患の徴候の消失(完全寬解)がみられる可能性も高かったのです。

オビヌツズマブとクロラムブシルを併用投与した患者では、リツキシマブ(リツキサン)とクロラムブシルを併用投与した患者と比較して無増悪生存期間が長く、完全寬解が高率に認められました。全生存期間(OS)については2群間に差がありませんでした。

出典

2014年1月8日New England Journal of Medicine誌(NEJM)(ジャーナル抄録参照)

背景

CLLは、米国成人の白血病において最も多くみられ、高齢者が診断を受けることが最も多いタイプの白血病である。CLLの患者は、体が異常な白血球(リンパ球)を産生し、それらは正常時よりも高値になります。病気が悪化(進行)すると、これらの細胞はコントロールを失って増殖し、血液や骨髄中の正常細胞にとって代わるようになります。

CLLは通常はゆっくりと進行します。疾患の早期で診断された患者は、症状があったとしてもごくわずかなので、治療を要するような病状の進行があるかを定期的にモニターします。症状を呈するほど進行したCLLへの一般的な治療法は、ステロイドを併用または併用しない化学療法や、Bリンパ球にあるタンパク質のCD20を標的としたモノクローナル抗体と呼ばれる薬剤を用いるなどして治療します。

オビヌツズマブは、リツキシマブとは少し異なる作用をもつ、CD20を標的としたモノクローナル抗体です。これとは別のCD20標的抗体であるリツキシマブは臨床試験において、比較的若年で、健康な患者の生存期間を延長することを示しましたが、CLL患者の大半が高齢で、癌に加えて臨床的に深刻な健康状態を有しています。このような患者は臨床試験では過小評価されており、さらにリツキシマブはこれら患者の生存期間を改善しませんでした。

CD20標的薬をクロラムブシルによる化学療法に併用すると、CLLおよび他の健康上の問題を有する高齢者の生存を改善するかを検証するために、本試験は実施されました。さらに本試験は、オビヌツズマブとクロラムブシル併用がリツキシマブとクロラムブシル併用よりも有効であるか検証することも目的にしています。

試験

本試験は、癌に対する治療を受けたことがなく、心血管、肺、胃腸、腎、内分泌系、代謝や神経疾患といった、別の健康上の問題を有する781例のCLL患者を対象としました。患者は次の3つの治療のうちのいずれかをランダムに割付られました:クロラムブシル単独、クロラムブシル+リツキシマブ、あるいはクロラムブシル+オビヌツズマブ。

このオープンラベル試験の一次エンドポイントは無増悪生存期間でした。二次エンドポイントは全生存期間と寬解率でした。試験登録時の患者年齢中央値は73歳でした。多くの(82%)参加者がCLLの他に3つ以上の健康上の問題を有しており、27%が十分に管理されていない健康上の問題を1つ以上抱えていました。

本試験は、ドイツのケルン大学病院のドイツCLL研究グループのValentin Goede医師らが主導しました。本研究はオビツズマブを製造するエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が資金提供を行いました。

結果

解析の1つで研究者らは、併用療法のいずれかを受けた患者とクロラムブシル単独投与を受けた患者の無増悪生存期間と全生存期間を比較しました(下記の表を参照ください)。クロラムブシルのみを投与した患者では、併用療法のいずれかを受けた患者に比較して無増悪生存期間中央値が下回りました。いずれの併用療法との比較においても統計学的に有意差がみられました。

オビヌツズマブ+クロラムブシル投与を受けた患者では、クロラムブシルのみの患者に比較して死亡率が有意に低下しました。リツキシマブ+クロラムブシル群とクロラムブシル単独群との死亡率に統計学的有意差はみられませんでした。

3群比較

試験群

無増悪生存期間中央値(月)

死亡率(%)

 obinutuzumab+クロラムブシル

26.7

9

 リツキシマブ+クロラムブシル

16.3

15

クロラムブシル単独

11.1

20

さらなる患者を加えた個別解析で、研究者らは併用療法2群のみを比較した(下記表を参照ください)。オビヌツズマブ+クロラムブシルを投与した患者は、リツキシマブ+クロラムブシルを投与した患者に比較して無増悪生存期間中央値が延長していました。オビヌツズマブ群とリツキシマブ群の死亡率に有意差はなく、いずれの群においても全生存期間中央値を決定するほど十分に患者を追跡していませんでした。

さらに研究者らは治療終了後3カ月での完全寬解率を併用療法の2群で比較しました。オビヌツズマブ+クロラムブシルを投与した患者ではクロラムブシル+リツキシマブを投与した患者よりも完全寬解が高率にみられました。微小残存病変(療後において血中や骨髄中に白血球がみとめられること)みられた患者はリツキシマブ群よりもオビツズマブオビヌツズマブ投与群のほうが少なかったのです。

併用療法2群の比較                     

試験群

生存期間中央値l(月)

死亡率(%)

完全寛解率(%)

obinutuzumab+クロラムブシル

26.7

8

20.7

リツキシマブ+クロラムブシル

15.2

12

7.0

いくつかの深刻な副作用はオビヌツズマブ投与群で多くみられました。最も多かったのは薬剤点滴中の注射部位の反応および、ある種の白血球(好中球)数の著明な低下でしたが、後者は感染の増加には至りませんでした。オビヌツズマブ投与患者における深刻な注入に伴う反応(グレード3、4)はオビヌツズマブ初回投与時に限られており、2回目以降にはおこりませんでした。

Goede医師によれば、これらの反応はめまい、発熱、震えや紅潮および血圧低下などだそうです。

オビツズマブ初回投与を2日かけて行ったり、初回投与時にステロイドの前投与を行ったりすることは「注入に伴う反応の頻度を抑える効果があります」と本試験の著者らは報告しています。

2013年11月に、本試験の結果に基づいて米国食品医薬品局は、未治療のCLL患者に対するクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法を承認しました。

制限事項

本試験で用いたオビヌツズマブの用量はリツキシマブの用量よりも多かったため、研究者らは「この高用量がリツキシマブ+クロラムブシルとの比較におけるオビヌツズマブ+クロラムブシルの高活性にどれほど影響しているかは不明です」と記しています。しかし研究者らは、過去の臨床試験の結果により高用量のリツキシマブ+化学療法は標準用量のリツキシマブ+化学療法との比較において追加ベネフィットをもたらさないことが示唆されていました、と述べています。

コメント

複数のCD20標的薬でCLL患者の生存期間が向上することが示されていますが、本試験はCLL患者においてこれらのCD20標的薬2種を直接比較した初めての試験なのです、と著者らは述べています。

「クロラムブシルと併用した場合、リツキシマブよりもオビヌツズマブのほうが完全寬解が多く、無増悪生存期間が長いことが本試験において示されました。追跡期間を延長すれば、リツキシマブとの比較においてオビヌツズマブで高率にみられた微小残存病変の根絶が、無増悪生存期間の延長に加え、全生存率の改善をもたらす可能性があります」と著者らは続けています。

注入に伴う反応、特に投与中止の原因となった反応については「常に懸念しています」と、NCIの癌治療評価プログラムのRichard Little医師は述べています。本試験において、リツキシマブ+クロラムブシル投与を受けた患者では1%未満であったのに対し、オビヌツズマブ+クロラムブシル投与を受けた患者の7%が注射部位反応によって治療を中止しました。

クロラムブシルにオビヌツズマブを追加投与すると有効性が高まりましたが、この併用によって毒性も付加されました。

「これらの副作用が十分な前投与によって予防しうるか、さもなければ抗体療法実施を治療後期まで遅らせるかが問題です」と、Little医師は続けた。「しかし、このことは本試験の知見の重要性を減じるものではありません」。

注入に伴う反応については、「自然にあるいは後に対症療法を行うことで消失しました」とGoede医師はeメールで説明しています。治療としては輸液やステロイドあるいは抗ヒスタミン、アセトアミノフェンなどがありました。

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大倉綾子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院) 監修
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原文

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